お勉強446:アントラサイクリン系は注意して使うべし

https://ascopubs.org/doi/10.1200/JCO.23.01428

2017年に報告されたAnthracyclines in Early Breast Cancer(ABC)試験は
高リスクの早期乳がんでアントラサイクリンを省いた
レジメンは非劣勢か?という試験で

・ドセタキセル+シクロフォスファミド

・ドセタキセル、もしくはパクリタキセル
 +シクロフォスファミド+ドキソルビシン

の比較試験。(非劣勢証明試験)
結論としては非劣勢証明ならず。

https://ascopubs.org/doi/10.1200/JCO.2016.71.4147

この試験の追加解析。
論文が出た時点では、追跡期間中央値3.3年だった。
今回は追跡期間中央値6.9年での最終解析結果

ABC試験の主要エンドポイントである
浸潤性無病生存期間(IDFS)の長期解析結果は、
当初の結果と一致

副次的エンドポイントの
無再発間隔(乳癌に起因しない死亡をイベントとして除外)では、
アントラサイクリン系レジメンが有利

異質性の検定はホルモン受容体の状態で有意であり(P = 0.02)

ホルモン受容体陰性のコホートでは(陽性は有意でなかった)
アントラサイクリン系レジメンで統計学的に有利

一方でもう一つの副次的エンドポイントの
全生存期間に差はなく、
各群のIDFSイベントの種類を検討した結果、
アントラサイクリン系レジメンで達成された癌再発の減少は、
後発の白血病や乳癌とは無関係の死亡によって
(これらはアントラサイクリン系レジメンで優位に多かった)
相殺されていたのではと推察された。

という話。
アントラサイクリン系は他の試験を見ても
ホルモン陰性症例のみ使うのがええんでない?
という結論のよう

乳がんの難しさを感じる試験です。
アントラサイクリン系は効果もいっぱい証明されてますが
心毒性・二次がんなどもエビデンス豊富で

リンパ腫でRTと加えると二次がんがさらに増えて、
それが「放射線がん増える説」のストロングエビデンスに
なっているのかもなぁ、と放射線治療医の
私は少し思ってます。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?