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Vol. 85 インターネット調査回答者へ心がけること

                             2023年11月


金融ソリューションチームコラムの第85弾をお届けいたします。


今回は、インターネット調査の環境変化と、アンケートのスマホ回答によるストレスについて説明いたします。

「インターネット調査品質ガイドライン(2020年5月 日本マーケティング・リサーチ協会が発行)」によると、インターネットモニターに対しての調査のデバイスは2018年にスマホがPCを超え、2019年には56%の使用率となっています。

また、1か月に1回以上アンケートに回答するモニターの割合は2013年を基準とすると、2019年は66%と減少傾向にあります。
さらに、新規登録したモニターのうち1年間継続しているモニターは約4割という結果となっており、モニターの定着が課題となっています。

調査票を検討するにあたり盛り込みたいことが多く、膨大な質問数・複雑な設計・長い設問文・長い選択肢など膨大になりがちですが、スマホでの回答者の割合が増えている中、変化する環境に合わせて調査を行う側も必要な項目に絞り工夫が必要と考えます。

ここで、アンケートを回答するうえでの回答デバイスとストレス感について調べた調査についても紹介します。
(参考文献『ウェブ調査の基礎』 著:山田一成)
※1都3県在住20~69歳/2017年/インターネット調査

以下はスマホでの回答者がPC・タブレットといった他のデバイスでの
回答者よりもストレスを感じている項目です。
※( )の数字はスマホ回答者のうち「該当する」と回答した割合 (n=1597)

  • ディスプレイ画面が狭いので、ストレスを感じた(30.1%)

  • カーソル操作(タッチ操作)が思うようにいかず、ストレスを感じた(21.5%)

  • ときどきブラウザが反応しなくなるので、ストレスを感じた(18.8%)

  • 文章や選択肢が画面からはみ出して、見づらい質問があった(43.0%)★

  • ディスプレイ画面の表示が小さいので、選択肢が選びにくかった質問があった(37.0%)★

  • 長い文章の表示が続いて、答えるのが面倒になった質問があった(31.5%)


特に、★は該当率が4割前後と非常に高いことから、画面の小ささが回答に悪影響を与えていることが示唆されます。

インターネットモニター定着率の低下や回答デバイス環境の変化を踏まえ、
長文の質問や選択肢はできるだけ避けるなど、
回答者に寄り添った調査設計や画面作成が重要です。


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■今週の執筆者■
片岡 龍太郎(ソリューション本部 アカウント第1部)


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日経リサーチ 金融ソリューションチーム finsol@nikkei-r.co.jp
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