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企業のサステナブル活動をブランド調査で測定(2) 気になるステークホルダーからの評価は?

皆様こんにちは。日経リサーチの小澤です。私はもともと海外市場のマーケティングリサーチを担当していましたが、2019年より国内向けのブランド調査を担当しています。主要企業600社のブランド価値を測定する「ブランド戦略サーベイ」の運営にも携わっており、そこで得たノウハウをご紹介します。

前回は企業がサステナブル活動を意識してきていること、消費者にはSDGsといったワードが浸透し購買行動へも影響が出てきている、というご紹介をいたしました。今回は実際のブランド調査においてどのようにサステナブル活動を測定しているのか、事例を一部ご紹介いたします。

▼背景
クライアントは国内外に多数の事業を展開する大手サービス企業グループ。創業の節目を迎えるにあたり、あらためてブランドの方向性を定めたいと考えています。またサステナブル経営の一環としてESG活動はしてきたものの、どの程度浸透しており、ステークホルダーの期待に添えているのかを把握されたい状況でした。

▼調査設計
ステークホルダーを下記の層に分けて、それぞれからの評価を測定しました。以前はブランド調査といえば顧客層か広く市場全体(潜在顧客)に訊くことがほとんどでしたが、最近では「ブランドの体現者」である従業員向けにブランド意識を把握する案件が増えてきています。

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調査対象者のセグメント

▼測定・分析
まずはステークホルダーごとにブランド認知やイメージを測定しました。その結果「サービスの品質がよい」は顧客層に高く評価されており、一度使った人には良さが伝わっているという状況でした。新規顧客獲得のために、いかに潜在顧客向けにその良さを伝えていけるかがポイントだということが分かりました。

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ブランドイメージの結果(一部抜粋)

ESG活動については、取り組んでいる各種項目を「①現在取り組んでいると思うか(認知)」と「②今後取り組みを強化すべきことはどれか(期待)」で聴取しました。結果、従業員層は人材・働き方関連の項目で「現状の認知が低く、期待が高い」ということが分かりました。昨今の人手不足も背景に、いかに働きやすい環境を整えるかが、この層への施策として優先順位が高いと考えられます。

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ESG活動の取り組み認知と今後期待することの関係(従業員層、一部抜粋)

上記のプロット図をさらに顧客層、潜在顧客層ごとに見ていき、多面的にステークホルダーからの評価を把握しました。当クライアント企業では、この結果をもとに全社としての取り組みの優先順位を策定し、マテリアリティ作成にご活用いただきました。

以上、今回はブランド調査においてサステナブル活動評価をどのように測定するか一例をご紹介しました。さらに詳しくお知りになりたい方・ご興味のある方はどうぞお気軽にお問い合わせください

(日経リサーチ ソリューション本部 ブランドチーム 小澤篤志)

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