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内田家Gジェネレーション

最近諸事情により真面目な堅苦しい文章(作文)ばかり書いていた。
ちなみにその作文は会社の偉い方々に講評などされボコボコに言われるなどした。

これだけで僕はコメダ珈琲のたっぷりたまごのピザトーストを吐きそうなくらい精神にダメージをくらったのに、作家の皆様は自分の書いた文章を世界に発信し賛否両方、何万という評価が寄せられ、あまつさえそれでお金を稼いでいるのだから本当に尊敬する。

という訳で久しぶりに適当なふざけたことでも書きたくなりnoteを開いた。

以前から何度も書いているが、大学時代の友人に内田という、家族は飼っている犬以外全員眼鏡という人間がいる。

『また内田のことかよ!内田大好きだな!』と勘違いされる方もいそうだが、内田とはそんなではなく、言わば犬と飼い主の話なので間違えてもらっては困る。

僕は大学時代の一時期、内田の一人暮らしの家にお世話になっていたことがある。
理由は、その時期、僕がホームレス状態だったからだ。

詳細を書いてしまえば長くなるが、簡単に説明すると、大学時代に同棲していた恋人(サークルの後輩)に【リアル矢口真里】を喰らったためだ。

ちなみにその相手もサークルの後輩だ。

女の子を追い出すわけにもいかず僕が家を出て、行くあてのなかった僕は友人の家を転々としていた。

友人が捕まらなければ河原のベンチで寝たり、24時間のコインランドリーで寝たりした。

その中で1~2週間ほど内田の家に転がり込んでいた。

【リアル矢口真里】事件については、いつかまた書くとして、そうした理由で一時期僕は内田が当時住む、新百合ヶ丘のアパートに寄生していた。

内田は、溝ノ口での姉との1ルーム二人暮らしを脱し、嬉しそうに『シンユリに引っ越した♡』と言っていた。

ちょっとお洒落な感じで『シンユリ♡』とか言っていたので『千葉の片田舎出身が調子乗ってんじゃねえ!』と長野の山奥の村出身の僕は心の中で罵声を浴びせていた。

いや、声に出して言っていたかもしれない。

あの日、僕がまだ夢うつつの中、内田は朝からバイトに出かけて行った。

内田本人は夢も希望もない眼鏡をかけただけの人間ではあるが、大学時代、二足歩行のネズミとその仲間たちが闊歩する某夢の国でアルバイトをしていた。

リアル矢口真里、というか面倒なので言うが彼女のゴリゴリの浮気による別離で傷心の僕を慮ったのか、内田は出がけに『帰りに何か買ってくるよ?』と言い、それを僕は『リプトンのレモンティー…』と言って見送った。

ここで話は飛ぶが、先ほど書いた通り、僕は長野の山奥の村出身だ。

村ってなんだよ。

村長が治めているが、村長なんて今時RPGのゲームくらいでしか聞かないよ。

僕の出身地はそもそもが標高が高く、スキー場くらいしか誇れるものがない、一年の三分の一が雪に覆われているような土地だ。

夏だろうが夜は寒い。

実家でエアコンをつけた記憶がない。

そうした場所で育ったため、僕は東京に出てくるまでアレを見たことがなかった。

そう、アレだ。アイツ、黒くて速い憎いアイツ、ゴキブリだ。

上京してみて、田舎育ちで昆虫を鷲掴みにしたり蛙の卵を友人にぶん投げたりしていた僕も、アイツだけはどうしてもダメだった。

なんか『ばっちい』のだ。速いし。ばっちいし、あとなんか速い。

東京での一人暮らしで初めて奴(以後、某漫画から拝借しジョージとする)を見た時、僕は悲鳴をあげ、コンビニに走り、ゴキジェットを部屋中にまき、部屋の10か所にジョージホイホイを設置した。

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翌日、嫌すぎてジョージを捕まえたホイホイを捨てることすら躊躇した。

ちなみに、昔やっていたドラマ『アルフ』のジョージの回は大好きだった。

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何の話かと言うと、出たのだ。

僕が一人留守番する内田家で、ジョージが…

割とデカ目のジョージがだ…

傷心の僕もさすがに悲鳴をあげた。

『てめえ内田部屋をキレイにしやがれ!』と叫びもした。

その一週間で言えば部屋の汚さの原因の半分は自分だったとしても内田への怒りで心が支配された。

時間は夕方17時ごろ、早く見積もっても内田が帰宅するまであと1~2時間あるだろう。

僕が一人で戦う?無理だろう。ジョージだよ?

速いし、ばっちいから。

為す術がなく、僕は帰路にはついているであろう内田の携帯電話に電話をし続けたが出ない。おそらく電車だろう。

電話に出たところでどうにかなるものでもないのはわかっている。
でも不安で仕方ない。電話をする以外に僕にはない。

結局僕は、そのまま為す術なく、部屋の外に出たり、ジョージのいる部屋の、奴の対角線で蹲ってジッと奴の動向を窺ったりしていた。

そうこうしている間に内田が帰ってきた。

どうやら一応僕の着信を気にしていたらしい内田は、その着信の意味など当然わからず、なんなら着信を残しまくっていたのはそれのことだと思たんだろう、帰ってきた瞬間とてもいい笑顔で言った。


『リプトン買ってきたよ!!』


そうだ、そうだろう、内田は何も悪くない。

リプトンを頼んだのだって僕だ。

行くあてのない僕を迎え入れてくれているのは内田だ。

でも…

でも…


でもなんかイラっとした。

今なら思う、悪かったな、と。

僕も大人になったのだ。

でも思い出すとまだちょっとあの時の笑顔がイラっとする。いい思い出だ。

その後二人でジョージを追い回すかと思いきや、奴の姿は見当たらなくなっていた。

不安すぎる。

僕はその日なかなか寝付けなかった。

今でもジョージは苦手だ。

東京は歩いていると普通に道をジョージが横切ることがある。
最低な街だと思う。

でもそれ以上に田舎の閉塞的なところが嫌いなので僕は地元に帰らないのだ。

ちなみに内田は当時ヴィレッジヴァンガードみたいな部屋作りに憧れていて、様々な小物があった。

僕が内田家で一番好きだった遊びは、【内田の部屋にある兵隊の人形を部屋のあらゆる所に隠してそのまま帰る】という遊びだ。

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カレー鍋の中や、冷凍室で凍り付いた兵隊を見つけるたびに内田から文句のメールがくる。

これ以上ない楽しみでした。

またやりたいな。

最後になるが、今回のタイトルのGはジョージのことだ。
ジェネレーションは何も関係なく、SDガンダムGジェネレーションからとっただけだ。

では、次回は『ここが変だよ自己申告書』で会いましょう。

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