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娘と父親っていいもんだ

公園で小さな女の子と若い父親が、かなりの身長差で歩いている姿は微笑ましいものです。

よちよち歩く女の子をまだ新米のパパは、ちょっと心配そうに見守っています。

女の子が生まれると、抱いたその時からお嫁に行く日のことを浮かべる父親もいるそうで、特別の存在になります。

「結婚式には出席しない!」第一声かそれでした。2歳の息子と二人で病院にやって来た時はミニカーで遊ぶ小さな子がもうお兄ちゃんになったんだと思うと嬉しいようなちょっと寂しような、名前を呼んで、ぎゅっと抱きしめました。

二人がのぞく新生児室のガラスの向こうで、泣く子、すやすや寝る子とその時は10人ぐらいがこちらに向けて勢ぞろいしていましたっけ。娘はちょっと顔をかしげて静かに寝ていました。

しばらくして、帰り際、何度も振り返って手を振る息子を見送って「さあこれから忙しくなるわ」と思ったものでした。

よちよちと歩くようになったのは知らぬ間にと言う感じで息子の時ほど感激はありませんでした。二人目ってこんなもんなんでしょうか?

公園の親子を見ながら、それと同じ風景を私も見ていました。

今は孫娘たちが同じように歩いています。

いつの日か誰かをつれてきて父親を凍らせることでしょう!

それを体験できなかった主人ですが辛くてもその場にはいたかったはずです。

結婚式の披露宴で娘が手紙を読みました。そこには父への感謝の気持ち。

「お父さんが安心してくれる人と結婚します。」と涙ながらに読みました。

日頃は父親の話はめったに出ませんでしたが彼女の中にはちゃんと主人が生きていた。そんな娘を誇らしく思いました。

私と父親はよく散歩しました。父は最後まで杖をつくことなく生きられたのはこの散歩のおかげかもしれません。

歩きながらいろんなことを話しました。「大人になったら何になってほしい?」と冗談交じりに私が聞くと「早くお嫁に行ってほしい」本心かどうかは分かりませんが、「つまらない答え!」となぜかちょっとがっかりしました。

あまり表情に出さない静かな父でした。母との思い出は数えきれないほどありますが、父とのは少ないからこそいつまでも強烈に残っているようです。

今の私と会ったなら父はどんなことを言ってくれるでしょうか。

「まだまだ!」と言ってほしいような褒めてほしいようないくつになっても親にはかないません。

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