見出し画像

『最近見るライブ動画サービスって、ぶっちゃけ何がそんなにいいの?』

なんでライブ動画サービスって盛り上がってるの?

こんにちは、はじめまして。
web業界でつい最近までメディアや動画サービスのマーケッターをしていました。(今は代理店でプロデューサーという未知の挑戦をしています)

この道ひとすじ数十年とベテランぶりたいところですが、実はweb業界は3年半ほどのぺー子。webではコンテンツ・マーケティング、それ以前は某メーカーで商品開発・マーケティングなどをしてきた人生です。

さて今回ご紹介したいのは、今web業界でもホットな「動画サービス」について。最近話題のものだと、若者に大流行の「tik tok」でしょうか。

私の中でtik tokといえば「いい波のってんね~」。耳に残り続けてはや数か月、全く離れてくれる気配がありません。あまりにパワーワードのせいか弊社でも流行りすぎて、飲み会のコールやLINEスタンプにまで使われる始末。

この前、カラオケで女子大生が「いい波のってんね~♪」と歌い始めた時には、いよいよこんなところまで…とtik tokの波のりっぷりを実感せずにはいられませんでした。

もちろん私も、「世代じゃないから」とタンバリンを鳴らしていただけではありません。ひそかにあの世界観に憧れていた私は、ひそかに覚えていた波ジェスチャーを「今だ、今しかない」と勇気を振り絞って歌に合わせてくり出し、長らく抱えていた「tik tokモラトリアム」に見事終止符を打つことができたんです。(何の話)

あの記憶に刻み込まれまくる中毒性…心から畏怖の念を禁じえません。

つい熱く語ってしまいましたが、今回お話したいのは「配信者と視聴者がリアルタイムでコミュニケーションが取れる」“ライブ”動画サービスについて。代表的なものだとSHOWROOM、17 Live、LINE LIVEあたりでしょうか。(あれだけ引っぱっておいてtik tokじゃないんかい)

各サービスの比較分析といったまじめな話は別の機会にするとして、今回は「よくわかんないけどなんでライブ動画市場、あんな盛り上がってんの!?」とイマイチ理解できていない方に向けて、そうした熱量を生んでしまう「魔性の配信者」の特徴をご紹介したいと思います。

「動画サービスでのプロモーション考えてるんだよね」という業界の方や、「実は配信してみたいの!」という方に、何がしかの参考になればいいなと思います。

人気が出ちゃう魔性の配信者の特徴TOP5

1.まるで恋人
とにかくかわいくて優しくて、距離感が近い。

「…さん、今日も来てくれてありがとぅ~」とか、「聞いてくれる?今日ね、こんなことがあってね~」とか、かわいい女の子に極上の笑顔でねぎらわれたり甘えられたりしたら、「あれ?ぼく彼氏でしたっけ?らぶ」ってなります女の私でもね。

ライブ動画を見る時間帯は22時~23時が多いと言われていますが、仕事から疲れて帰ってひと段落した後のこの時間って、1日の大事な癒しタイムですよね。TVをみたり本を読んだり…と何かしらのメディアに触れる方が多いとは思いますが、ライブ動画の場合はそういう「視聴」要素に「恋愛」要素が入ってくるからトクベツなんです。

画面の向こうのかわいい彼女が、自分の部屋をバックにくつろぎながらコミュニケーションしてくれる。これって、今までの「アイドル」「タレント」では実現できなかった、日常の一部に入り込むような距離感。

そういう擬恋人のような接点、立ち居ふるまいが、癒しを超えて「日常になくてはならない存在」にさせてしまうのです。

2.弱さをさらけ出す
これぞ公のアイドルでは中々難しい、動画サービスで育つタレントさんの強み。

人間は心理学的にも、自分の弱いところをさらけ出すと(自己開示)、相手との距離感がぐんとちぢまると言われています。

ライブ動画サービスでは、今日あった悔しいことや活動の悩みをセキララにファンに相談する配信者もいます。ブログやTwitterでお知らせ、ではなく直接話すからこそ、その子の本音に近い、生の言葉が出てきやすくなります。

心の内からわき出る言葉ほど、人の心をつかむものはありません。「この子は俺がいないとだめだ」「俺が守ってやらな!」とファンのコミットはますます高まってしまうというわけです。(そう、完全に恋と一緒です)

これだけ聞くとあざといように見えるかもしれませんが、戦略ではなく、素でやっている方も多くいます。応援してくれるファンをとても大切に思っているからこそ、真剣に相談する…そんな本気の気持ちが「双方向のコミット」を生み、熱量の高さを生みだすのです。

