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やっと会えた!  ニケと歩けば

会えたのは人でもなく動物でもありません。
それは最初の柴が家族になった時に植えたガクアジサイ。

もう10年も前の事。大きな決断で引っ越しした時一緒に持って来た大好きな花でした。夏前には花も茶色くなって、それはそれで乾燥すればドライフラワーとしていい感じになりますが、何とかアルとの思い出を繋ごうと何本か枝を切って接ぎ木にしました。

初代の柴アルはニケと違って本来の野生を残した頑固な雄でした。
嫌なことは決してしないし、媚びない犬でした。ずいぶん手を焼きました。
なのに子供たちには優しくてきっと長男気取り?だったのかもしれません。

小さくて愛くるしい兄弟の中でも一番丸々としていて元気な男の子でした。
あの時は番犬もかねて、飼うなら男の子と決めていました。

庭のアイビ―の絨毯を飛んだり跳ねたり何をしても楽くて仕方がない様子でした。子供たちは小学校と幼稚園。午前中は家事を終えるとぽっかり時間が空きましたが、そんな時何よりの癒しになってくれました。

一服のコーヒーを入れて庭を見ると遊び疲れたのかうつぶせになって、転がっています。もしや!と覗きに行くとびっくりしてまた走り回るといったお茶目な子犬でした。

そのアルのお気に入りの場所がありました。
庭の隅のアジサイ。その下でいつもうつらうつら子供たちが帰ってくるのを待つのが日課でした。

そのアルも19年。子供たちが成人するまで家族を守ってくれました。
その時は三人で大泣きしました。思い出すだけで目頭がいつも熱くなってしまいます。義父に主人と、家族が一番大勢?いた時。毎日賑やかでした。

部屋に飾っている写真にはアジサイの横で笑っているアルがいます。
そんな思い出もあり毎年あのピンクと紫、何とも言えない可憐なガクアジサイの花を見たいと思い続けていましたが、なんと一向に咲きません。

花屋さんで聞いたり本を読んだり、土を変えたり、今ならYouTube。毎年いろんなところから情報を集めましたが、その思いを叶えることが出来ませんでした。

今年も瑞々しい葉をつけて背丈もあの頃ぐらいに延びています。花を見ることはもうすっかり忘れていました。パソコンのむこうの庭に見るだけの10年でした。

金魚やメダカの世話で庭に出ると、小さいながらいろんな花が咲いています。中には雑草も咲かせています。

ふと大きくなったアジサイに目をやるとなんと小さいながら蕾を付けています。

長年会いたかった人に会ったみたいに嬉しくて、たぶん一人でニヤリとしていたことでしょう。

崖っぷちからの10年。その年月はもう遠い昔というようにアジサイは今年、蕾を付けてくれたのかもしれません。

なんだかいい区切り!のような気がして久しぶりにアルのことも思い出しました。足元のニケは気持ちよさそうに寝息を立てて寝ています。

今日もいい日にしましょう!






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