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Vol. 80 金融機関の「Well-being」に向けた役割

                           (2023年7月)


金融ソリューションチームコラムのVol80をお届けいたします。

梅雨明けもまもなくでしょうか。 最近「Well-being」という言葉を聞くようになりました。そこで今回は、「金融機関の「Well-being」に向けた役割」について考えてみました。


「GDP」から「GDW」へ

2021年3月に、日本経済新聞社は公益財団法人Well-beingfor Planet Earth、有志の企業や有識者・団体等と連携して「Well-being Initiative」 を発足しました。 企業経営を通して「Well-being」の実現をめざす企業が集まった組織です。金融機関も数社既に参加されております。この組織では、国内総充実(Gross Domestic Well-being、略称: GDW)という指標を継続して測定しています。これからの時代はGDPの物質的な豊かさよりも質的な豊かさが重要視される事態になっていくのでしょうか。 今回はこの「Well-being」と金融について少し考えてみました。


「Financial Well-being」の実現に向けて

金融機関の皆様の役割は、顧客がお金を上手に管理・利用・運用できるようにサポートすることです。顧客の膨大なお金まわりのデータを保有されており、最も適切に日々の「家計管理」から「ライフプラン」までサポートする良きアドバイザーになる存在です。これからの「Well-being」」の実現に向けて欠かせない存在です。 コロナ禍、急速にデジタルシフトが進み、有人店舗の減少などで高齢者層を中心に相談や利用のしづらさを感じる顧客も増えたかもしれません。しかしながら、デジタルバンクの出現や金融機関のwebサイトやコールセンター、チャット、などタッチポイントは多様化し利便性はどんどん高まっているように思われます。


金融リテラシーと金融機関への期待

しかしながら、日本国内では、サービスを受ける顧客側の知識にまだまだ課題はありそうです。特に我が国の金融リテラシーは先進国の中では劣勢のようです。金融広報中央委員会が実施した最新の「金融リテラシー調査2022年」のレポートで国際比較をしていますが、2019年に公表された米国の結果と合わせてみると、共通設問の正答率でみると日本が47%、米国は50%と、わずかに日本を上回っています。また両国共に年齢が高くなるにつれてリテラシーが高くなる傾向がみられ、若年層に課題があることが指摘されています。
さらにOECD調査(2016年(イギリス)、2020年(ドイツ、フランス))の結果では知識設問の正答率は日本が59%、イギリス60%、ドイツ68%、フランス67%でやはり日本は低い傾向にあります。
2022年4月から高校家庭科で、投資教育が必須になりましたので、他国に後れを取りながらも追い越す日が来るかもしれません。

「Financial Well-being」の推進には金融機関も商品・サービスの利便性向上だけでなく、利用者のリテラシーを向上させる接客や商品サービスの説明、イベントなどを通して、正しい金融知識を提供していくことが期待されていると言えそうです。
どうぞよろしくお願いいたします。


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■今週の執筆者■
中谷 真由美 (営業企画部)

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日経リサーチ 金融ソリューションチーム finsol@nikkei-r.co.jp
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