お勉強439:放射線だけが悪者ではない

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC9939160/

非ホジキンリンパ腫のサバイバーの
二次悪性腫瘍(SM)リスクを患者因子、治療因子別に解析
した論文.

二次悪性腫瘍と言ってもTisや皮膚がんの一部は除かれているよう

SEERデータベースから1975年から2016年に診断された
142,637例のNHL患者において標準化罹患比(SIR)を評価。
方法は細かく書いてあるが、詳しくは分からない…

SMを発症した患者は15,979人。(11.3%) 
のべ数では18151例のSMがあったと。
発症までの中央値は94か月
通常の罹患率を上回った(1.29倍; p < 0.05)
白人患者と比較して少数民族はSMのリスクが高かった
(白人 1.27倍、黒人1.4倍、その他1.59倍)
肺がん、白血病が特にリスクが高かった。

2002年で区切りをつけると
2002年以降のほうが、SMリスクは高かった(結構な差)

※ちなみにリツキシマブは1997導入。
 筆者らはR-EPOCH(エトポシドが入っている)が20002年から
 導入され、エトポシドが結構悪さしているのでは?
 と考察している。あとは移植などのアグレッシブな治療も。

とくに腎がん、脳腫瘍、甲状腺、白血病などがリスクが上がったと
NHLに若年でかかった患者のほうがSMリスクは高かった

放射線療法を受けた患者のSM率は受けなかった患者と同程度であったが
(どちらの場合でも1.29倍)
放射線照射を受けた患者では乳癌が増加。特に若年者。
(前立腺も増え気味)

化学療法を受けた患者は受けなかった患者よりSM率が高かった
(1.33倍 vs 1.24倍 p < 0.05)
頭頚部、大腸、膵臓、腎臓、白血病、カポジ肉腫が増えたと。
(面白いことに、前立腺癌は減るそう)

10年以後に起こりやすいSMとしては
頭頚部、女性乳腺、膀胱だったとのこと


この研究はNHL患者におけるSMリスクを検討した最も大規模な研究らしい。
放射線療法はSMリスクを増加させなかったが、
化学療法はSMリスクを増加させた。
しかし、特定の部位ではSMのリスクが高く、
それは治療法、年齢層、人種、治療後の期間によって異なっていた。
これらの知見は、NHL生存者におけるスクリーニングと
長期フォローアップに役立つと筆者らは結論

とりあえず、悪者にされがちな放射線治療ですが、
化学療法も大概悪さをしているのだな、と痛感。


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