ちなみに、中には「寝起き配信」や「寝る前配信」をやっている方も。

部屋着でくつろいで、寝起きだと寝ぐせなんかついちゃってて、寝ぼけまなこの甘い声で「おはよ~」と美女やイケメンに言われる姿を想像してください。爆死です。(これは弱さというか隙ですけどね)

3.ひたむきなストーリー
ライブ動画サービスではよく「イベント」なるものが行われています。内容は雑誌掲載に向けたモデルオーディション、ファッションショー出演権オーディションからギフト券争奪戦までさまざま。配信者はこのイベントに参加して他の配信者に勝つと、その権利を獲得することができます。

勝つためには、日々の配信の中で視聴者からどれだけポイント(無料のアイテムや有料アイテム)をもらえるかがカギになります。

イベント特典が配信者にとって、昔から憧れていた雑誌への掲載だったり、夢にまで見ていたCDデビューだったりしたら…配信者は、何としてでも夢を叶えたいから、そのイベントに本気で向き合います。ライバルと競っていて不安になり、涙することもしばしば。

でも、そういう「夢を叶えにいく本気のストーリー」が見る者の心を惹きつけてしまうのは、間違いない。視聴者も本気で応援するようになり、気づけば本気のファンになっている。そこには、「かわいいからチェックしておくか」という動機で見始めた最初の頃とは全く違う感情が生まれているのです。

ちなみに私は、情熱大陸やセブンルールでもすぐうるっとする派です。

4.アンチをも味方にする
どんな人気者でも(人気者だからこそ)、アンチは存在します。

最近のライブ動画サービスにはNGキーワード非表示機能やブロック機能があるので、ひどいものは見ないようにできます。しかし、そこまではいかないけどちくっと刺す発言をしてくる人も、たまにいます。

そういう時、人気のある配信者は「も~そんなこと言って!●●さんはどうなの~?」とか、「それは確かにそうかもだね。ごめんね!」とか、ちょっと拗ねたりちょっと真剣に受け止めた後、カラっと笑って次の話題にもっていきます。

ポイントは、「うじうじと気にする様子を見せない」こと。

そうすると周りのファンが、その気づかいをくみ取ってポジティブな雰囲気でフォローしてくれるから、アンチ発言をした人もそれ以上はつつきにくくなります。

それどころか、自分の攻撃をまるく包みこんでくれた配信者に、好意すら抱くようになることも。本当はかまってほしかっただけだったりすると、一回受け止めてポジティブに変換して対応してくれるって、極上の優しさですからね。

それを見た周りのファンが、懐の深さにさらに愛着を増す…という正のスパイラルが起きるんです。

5.毎日配信する
これには二重のメリットがあります。

1つは、その努力に対してファンの応援心が強まっていくこと。もう1つは心理学用語で「単純接触効果」といい、接触するほど相手に好意を持つという作用が生まれること。

SHOWROOMで大人気のAKB48チーム8の大西桃香さんは、まさにその好事例。彼女は毎朝5時半からの配信を1年以上続けています。お父さんが亡くなった時に、絶対に続けると決めたらしい…そうしたストーリーと努力と、彼女の素直で愛らしい人柄があいまって、どんどん虜になってしまうんですよね。

まとめ


改めて振り返ると、これを全部やりながらファンを増やしていく配信者さんたちのメンタルって、魔性っていうか、努力の神ですよね。だからこそ抜きんでることができるのでしょう。エムグラムで上位に豆腐メンタルが出てくるような私には、逆立ちどころかバク転したって真似できません。

このようなライブ動画サービスは現状「女性配信者×男性視聴者」の構図が強く、配信者もアイドル・タレント的なタイプが強いため、商品PRのプラットフォームとしてはまだニッチ市場、という印象が強いようです。

確かに異性のファンがつきやすいので、女性配信者がライブコマースでコスメ売っても、欲しい層にはヒットしにくいですよね。

しかしこの構造だからこそ、「ストーリー」によっては切りこめる市場があるのではと思います。

例えば「配信者とおそろいのパジャマで寝る前の時間を一緒に過ごそうよ」ならグッズが売れそうだし、「私のふるさとの活性化のためのグルメレポやります!」ならその地方のふるさと納税とうまく絡めることもできそう。

配信者×視聴者間に生まれる熱量の理由や意味をとらえた上で、そのストーリーにのせることのできるプロモーション…まだ市場が成熟していないだけに、ここの勝ちパターンをつくっていくのって、マーケティング冥利につきそうですね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?