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Vol. 83 新NISAの認知度と金融リテラシーの関連について 

                           (2023年8月)


金融ソリューションチームコラムの第83弾をお届けいたします。

今回は、7月にリリースされたばかりの弊社自主調査「金融RADAR」(※1)の結果から、新NISAに関する結果について、金融リテラシーとの関連に着目してご紹介いたします。

金融リテラシーの高さによってNISAの制度改正に関する認知・課題に違いがあることが明らかになりました。

一般成人を対象にNISAの制度改正についての認知度をたずねたところ、「知っている」と回答した人は28.2%、「改正内容はわからないが聞いたことはある」と答えた人は44.6%でした(n = 3010)。

約7割の人がNISAの制度改正について認知しているという結果となりましたが、金融リテラシーの高さ別にみると、金融リテラシーが高い群(n = 1114)(※2)では9割近くがNISAの制度改正を認知していることが分かりました。

金融に関する一般的な知識を習得している人については、金融に関する新しい情報への関心も高いと言えるのではないでしょうか。

一方、金融リテラシーが低い群(n = 575)(※3)では約6割が「聞いたことがない」と回答しており、金融リテラシーの高低によって情報収集に差がある様子が見受けられました。

続いて、NISAを利用しない、あるいは減らしたい理由をたずねたところ、全体では「投資するお金がないから」(20.5%)や「面倒だから」(19.7%)などの理由が多く見られました(n = 117)。

一方金融リテラシー高低で比較すると、金融リテラシーが高い群(n = 39)では「すでに他の手段で資産運用しており不要だから」(20.5%)という理由を挙げる人が多く、
金融リテラシーが低い群(n = 16)(※4)では「始め方がわからないから」という理由が37.5%で、際立って高い結果が得られました。

金融リテラシーが低い人にとってはNISAを始める時点で障壁があるため、始め方のガイドやサポートなどの働きかけによって、利用促進につながるかもしれません。

また、金融リテラシーの習得は経験に依るところもあるため、若年層の金融リテラシー習得が課題となっています。

 同調査の金融リテラシーを問う設問では、20代(n = 41)では全問正解者に比べ全問不正解者の方が多く、その割合は31.7%にのぼりました。

一方60代(n = 634)では、全問不正解者はわずか14.2%という結果となり、他の年代との比較からも、20代の金融リテラシーの低さは特筆すべき点と言えます。

 今回の調査結果から、「金融リテラシー」という消費者の前提条件の違いによって、金融商品に関する認知や課題も大きく異なることがわかりました。


皆様が商品・サービス展開される際に、少しでもご参考になりますと幸いです。

 

※1:金融RADAR:金融RADAR®は日経リサーチの登録商標です。

※2:金融リテラシーを測る設問(全4問)全問正解者を「金融リテラシーが高い群」としています

※3:金融リテラシーを測る設問(全4問)全問不正解者を「金融リテラシーが低い群」としています

※4:サンプル数が少ないため、参考値としてご参照ください

 

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■今週の執筆者■
戸澤 ほのか(ソリューション本部 アカウント第1部)

 
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日経リサーチ 金融ソリューションチーム finsol@nikkei-r.co.jp

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