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[ 誕生日会に招待したよ ]:シロクマ文芸部(誕生日)

↑↑コチラのお題に参加してみました〜
とりあえず我慢して最後まで読んで欲しいと作者は願っております😊♪


画像:miyagi/illustAC


[ 誕生日会に招待したよ ]

 誕生日会に、初めて皆んなを招待した。
 
 特にあの子を呼べたことが、とても嬉しかった。
 転校して誰も友達がいなかったころ、あの子は自分の誕生日に私を呼んでくれた。
 あの子の家は大きかった。
 自分の部屋だと案内されところが、私んちと同じくらいの広さだった。
 出された食事も美味しくて、皆んなと一緒に、笑って踊って歌って、あんなに楽しい日はなかった。

 でも、その後も、私は学校で、ずっとひとりだった。

 あんなに楽しいひとときを過ごしたのに、あの子も皆んなも、学校では、ほとんど話してはくれなかった。

 皆んなの楽しそうに話す内容を聞いてたら、誰かの家に集まって遊んだことが話題になっていた。
 そうか、だからか、と私は思った。
 私は、皆んなをウチに呼んでいないから、きっと話してくれないんだ。
 お母さんに、ウチに皆んなを呼んでいいか聞いてみた。
 それならもう直ぐ誕生日だから、誕生会に招待しな、って言ってくれた。
 それで、今日、皆んなを招待した。

 一週間前に声をかけて、皆んな来てくれる、と言ってくれた。
 狭い家だけど、飾り付けをして、お母さんはケーキを買って来てくれて、唐揚げやシチューなんかを作ってくれた。
 あとは、皆んなが来るのを待つばかりだった。

 でも、何時になっても、ウチ来る人はいなかった。

 皆んな遠慮しているのかも、と思って、皆んなの家に行ってみた。
 そしたら、どこの家に行っても、いないと言われた。
 最後にあの子の家に行った。
 庭の前を歩いているときに、笑い声が聞こえた。
 皆んなの楽しそうな声。
 集まっていたのは、私の誕生会に招待した皆んなだった。

「そっか……、そうだよね……」

 なんか、納得した。
 悲しくはなかった。
 だって、気づいていたから。
 私だって、気づくよ、そんなこと──。

 皆んな来ないって知ったら、お母さん悲しむかな。
 仲間はずれにされてるって、気づかれちゃうかなー。
 しょうがない、いっぱいケーキを食べて、いっぱい唐揚げ食べて、いっぱいシチューを食べよう…。
 皆んな、忙しいんだ、って言えば、納得してくれるかなぁ…。

(あれー、なんだか……)

 涙が出てきた。
 悲しくなかったハズなのに変だね。

 涙が止まらなくて、止まらなくて。

 でも、もう直ぐウチにつく。
 涙を乾かさなくちゃ、お母さんに心配かけちゃう。

 涙を袖で拭く。
 拭いても、拭いても、涙が出てくる。

 拭かなきゃ、──だって、もう、ウチのそば……。

 涙で霞んだ目にウチが映る。

「え、」

(───ひとかげ?)

「やっほー、きたよー」
「ゴメンねー、プレゼント買ってたら遅くなっちゃってー」

 ウチの前に、ふたり。

「え、あれ? 他の子と一緒じゃなかったの?」

 って、泣きべそかきながら聞いてみた。

「うん、」
「誕生日、祝いたいと思ったからね」

 ………………………。

「───ありがとーう!!!」

 って、泣きながらふたりに思わず抱きついた。
 あとで言われた、急に泣きながら抱きつかれてビックリしたって。

 そう、ふたりとは、その後も、ずっとずっと親友だ。

 3人での誕生日会、楽しかったー!
 お母さんも、すごく喜んでた。

 そして、今日は、あの日から何年か後の私の誕生日。
 一人暮らしを始めた私の部屋に招待したふたりと、朝まで飲み明かすぞ!

    なんたって、今日は、私の誕生日会だもの。


おしまい。

#シロクマ文芸部


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