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雨のにおいが好き  ニケと歩けば

雨上がりの庭はむせかえる草花のにおいでいっぱいです。香りではなくやっぱり匂い!

アジサイはその曇り空のもとで咲くのは今!とばかりに一番生き生きとしていちだんと濃い赤紫になりました。

雨粒で重たくなって張り巡らされた蜘蛛の巣は所々に水滴が宿って、きらきら光っています。家主はどこかで雨宿りでもしているのか姿がありません。

ニケはよっぽどでない限り濡れた土の庭には出ません。散歩にいけなくなった朝から結構我慢をして、「たまらん!」となればまるでバンジージャンプに挑む人みたいに、体の幅に開けられたガラス戸から意を決して飛び出すのですが、お気に入りの場所に出るまでには濡れた草の間を通らないといけないことが悩みのようです。

雨も上がって「さあ!」と散歩に誘うと嬉しそうにお尻を振って玄関まで一直線です。「傘を持とうか、もういらないや。」と少しは迷って出ます。

ようやく水蒸気雲がゆっくり動きだすと山が現れます。
ボーと大きな汽笛の音が近くで聞こえてまるで海がすぐ傍にあるような響きです。

雨が上がるときはその雲が麓辺りから這うように上に向かって登って行きます。
いつもの公園に着きました。地面と空の間が広くなるとヒューイとツバメが舞いだしました。

泥水のたまりに舞い降りたのは5羽。何やらそのあたりをつついています。小さな虫でもいたのか一心不乱。

厳しいほどの太陽の光で照らされてもまだまだ今までの湿った空気はそこをどこうとはしません。
そのなんとも生暖かい空気は草花の泥臭い匂いを含んでいますが、その場の目に見えない何ともアンニュイな匂いも嫌いではありません。

ニケは吹っ切れた?のかどんどんシロツメ草の絨毯に分け入って、いろんな匂いを探して忙しそうです。

足が汚れたのを納得いくまで丁寧に舐めて青くて高い空をまぶしそうに見上げました。

今日もいい日にしましょう!


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