お勉強390:頸部食道がんはCRTか、opeか。

頸部食道がんへの疑問。CRTかopeか…
今年メタアナリシスが。

https://link.springer.com/article/10.1007/s00405-022-07589-z

(同じ著者なのでおそらく意図的に手術とCRTを分けて書いている)
アブストラクトを読んでみると

CRT:(RTのみも含むよう)
1222人のプールで
追跡期間中央値は34.0ヵ月
1年後、3年後、5年後の推定OS:77.9%/48.4%/35.3%
OS中央値:33.4ヵ月(25.8-42.2)
1年後、3年後、5年後の推定PFS率:64.1%/38.0%/29.8%
PFS中央値(95%CI)は19.8ヵ月(14.9-26.6)であった。

→CRTは第一選択治療

手術:868人のプールで
1年後、5年後の推定OS:74.4%/26.6%
※喉頭非温存手術(n=229)では、
1年後、5年後の推定OS:59.3%/14.6%
※喉頭温存手術(n=213)では、
1年後、5年後の推定OS:83.6%/35.1%

→喉頭温存手術は、CRTと生存成績が同等。
 依然として価値ある選択肢ではある。
 一方、喉頭非温存手術では生存率が有意に低下
 →バイアスがかかっているだろう(特にTStage)

以下私見

・放射線治療医としてはfirst CRT,サルベージ手術で咽喉食摘で
 良いと思っているが、やっぱり外科医としては無理筋を
 CRTして…というのはやめてほしそうな空気も感じる
(術前DCF派の先生もおられるよう)
・後壁の進展は結構頑張って喉頭温存の手術は可能らしい
・食道学会の近年の空気の流れを感じるとやはり外科医の先生は
 CRTよりDCFのほうが好感触を得ているよう
・喉頭温存は自然な希望。一応「しゃべる」(声質は別)
 ことに関してはCRTは温存できる印象

・CRTの適切な線量は? 50.4? 60? 70? 
 ちょっと上の頭頚部なら普通に70当てているのに… 
・下咽頭に浸潤していたら(特に後壁)
 ルビエールまで予防照射は必要なのか
 そうじゃなくても頸部どこまで予防照射するのか
・IMRTの優位性はかなり感じるが、そもそも予防照射はいるのか
・頸部食道、T3以上だとやたらCRTで狭窄する印象
 線量も関係していそう
・位置上、しょうがないがやたらとリンパ節転移に穿破する
 イメージがある
(でも、感染しなければなんだかうまくいっている人はいる)
・位置上、cT4症例は多いわけだが、サルベージよりは
 コンバージョンのほうが成績は良いと思うが、
 頸部食道がんにコンバージョン手術の概念は
 導入してよいのか

今回の文献的にはCRT firstで問題ないイメージ
でも日本の手術レベルならもっと上いける?

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