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日建グループオープン社内報|デザイン人生相談オレに訊け!⑥

宮川 浩
日建設計
フェロー役員 デザインフェロー

SUDARE BACKDROP

50代男性からお悩み相談

在宅勤務でのリモート会議で家の様子が映り込むのが気になります。バーチャル背景は人工的であまり好きになれません。家族が通りかかると画面が見られてしまうのも気にかかります。何か良い解決法はないでしょうか?

私もリモート会議での背景に頭を悩まされています。自宅環境が人様にお見せしたいようなものでは無い上に、予期せぬタイミングで家族が映り込んでしまうこともしばしばです。かといってバーチャル背景の不自然さ(特に顔の輪郭と背景との境界)や他の人との被りも気になるところです。セキュリティー上、家族であってもパソコンの画面は見えなくなるようにしたいとの思いもあります。こうした悩みを解決できるアイテムを実際に制作してみることにしました。

条件として

  • ホームセンターで簡単に手に入る部材(定尺材)で簡単に制作できる

  •  一人で組み立てられ、移動も容易

  •  好みに応じで雰囲気を変えられる

  •  ばらした時にかさばらない

廉価◆表面温度を抑え、森の木陰の涼しさを

インターネットで簾の定尺材(180cm×88cm)を取り寄せたところ、このサイズのものを腰の高さで横に広げることでパソコンのカメラ画角がカバーできることが分かりました。上から吊り下げると大げさな架構となるため、簾を木の枠で挟み込んで自立させる台を作ることとしました。設置イメージは下のスケッチの通りです。簾が背景になると同時にパソコン画面の目隠しスクリーンにもなります。

SUDARE BACKDROP 工作図

支持フレームは、近くのホームセンターで木材を物色したこところ、軽量のフォルカタ材(910×90×13)を発見。これをベースに支持フレームを作成し簾を差し込む形で支持します。この支持台2つを丁番で連結し90度開きの簾台とします。直角のままですと入隅部が影になるので、コーナー部分は隅切りするようにしました。これに可動式の足をつける事で台が完成です。実際のパソコン画面では下記の写真のような感じです。簾にはいろいろ種類がありますのでお好みのものを選べます。囲われ感があるので会議に集中できる副次的なメリットもありそうです。

左:通常時  右:SUDARE BACKDROP設置時

実際作ってみると当初の想像より大きな感じとなってしまいましたが、簾の長さは150㎝程度で十分なことが分かりましたので、それに合わせると支持フレームはもう少し小ぶりなものにできます。さらに足にキャスターを取り付けると移動が楽になります。

ばらしたところ(簾、支持台、足)

材料費(簾、木材、丁番、釘、両面テープなど)は、およそ6000円で半日もあれば作成可能です。これとは別に木材の加工費(木材カット、台の足の溝加工)に2000円ほどかかりました。

ばらすとこのくらいのボリュームです。まとまりが悪いのでひとまとめにできる袋があるとうまく収納できそうです。

※この記事は、2022年5月に日建グループの社内報に掲載したものです。

宮川 浩
日建設計
フェロー役員 デザインフェロー
1983年、早稲田大学修士課程を経て日建設計に入社。専門は建築意匠設計。1989年にイエール大学修士号を取得。「関西国際空港 旅客ターミナルビル」(1994)、「大阪ドーム(京セラドーム大阪)」(1997)、「ポーラ銀座ビル」(2009)、「北京テレビセンター」(中国、2009)、「広州図書館」(中国、2012)、「蘇州現代メディアプラザ」(中国、2016)、「MOD放送局」(ベトナム、2019)、「有明体操競技場」(2019)など、国内外で、幅広い分野のプロジェクトを担当。一級建築士、日本建築学会会員、日本建築家協会登録建築家、APECアーキテクト。

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