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第4回 ソウル都市建築ビエンナーレ 現地リポート

黄 ジュン儀
日建設計 都市・社会基盤部門 都市基盤計画グループ

2023年9月1日から10月29日にかけて、韓国・ソウルにおいて、「第4 回ソウル都市建築ビエンナーレ(以降、ビエンナーレ)」が開催されました。世界34都市、23チームが参加した「Guest Cities Exhibition、PARALLEL GROUNDS、TOKYO」の企画展には、日建設計も出展し、”Cooperative Design for New Urban Infrastructures”をテーマに、「58 Public Spaces in Tokyo」本の内容や、東京駅八重洲口開発とMIYASHITA PARKの2つのプロジェクト紹介を展示しました。
出展者の個々の要望に合わせて展示ブースがデザインされ、日建設計のブースはエントランスのすぐそばに設置されました。実物大の縦長の映像や屏風型の展示スタイルが迫力あるプレゼンテーションにつながり、参加者から注目を浴びていました。

ビエンナーレの1日目には、日建設計より大松敦(代表取締役社長、社長執行役員)、児玉謙(代表取締役副社長、副社長執行役員)、奥森清喜(取締役、常務執行役員)、田中亙(常務執行役員)、村尾忠彦(執行役員)のほか、展示メンバーが開幕式に出席しました。また当日の登壇者として、吳世勳氏(ソウル市長)をはじめ、金顕基氏(ソウル市議会議長)、各国の駐韓外交使節、建築・都市業界の専門家らも出席されており、本展示会のソウル市内での注目度の高さが伺えます。

開幕式に行くまでは、専門家が集まるクローズドな場かと想像していましたが、実際は期待をはるかに超えた開かれた空間でした。会場が一般市民にも開放されているSonghyeon Green Plaza(公園のようなパブリックスペース)の中に設置されており、セキュリティゾーンはあるものの、通りすがりの人でも催しを視聴できる状態でした。開かれた空の下、ビルや山に囲まれ、様々な芸術作品とインスタレーションが飾られており、自由と豊かさに包まれていました。

同Plazaの歴史について調べてみました。朝鮮王朝時代の王室の跡地、アメリカ大使館の私有地を経て、約110年間未利用となっていましたが、2022年に一般市民に開放された公園としての暫定利用が始まり、近い将来、博物館が建設される予定だそうです。ビエンナーレ期間中は、都市や建築の美しさと創造性を体験できる展示会場として使われました。
開幕式終了後の翌日にも訪れてみると、ちょうどパブリックビューイングが実施されており、安藤忠雄さんのインタビュー映像が流れていました。必ずしも建築関係者だけでなく、学生、子連れ、外国籍の観光客など、いろいろな方が集まってくるのを目の当たりにして、都市と建築の文化が自然にソウルのまちに溶けこみ、発信されていると感じるひと時でした。

ビエンナーレの2日目には、ソウル市庁舎で国際フォーラム「Land Urbanism: Coexistence of Density and Publicness」が開催されました。奥森清喜(日建設計)と田中亙(日建設計)が登壇し、”Cooperative Design for Public Spaces as ‘New Urban Infrastructures’”と題して、東京駅八重洲口開発とMIYASHITA PARKの二つのプロジェクトについて講演を行いました。さらに、James von Klemperer(KPF)、Jeroen Dirckx(KCAP Partner)、Sungjin Min(SKM Architects)、kang byoung keun(建築家)など、多分野の専門家も交えながら未来都市としてのソウルの可能性についてディスカッションが行われ、日建設計も東京における開発の知見を踏まえながら様々な議論、考察を行いました。山と川に囲まれた自然環境の豊かさが100年の開発によって色あせないよう、ソウルを再生しようという志が来場者に響き、会場を最高に盛り上げました。

自然の良さを活かし、市民に憩いを提供するSonghyeon Green Plazaのようなパブリックスペースが、ソウルに限らず、いろいろなまちで増えると良いと思いました。


黄ジュン儀
日建設計 都市・社会基盤部門 都市基盤計画グループ
2016年筑波大学大学院修了、日建設計入社。
中国の都市デザイン業務及び、東京都心のターミナル駅周辺都市開発コンサル業務、新庁舎整備業務等に携わっています。

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