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ジェットコースター人生 その37

この仕事をするようになっていろいろな方と出会うことができました。

人に歴史あり❣です。大阪のご婦人は有名なすき焼きの老舗女将。

たまたま友人が誕生日祝いに招待してくれたのがこのお店です。

格式が高く一見さんお断りの構えは数寄屋造りの京都にあるような雰囲気です。着物姿の女将は愛想にはほど遠い硬い挨拶でその上冷たい表情でした。

座敷に通される前に待合室のような和室に案内されました。そこは畳にソファーで壁には高そうな日本画が飾られています。物音ひとつしない大人の空間です。

お料理もそろそろのころ女将が清算のために入ってきました。

ラグビーの日本代表で笑わないのがトレードマークの選手がいますが

匹敵するくらいの無表情でした。

玄関まで見送りに来て、「もっとお話がしたいから一度お昼にあなただけ来てほしい」とこれも半ば命令口調でまっすぐに私を見て言われました。

ちょっと私を見下げたような態度の彼女ですからきっと「あなたが来るには早すぎます。」と小言の一つも言いたいのだろうと思いましたが、これも出会いの一つ!と次回の約束をして店を出ました。玄関で私たちを見送る女将と門迄来て腰をかがめる下足番(まだこんな職業の人がいるんだ)のお爺さんの違いにおかしいやら、ちょっと昔の日本にタイムスリップしたみたいな不思議な後引く帰り道でした。

一週間後、約束の時間に訪問しました。

例の下足番のお爺さんは今日も腰をかがめて玄関の掃除や庭の手入れをしているところでした。

私を見つけると、ニコニコしながらやってきてまるで娘が実家に帰ってきたみたいに優しい目で迎えてくれました。

ここで気を許してはいけない⁉玄関の先は薄暗く静まり返っています。

案内されたのはこの間の和室。しばらくして仲居さんがお茶と落雁をもって

やってきました。「あーこの間の方。おかみさんとは知り合いですか?」

ますます呼ばれた謎が深まります。

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