お勉強448:上咽頭がん、導入化学療法後はCRT?RT?

https://jamanetwork.com/journals/jamaoncology/fullarticle/2814858


NPCの局所進行がんは導入化学療法が近年標準になっている。
当然導入化学療法すると、後のCRTのコンプライアンスは悪く、
それを踏まえて、
・導入化学療法→RTのみ
・導入化学療法→CRT(30mg/m2 weekly)
の非劣勢試験

今回の導入化学療法はDCF(60-60-600) 3サイクル

対象はIII期からIV期のNPC
端的に結果をいうと、
3年無増悪生存率で非劣性が証明

中国の5施設の
2015年4月から2018年3月にかけての
非盲検、無作為化、非劣性第3相試験。

非角化性NPC
カルノフスキーperformance statusスコアが70以上
臓器機能問題なし
18~70歳の患者
などの条件。

フォローは3年までは3か月おき4~5年は6か月おき
基本はファイバー、造影MRI、胸部Xpもしくは造影CT
腹部エコーをフォローでやっていたよう

383人が登録。
RT群193人 CRT群190人

プライマリーエンドポイントは3年無増悪生存期間
非劣性マージンは10%とした。

セカンダリーエンドポイントは、
全生存期間
局所転移のない生存期間
遠隔転移のない生存期間
奏効率
毒性

年齢中央値48歳
女性26%
追跡期間中央値は76ヵ月

インダクションの完遂率は90%程度。
インテンシティーは9割以上
放射線は基本IMRT
線量照射量中央値は70Gy
CRTのケモのintensityは90%以上とのこと

ITT解析で3年無増悪生存率は、
放射線単独群76.2%
CRT群76.8%
非劣勢証明。
per-protocol集団においても同様の結果。
G3~4の短期毒性の発現率は放射線群で少なめ
(とはいっても吐き気や嘔吐や体重減少は優位に減っているが、
 口喝や皮膚炎などは減っていない…)
晩期有害作用に差は認められず

ディスカッションでの考察では
・2D →IMRT 時代になり局所制御が良くなっている可能性
 (増感効果が意味がない可能性)
・導入化学療法でミクロの遠隔転移や、初期の腫瘍ボリューム
 を下げられた可能性
・MRIやPETなどで腫瘍をちゃんと見れるようになった可能性
限界点としては
・PROを取っていない。QOLは良くなったか不明
・流行地域でないところでの外的妥当性への不安
・EBV DNAについては調べていない

個人的には週一CDDP:30mg/m2で他の頭頚部がんでこけていたので
それがCRTの優位性を阻害していたのでは?とか考えてしまう


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