松本人志さんの性加害について最低限今言える事

 松本人志さんの件について、今、一部の芸能人の方達が発信している内容は、
松本人志さんが実際に性加害と言われる行為をしていたかどうかに関わらず、
性被害にあった人間全般を追いつめたり、苦しめたりするものとなっているように思う。

当然だけど、私には何の取材力も無いので、当時実際に何が起きていたか、という部分に関する情報は何も持っていない。

ただ、逆に何かを決めつけるような発言をしている人に対して、自分の経験から様々な可能性を提示して、話をもう少し深くする事は出来ると思う。


性加害に遭った直後の人間は、現実逃避でハイになるケースがある


節のタイトル通りの話だが、これは何かしら実体験を伴わない人間には、かなり共感するのが難しい感覚だと思う。

性被害に限らず、強烈な精神的ストレスを受けた直後の人間は、自分の身に起きた事から現実逃避するために、ストレスの原因となった加害者を受け入れたかのように振舞ったり、極端に上機嫌になったりする。

ストックホルム症候群や、DV加害者と被害者の共依存などに見られるように、心身が衰弱した人間は加害者を味方だと思い込む事で、現実逃避をしようとする傾向があるのである。これを「攻撃者との同一化」と呼ぶ。

相手が同じ業界、コミュニティに所属する上の立場の人間ともなれば、なおさら自分が損をしないために相手に迎合する態度を取りやすくなってしまうだろう。

性行為に誘った側からすれば、理不尽に感じるかもしれないが、
相手を受け入れるようなメッセージ、
喜んでいるようなメッセージを後から相手に送っていたとしても、
それは本当の意味での同意を意味しない。

認めたくはない現実だが、性被害に遭った人に対して奇異の目を向けてしまう。
今まさにそうであるように、美人局扱いしたり、
もしくは性が乱れたコミュニティの一員だったのではないか、というような偏見を持たれたりする。

そして、そういった否定的な偏見を持たない人ですら、そういった被害者に対して、「特殊な経験故に、最早普通の恋愛が出来なくなっているのではないか」というような先入観を持って接してしまったりする。

性被害に遭った直後のまともに思考が出来ない状態では、
責任感が強い人間程、
そういった飲み会に参加した事、
一瞬でも迎合するような態度を見せた事、などから、
自分にも責任があったのではないか、という感覚になる。

そんな精神状態で、上記のような偏見に晒されるリスクやコストと向き合うのは、地獄のような生活を被害者強いる事と同義なのだ。

裁判でもするとなったとして、どんなに相手が悪くても、物事はそうぽんぽんスムーズには進まない。被害者は、すぐにでも忘れたい残酷な現実に何年もかけて向き合い続ける事になる。

被害が発生したと被害者が主張する時期から、告発まで8年という長い時間を要した事を、
告発した女性の怪しい点、もしくは矛盾点のように捉えている方もいるようだが、
自分自身が傷つけられたという現実を受け入れ、
ある程度正常な思考を取り戻した上で、
さらに相手がどうしてどのように悪かったのか、というのを言語化するには、簡単にそれぐらいの期間を使ってしまうものだと知って欲しい。

松本人志さんが性加害をしていた、と決めつける訳ではないが、
逆に、告発した女性がお礼のメッセージを送っていた点や、
被害に遭ってから告発するまでに8年かかったという点を以って、
告発内容が怪しいと判断するのは、間違っている、という事は言える。


結論:重要なのは、相手を性行為に誘うまでの手段


性行為の最中と後の態度というものが、
良い意味でも、悪い意味でも、信頼性が低い情報であるというのは、
上で述べた通りである。

後から何とでも言いたい放題なんて、ずるいじゃないか、
という感想を抱く人もいるかもしれないが、
話はそこまで複雑ではなく、
そもそもどういう経緯で相手を誘っていたか、という部分に気を付ければ良い。

例えば、今回の件で報道されている内容の一部では、
小沢さんが相手に心理的プレッシャーを与えるような文面を送っていたり、
携帯電話を没収していた、とされている。

相手が自分から望んで性行為をする、と思うのであれば、
どうして相手を脅かすような発言をしたり、
携帯電話を奪う必要があったのだろうか。

「通常のやり方では、性行為に及ぶ事が出来ない」という事が解っているからこそ、
つまり、「同意がない」という自覚があるからこそ、
そういった策を講じる必要があったのではないか。

実際に相手が同意していたか、という点以上に、
上に挙げたような相手から選択肢を奪うような行為が無かったか、
という点に注意すれば、物事が大分判断しやすくなると思う。

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