小次郎講師『真・トレーダーズバイブル』パンローリング、2016年
第1章 トレードエッジのあるトレードをしているか
・未来のことなどわからないのだからトレードは予想して行ってはならない。トレードは確率のビジネスであり、勝つ確率の高いトレードエッジ(優位性)のあるところを見つけてそこで勝負をする。
私見ですが、この考え方については全面的にそう思う。
・大数の法則を理解せよ
簡単に言うと、
・トレードで勝つためのステップ
・トレードエッジの計算式
エッジのある局面の計算
注意点はトレードエッジがプラスなら勝てるルールで、マイナスなら勝てないルールなのだが、大数の法則にのっとるので、ある程度のトレード数をこなさないと答えは出ない。
極端なことを言えば、トレードエッジがプラスであっても運悪く最初に負け続けると破産という最悪な事態も十分にある。ゆえに当初は自己資金をある程度用意しなければいけない。
・期待値を理解せよ
上の例では
期待値=10000円✕(5本/100本)+50000円✕(2本/100本)
=500円+1000円
=1500円
くじ1回1400円ならトライすべきだが、1500円なら期待値と同値でありやらないという判断。ただ、これも大数の法則にのっとっているので1回だけのチャレンジでは負けることも多々ある。あくまで何度も回数を重ねればという条件を忘れてはならない。
つまり、上記計算式を見てもわかるとおり、トレードエッジとは期待値のことなのです。
・リスクリワード比率を理解せよ
リスクリワード比率の計算式
リスクリワード比率(RR比率)=平均利益÷平均損失
このリスクリワード比率については、超短期スキャルピングをやっているわずかな利益でも利確しがちな勝率至上主義に毒されている私のような人には耳の痛い話なんですよね。
一方、勝率至上主義を捨て、”損小利大”を目指すことをトレードで勝つための鉄則にする多くの中長期投資の人にはこの部分は特に重要です。
勝つためのリスクリワード比率と勝率の関係式
リスクリワード比率>(1-勝率)÷勝率
>負け率÷勝率
例えば、短期スキャルピング筋のように1回の利益は少ないが、高い勝率が要求される場合、例えば勝率80%のときに確保しなければならないリスクリワード比率を求めると、
勝率80%のときに必要なリスクリワード比率>(1-80%)÷80%
>20%÷80%
>0.25
上の表と合致します。
このケースではリスクリワード比率0.25なので、0.25×4回=1となることから、4回の勝利分で得た利益(おそらく超短期スキャルピングなので薄利)を超えるような損失を出した場合は損切りせよということです。
・プラスのトレードエッジを有効にする2つの要素
トレードエッジがプラスでも1回のトレードで大負けすると市場撤退を余儀なくされます。そこでプラスのトレードエッジを無駄にしないための大切な要素が以下の2つです。
①資金管理
破産しないことを前提にした1回のトレードで掛けてもよい金額(これを「1ユニット」と定義)の調整
②リスク管理
ここまでなら耐えられるという限界の理解と適切なロスカットラインの設定
第2章 資金管理について
・破産確率を理解せよ
ジョーカーなしのトランプを裏返しにして引いたカードがスペードなら負け。その他のカードを引いた場合、掛け金(例えば1万円)が2倍(2万円)になって返ってくるゲームを考える。負ければ掛け金は没収される。このゲームの勝率、つまりスペード以外を引く確率は75%。これは一見有利になゲームに見えるが次の条件を考えてみる。
①所持金1000万円の人が1回の勝負に1000万円を賭ける。4枚に1枚の割合でスペードを引く可能性があるのだから、この場合の破産確率は25%である。
②所持金1000万円の人が1回の勝負に1万円を賭ける。この場合の破産確率はほぼ0%。
計算方法は少し面倒なので、以下のサイトに数値を入力して計算します。
破産確率計算のサイト
・資金管理とは
定義の中の「破産しない範囲で」については前項の破産確率の計算サイトで計算する。
定義中の「最大限の資金効率をめざす」とはレバレッジを実現することです。
・ユニット
・ユニットの計算方法
必要な変数は2つ
①自己資金量
②ATR( Average True Range )=一日当たりの平均値幅
例えば、1000万円の投資用資金を持っている人が日経225先物ミニを取引しようとしているとする。
A = 1000万円 ✕ 0.01 = 10万円
今、仮に日経225先物ミニのATR(一日平均で最大値動きする幅)を164円とする。ちなみにミニは1枚=100株。
B = 100 ✕ 164 = 16400
1ユニット = 10万円 ÷ 16400 ≓ 6.1枚(6枚)
となる。
・1ユニットの1日のリスク管理
1ユニットの1日のリスクの計算式 = ユニット数 ✕ 取引単位 ✕ ATR
上記の日経225先物ミニを例にすると、1日のリスクは次のようになる。
6枚 ✕ 100 ✕ 164円 = 98400円
約10万円となり、ユニットの定義で設定した1日当たり取れるリスク、つまり投資資金の1%(この場合は1000万円の1%だから10万円)にほぼ一致する。
・リスク分散(銘柄分散)について
1回の適正なトレード量が1ユニットであることは説明したが、1ユニットの取引で終わりではない。チャンスが来れば買い増ししてもよい。そのルールは以下の通り。
・ATRについて
ATR( Average True Range )=一日当たりの平均値幅をどう計算するか。
タートルズが用いた計算方法は以下の通り。
TR( True Range )とは1日の最大値動きを求める。
A=当日高値-前日終値
B=前日終値-当日安値
C=当日高値-当日安値
を求め、その最大の値を最大リスク(TR)と定義する。
ATRはTRの平均を求める。その方法には主に3通りある。
①単純平均(SMA)
単純平均はTRを過去20営業日さかのぼって合計し、単純に20で割ったもの。
②修正移動平均(MMA)
当日のATR=(前日のATR✕19+当日のTR)÷20
③指数平滑移動平均(EMA)
当日のATR=(前日のATR✕19+当日のTR✕2)÷21
下に行くに従って直近のデータに比重を置いている。
第3章 リスク管理について
・リスク管理について
・ロスカットラインの決め方
設定に際しては
・一時的に下がってもトレンド継続ならロスカットせず我慢
・トレンドが終了したなら早く決済
・トレンドとノイズの関係
逆方向への価格変動がノイズの範囲内であればロスカットせず、ノイズの範囲を超えたらトレンド終了と見なしてロスカットする。
いくらまでなら損を許容できるかではなく、市場の動きに合わせてロスカットを設定する。
第4章 エッジを探す
・買い有利・売り有利の場面はある
エッジを見つけるときは「ほかの多くのトレーダーにも見ることができるものかどうか」という点には注意が必要。誰もが知っているシンプルなものでも十分機能する。
・主なトレードエッジについて
(1)移動平均線のエッジ
(2)新高値・新安値更新のエッジ
(3)抵抗線・支持線のエッジ
おもしろいのが、「同一の価格水準でありながら、抵抗線はいったん破られると、今度は支持線として働く」という特性。
(4)ロスカットラインのエッジ
ある程度まで下げるとそこを拾う買い手が現れるが、さらに各投資家のロスカットラインまで下げると今度は売りが売りを呼び、売りにエッジが出てくる。
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