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すべての人がストレスなく参加できるイベントへ――ダイバーシティ勉強会を開催しました

 日経グループのイベントポータルサイト「日経イベント&セミナー」では、ビジネスセミナーから産業展示会、美術展・コンサートまでバラエティーに富んだイベントの情報をお伝えしています。その数は常時100件以上あり、サイト開設(2017年秋)以来の累計ではすでに1000件を超えています。

 こうした数多くのイベントをより充実させるため、イベント担当者はオンライン、オフラインで常に情報や意見を交わしています。8月29日(木)には、内部で勉強会を開きました。テーマは「イベントのダイバーシティ、ユニバーサルデザイン化」です。

 イベントは、さまざまな立場、年齢、考え方の人が同じ空間に集うことで成立するメディアです。その多様性こそがイベントの魅力でもありますが、企画や運営に際し、その多様性を担保するために何をすべきか、という視点は忘れがちなもの。そこで講師として村木真紀さん(NPO法人 虹色ダイバーシティ代表)をお招きし、特にLGBTの視点からこのテーマに迫りました。

 村木さんはLGBTと職場に関する調査や講演活動で広く知られています。この日のレクチャーでは、LGBTの人々が生きづらい状態を解消しようと、世界中で行政や企業の取り組みが広まっている一方、いまだLGBTを犯罪と位置付ける国があったり、職場やコミュニティーなど身近なところで差別的言動が頻発しているという現実を、詳細にそして分かりやすく解説いただきました。

 そのうえで、イベントに際してLGBTの方々がストレスを感じやすい状況を具体的に挙げるとともに、下記の4つのアドバイスがありました。

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・イベント申し込みやアンケート回答などの際、通称名の使用を認めたり、必要以上に性別の記載を要求しないなどの配慮する
・男女トイレだけでなく、誰もが使える多目的トイレの場所を分かりやすく案内する
・特定の性別や家族での参加を対象とする場合はLGBTを含むことを明記する
・不満を抱いたときのフィードバック先を明記しておくことで、改善につなげる

 こうした取り組みは私たちだけでなく、すべてのイベントを企画する皆さんとも共有し、実現に向けて努力していきたいところです。

 また村木さんは「LGBTだけを取り上げて考えるのではなく、(障害を持つ方への配慮など)ほかのダイバーシティ課題とともに考えるべき」とも話しました。「LGBTは公正さ、公平さの問題。職場でもイベントでも同様」という指摘は、この課題についてどう向き合うか、その根本的な姿勢を問うものです。村木さんも講演の中で言及していましたが、国連の掲げるSDGs(持続可能な開発目標)は「誰ひとり置き去りにしない」ことをうたっています。同じように、まずイベントをすべての人に公平に参加いただくために何をすべきか。その文脈の中でダイバーシティを考えていきたいと思います。

 挙げていただいた4つのポイントをはじめ、個別の具体的なアクションを起こしつつ、より俯瞰的な姿勢を持って考える。そうすることで、イベントがより多くの人にとって価値ある時間になるよう努力していきます。

[参考リンク]

虹色ダイバーシティのウェブサイト http://nijiirodiversity.jp/