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世はまさに大アフタヌーンティー時代

「アフタヌーンティー」と聞いて、どんなものをイメージするだろうか。

「3段の銀色のトレイにきゅうりのサンドイッチやスコーンが載っていて、それらの軽食とお紅茶を楽しむもの」と想像する方が多いのではないか。

そうしたいわゆる「(本場イギリスの)クラシックなアフタヌーンティー」と一線を画して、「テーマやモチーフ」が不随するアフタヌーンティーを各所で見かける。

その「テーマやモチーフ」がとても面白いなあと思っている。

例えば、最近一番衝撃を受けたのは【最後の晩餐】をテーマとしたアフタヌーンティー。

どんな気持ちで食べるのだろう、最後の晩餐をモチーフにしたアフタヌーンティー。

アフタヌーンティーに行くと、見た目にも素晴らしいお料理が運ばれてきて「キャー!!」とはしゃぐのが常というか様式美だけれど、これはそういうテンションで楽しむものではなさそうよね。

(「ユダ」のポジションを与えられたお料理が面白い。そのお料理をそこにもってくるのか~~と一人ほくそ笑んだ。気になる方はぜひリンク先を見てみてください👍)

「名画」はアフタヌーンティーにおける定番モチーフの一つになっているようだ。

ゴッホの「ひまわり」に始まり、

「ルネ・マグリット」まで。

絵画ではないが広く言えば「アート」に分類されるだろう「枯山水」も、気づけばアフタヌーンティーに。す、涼やか…!そして細やか…!もはやアフタヌーンティーが芸術の域

コロナ禍で失われたイベントをテーマにしたアフタヌーンティーも目立つ。

例えば「夏祭り」

夏祭りに欠かせない「金魚」や「ヨーヨー」を模したスイーツを提供するアフタヌーンティーもあれば、

名古屋のストリングスホテルのセイボリーは完全に「屋台フード」を再現している。ミニチュア屋台フード、かわいすぎる…!

また、いずれの「夏祭りアフタヌーンティー」も浴衣で行くとお得な特典がついてくるそうだ。

浴衣でアフタヌーンティー、とっても粋だなあ。去年も今年も夏祭りは無い。すっかり浴衣を着る機会が無くて悲しいけれど、私たちにはアフタヌーンティーがある。

夏祭りと同じく、すっかり縁遠くなってしまった「海外」をテーマにした企画も。

マリオットは「ハワイ」イメージのアフタヌーンティーを展開していたり、

リーガロイヤルホテルは「世界を旅するアフタヌーンティー」シリーズを展開している。今年3月の第一弾は「和」、5月の第二弾は「オーストリア」、そして7月からの第三弾は「台湾」。台湾アフタヌーンティー?!絶対に行きたい…!

個人的にとても惹かれたのは帝国ホテルの「塩」を主役にしたアフタヌーンティー。企画の新奇性ではなく「スイーツや料理の味」に全力投球感がさすが帝国ホテル。(残念ながら会期終了してしまった…涙)

また、もう一つ気になったのはアンダーズ東京の「レモングラス」のアフタヌーンティー(2020年の企画)。こちらもかなり攻めている気がするが、残暑厳しい9月にぴったりだ。


さて、アフタヌーンティーはシーズンイベントもばっちり抑えている。

ハロウィンには各ホテルがこぞって「芋・栗・かぼちゃ」を使った秋スイーツをハロウィンらしいスタイリングで提供するし、

ハロウィンが終わると入れ替わりで華やかなクリスマスアフタヌーンティーが始まる。

そしてクリスマスが終わればバレンタイン……かと思いきや、アフタヌーンティー界において2月の一大イベント=バレンタインではない。いちごだ。

2月になればいちごの可愛らしいビジュアルと、スイーツだけではなくドリンクや料理にも使える万能性を存分に活かした「いちご尽くし」アフタヌーンティーが続々登場する。

2月から3月はいちごのアフタヌーンティーが目白押しなのだ。

「フルーツ」もある意味で「シーズンイベント」のひとつだ。日本は四季があるから、春夏秋冬それぞれに旬の果物がある。「いちご」や「桃」は以前からアフタヌーンティーの定番だった気がするけれど、「特定のフルーツ」をフューチャーしたアフタヌーンティーが増えているような気がする。

ウェスティンは「メロン」づくし、

フォーシーズンズは「マンゴー」が主役など。

実際のところ、特定のフルーツをフューチャーしたアフタヌーンティーは増えているのだろうか?読者様の中にアフタヌーンティー有識者の方はいらっしゃいませんか?

🍰

さて、こうして様々なアフタヌーンティーを並べてみると日本におけるアフタヌーンティーは相当に日本ナイズドされているな、と思う。

テーマや季節性を付随させることで他社との差別化ができるうえ、何度も同じホテルのアフタヌーンティーに足を運んでもらえる可能性も高まる。

特にこのコロナ禍でホテルの宿泊部門や宴会部門は非常に厳しい状況が続いているところも多いだろう。そうした背景もあいまって、アフタヌーンティーに力を入れるホテルがもしかすると増えているのかもしれない。

また、私たち一般市民にとってもアフタヌーンティーは貴重な「非日常」なのだ。

結婚式やパーティーにおめかしして出かけて煌びやかな雰囲気の中でおいしい食事を旧友と楽しむような機会も、季節感のあるイベントも、日常を忘れられる旅行も、すっかり失われてしまった。

そうして生まれた心の空白を受け止めてくれるのが、実は「アフタヌーンティー」なのかもしれない。

日本ナイズドされているけれど、それでもアフタヌーンティーの骨格(おいしいお茶にスイーツにセイボリー、気の置けない友達とのおしゃべりなど)はそのままの、各ホテルのアフタヌーンティーたち。

これから日本のアフタヌーンティーがさらにどう進化していくのか、日本において「アフタヌーンティー」という文化がどのように根付いていくのか、これからも楽しみだ。

※この記事を書くにあたって、FashionPressの記事をたくさん引用させていただきました。いつも素敵な情報を配信してくださって、ありがとうございます。

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