私が見かけた上手くいかない作家志望者さんのタイプ
作家志望者だったころは小説教室にもお世話になりましたし、自分でもちょっとした創作グループ的なものをやっていたことがあります。
それほど多くの作家志望者さんを見てきたわけではないのですが、「この方は上手くいかないかもなあ……」と感じるタイプがいたことも確かです。
偏見かもしれないので全面的に信じないでほしいのですが、今回は自分が出会った上手くいかない作家志望者さんのタイプをご紹介します。
上手くいかないタイプ
作品を読んだり、その方と接してみて、「この方は上手くいかないかも……」と失礼ながら思うことがあります。
この場合の「上手くいかない」は、「新人賞やネット小説サイトなどで結果が出ない」といった意味です。
思い出してみると、以下のようなタイプの方は上手くいかない印象でしたし、実際、いまも結果を出していないと思います。
アップデートしていない
得意なものばかり書いている
結果に執着しすぎ
ちょっとふわっとした括りなのですが、簡単にご紹介していきましょう。
1.アップデートしていない
1つ目のタイプは、自身をアップデートしていない方です。
自身をアップデートするというのは、新しい何かを日々自分に取り入れているか、ということです。
ちょっと厳しい言い方ですが、アップデートしていない方の作品というのは、
考え方も書き方も内容も観点もすべてが古臭い
印象になります。
どこか過去の時点で時間が止まっているのに、それに気づかず、そのまま書き続けている感じでしょうか。
現代の風俗を題材にしても(あるいは現代性を入れれば入れるほど)、古臭さが際立ってしまいます。
これは年齢とは関係ないようです。
若い方でもすごく古臭い作品を書くこともあれば、お年を召した方でもハッとするほど新しい作品を書いていることがありますね。
そういった作品を読んで、「この古臭さってどこから来てるんだろう……?」とたびたび考えたことがありますが、おそらく、書いている方がある時代の常識(偏見)に囚われていることが原因ではないかと思ったりします。
ご存じの方も多いと思いますが、アインシュタインが常識についてこう言っていますね。
ある時代の常識は、時とともに徐々に常識外れとなっていき、やがては非常識になります。
私たちは常に変化の途上にあり、いま知っていること、考えていること、正しいと思っていることは、百年もすればすべてが間違いになるでしょう。
そういった変化を受け入れなかったり、あるいは、変化するということを分かっていなかったりすると、作品にもそれが現れるのだと思います。
書き手の考え方は、如実に作品に出ます。
ですから、自身のアップデートを怠れば、作品も古臭いものになるのです。
ものすごく古い作品(たとえば江戸時代の常識で書かれた作品など)なら、返って価値が出るでしょうが、十数年といった中途半端な年月をアップデートしていない方の作品は、多くの人がもっとも嫌がる古臭さを醸し出してしまうようです。
そういった古臭い作品を書いていて、上手くいくことはおそらくないでしょうね。
2.得意なものばかり書いている
2つ目のタイプは、得意なものばかり書いている方です。
こういう方は、いつも同じテーマ、同じ内容、同じ話、同じ書き方を繰り返しています。
「得意なもの」というより、「かつて誰かに褒められたもの」と言った方がいいかもしれません。
意地悪く表現すれば、「以前褒められたので、似たような作品を繰り返し書いている」といった感じでしょうか。
書き慣れているので、そこそこのクオリティにはなっていますが、それ以上でもそれ以下でもありません。
こういった方は(自覚していないかもしれませんが)、以下のようなことを心配しているものです。
「別の作品を書いたら、褒めてもらえないかもしれない」
「褒めてもらえないかもしれない」
「認めてもらえないかもしれない」
それが嫌なので、いつも同じ作品を書いています。
怖くて、別の作品を書けないのですね。
やっかいなのは、そこそこのクオリティの作品を書けるので、そういった作品にも、自分自身にも、妙な自信を持ってしまうことです。
