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成田空港開港記念日

ずんぐりむっくりはベッドの上でふぅ~と、息を吐き、正座した。

ずんぐりむっくり

ゴメンな、こんな時だけ頼りにして、心配かけて…

薄っぺら男

兄さん、なにを言ってるんだ!!電話しても出てくれない、そっちからはかけてもくれなくって、

用事なんてなくって構わない、僕は、僕はただ兄さんに会いたかった。

ずんぐりむっくり

俺さぁ、親父とも気まずくって、頭も悪いし、なんか、色々、悪い方に考えちゃて、俺が家族と関わらないのが一番の平和かな?

なんて、ひねくれてた。ホントに出来の悪いアニキでゴメンな。お前がいなかったらお袋も親父も俺、無縁仏にしちまってたよ…

薄っぺら男

兄さんが病気になって、一番に頼りにしてくれて僕、嬉しいよ。母さんも父さんも亡くなって、僕、ずっと独りだったんだもん。

ああ、もし僕に時間があったら成田から…あっちの飛行機は安いだろう?

飛行機に乗ってさ、一緒に旅でもしたかったなぁ…僕は、一人でいられる兄さんみたいに強くはない。寂しかった。

隣のベッドの老人が尿瓶で尿をジョボジョボさせる音を聞きながら、薄っぺら男はベッドに泣き伏せた。


つづく



大変貧乏しております。よろしかったらいくらか下さい。新しい物語の主人公を購入します。最後まで美味しく頂きます!!