※ネタバレ注意

ネタバレを全力で避け 「ヤバい」という前情報のみで行ってきました。※R18：ディレクターズカット版

◆ 観る前
3時間も耐えられるのかな〜(頭空っぽ)

◆ 全力でぶっこわしにくる三半規管
冒頭の金切り(嘆き)声がモスキート音のように耳にきんと響き、360°回転のジェットコースターに乗っているが如く 天と地を逆さまにみせるカメラワーク。地面は底なしの曇り空になり、今から起る底知れない恐怖を暗示しているかのよう。この時点で不快指数MAX。

◆ 不快さ 違和感 矛盾の欲張りセット
冒頭に出す映画のタイトルって、それと一緒にその映画そのもの！って感じの演出をして然るべきとこあるじゃないですか。ミッドサマーというタイトルの後ろ、降りしきる、雪。笑った。
やっとこさ着いたホルガ村でも、じわじわと迫る違和感が不安を煽る。黒を基調とした住居は、形が歪で屋根も左右非対称。その中にひとつだけ均整のとれたピラミッド型の目の目の覚めるような黄色い建物。絶対この建物で何かしら起きるやんけ。
それから 不協和音と言ってもいいホルガ村の人々による歪なコーラス。ウワーーーッ！！
人は矛盾を整理したがる生き物だと聞いたことがあるけれど、脳みそが処理に追いつかない。ずっと目と耳とメンタルへの嫌がらせ(褒め言葉)が止まらない。
生娘にしか見えない天使みたいな女の子たちが、飲み物にxx入れたり、食べ物にxx入れたり、ママに見られながらxxしてるので、脳みそがバグりました。そしてちょっと笑っちゃった。シュールすぎて人類には早すぎるシーンだけど、監督的には笑って欲しかったんだよね、多分。場内シーンとしてる中で、2つ隣の席から笑い声が聞こえて安心した。

◆ それでも退席できない呪い
ここまで情緒不安定にされられても、はっとするようなホルガ村の美しい牧歌的な風景に絆されて、綿100パーセントみたいなまっさらなワンピースとかわいいお花に彩られた村の乙女たちは最高に可愛いし、散々煽られたこの後の展開が気になりすぎて席を立つことはできない 、できるはずがない。最低で最高。

◆"あ、これ人燃えるメタファーだな"
恋人の誕生日を忘れた彼氏が、慌てて用意した即席のケーキにロウソクを点火するシーン。ライターの火がなかなか着かない。カチカチカチカチ……。少し燃える、また消える、また着ける……その後ろ、丁度ロウソクの灯火部分と重なった位置の後方で、コーラスの女性たちがゆらゆらと揺れている。もうこれ意図的でしょ。あの"カチカチ"の数、9回(生贄の数)だったら怖いな、確認してないけど。

◆文化人類学的なあれ
学生の頃少し(ま〜じでほんの少し)かじったことあるだけなので無責任に適当言いますが、文化人類学的考え方のひとつに

……的なのがありまして(うろ覚え)、主人公の彼氏たち どうした、洗脳されたか？って思いがちかもですが、専攻として修士課程を修める程度には、文化人類学にどっぷり浸かった彼らからしたらまたとない機会でもあって 胸糞感情と天秤にかけて、探究心の方をとっちゃったんですよね……知らんけど。

◆ 洗脳(という言い方の是非はともかく)
ホルガ村の人々に "あなた方のやっている事は異常だし、悪だし、正しくない" と説得し(ようとしたって無駄だと思いますが) 仮に成功した場合 精神崩壊する人や最悪の場合自殺に至る人が出てくると思われる。自分が今まで正しいと思ってきた生き方や思想を根本から否定され、ましてや自分たちが村のため神様のためにとやってきたことが全て悪(是非は別として)だと認識してしまった瞬間、アイデンティティの崩壊です……レ・ミゼラブルで言うところの、ジャベールしちゃう可能性がありますね。

◆ クリスチャン 
キリストと掛けたの？人類(村の民)のため犠牲となったのだ………… 

◆ ビョルン＝アンドルセン
おじいちゃんになってもイケてて美しい〜！その美しい顔面、ハンマーでぼっこぼこになったけども。悲しい。

◆ 最後
彼女が晴れやかな笑顔で最高だった。メリーバッドエンド大好きなので。あそこを恐怖や絶望の表情でなく、あえて笑顔にしたの拍手喝采。好き〜〜〜！もうたぶん一生見ないけど！！！！

◆ 見たあと
思ったよりは緩急あって意外と平気だった。けどレミゼの3時間とは、もう、何から何まで成分が違う、違いすぎる。
その足で友達とエルダリーフラワー(食べられるお花)のカフェに行ったの、狙ってなかったとはいえ狂気だなって思いました。

◆ もうなにがなにやら。
とりあえずホルガ村のみんなは決して悪魔ではなくて私たちと"同じ"人間だよと言いたかった。です。

以上、人間(ひとま)でした。

みんなでレ・ミゼラブルを見よう！！！！！！！！