本当は認められないことが怖いだけなのに、「自分はこれでいい」「こういう作品を書き続ければいい」と自分に言い聞かせ、挑戦しないことを正当化しています。
また面倒なことに、ちょっとした結果が出てしまう方もいたりしますね。
どこかの自治体や企業が主催している小さな賞に引っかかったりするのです。
すると、ますます自信を持ってしまい、似たような作品ばかりを書くことになります。
こういった方は、「その結果が本当に自分が欲しかった結果なのか」、一度考えてみるといいですね。
「自分はこれでいいんだ」と怖いことから逃げてしまえば楽ですが、それをすれば、本当に欲しかった結果を得ることは出来ないでしょう。
3.結果に執着しすぎ
3つ目のタイプは、結果に執着しすぎな方です。
結果を求めることは決して悪いことではないのですが、結果しか見ていないと、途中が必ずおろそかになります。
一言でいうと、
ゴール(結果)に執着しすぎる人は、プロセス(途中)に無頓着
になります。
こういう方は大抵の場合、途中でつまずき続け、ゴールできません。
ちょっとわかりにくいので説明しましょう。
単純に言って、結果が出ないのは、やり方(方法)が悪いからです。
ですが、結果に執着しすぎると、やり方に頭が回らなくなるようなのですね。
登山で例えるとわかりやすいでしょう。
ゴールは頂上にたどり着くことです。
結果に執着しすぎる人は、頂上ばかり見ています。
頂上しか気にしていないので、ルートにまで気が回りません。
すると、毎回いつも通りのルートを辿って、頂上を目指すことになります。
ですが、「いつも通りのルート」がよくないから、頂上にたどり着けないのですよね?
(上で書いたとおり、結果が出ないのはたいていの場合、やり方=いつものルートが悪いためです)
ですから、やらなければならないのは「いつも通りのルート」を変えることです。
つまり、やり方を変えることですね。
簡単なことなのですが、これが「結果に執着しすぎる人」には理解出来ません。
「やり方を変えてみたら?」と提案しても、「やり方ならいつも変えている」と答えるでしょう。
ですが、こういう方は、絶対にやり方を変えていません。
登山で例えれば、ルートを変えているのではなく、「ジャケットを赤色にした」とか「スニーカーをトレッキングシューズに変えた」とか「お弁当をサンドイッチに変えた」とかいったことを、「変えた」と言っているに過ぎません。
それでは何も変えていないのと同じことです。
小説において「やり方を変える」というのは、
ジャンルを変える (登る山自体を変える)
得意なもので勝負しない (いつものルートを使わない)
書いたことがないもので勝負する (行ったことがない道を進む)
といったことです。
結果ばかり見ている人には、こういったことが出来ません。
自覚のある方は、頂上ばかり見ず、たまには足下を見てみましょう。
辿った道を見てみれば、「いつも同じ道を通っている」ことに気づくはずです。
その道を進んでも上手くいきません。
今まで上手くいかなったのですから、これからも上手くいくことはないでしょう。
ですから、やることはただ一つ、道を変えることです。
単純なことですが、これさえ出来れば、少なくとも、いつもとは違う場所にたどり着けるでしょう。
今回のまとめ
「上手くいかない作家志望者さんのタイプ」でした。
上手くいかないタイプ3つ
アップデートしていない
得意なものばかり書いている
結果に執着しすぎ
アップデートしていない
ある時代の常識に囚われすぎている
常識は変化すると知る
得意なものばかり書いている
得意なもの = 以前誰かに褒められたもの
怖くて別の作品を書けない、ということに気づく
結果に執着しすぎ
結果を見すぎると、途中がおろそかになる
結果が悪いなら、やり方が悪い
やり方を変える以外に結果を変える方法はない
こうしてまとめてみると、「変わることを怖がっている人」が上手くいかないと言えるかもしれませんね。
変化を受け入れられなくても、少なくとも「変化は常に起こる」ということくらいは知っておくといいと思います。
それではまたくまー。
(2023.8.21追記)
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