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「君主論」5.冷酷だなどの悪評をなんら気にかけるべきではない。

 マキャヴェリ「君主論」中の名言と自分の思うところ、その5です。
 
(5)君主たるものは冷酷だなどの悪評をなんら気にかけるべきではない。
・・・・懸命な君主は、もともと自分の意思に基づくべきであって、他人の思惑などに依存してはならない。ただし、恨みを買うのだけは努めて避けるべきだ。
  
 マキャヴェリはチェーザレボルジアやハンニバルの例を出して、憐れみは役に立たないが冷酷さは役に立つと述べている。今の実社会において全く同じだとは思わないが、一面の真理ではある。
 
 今の日本の経営者はどうであろうか。
財閥系名門企業の会社の社長は総じてドラスティックな施策は見えず、会社は安定はしているが大きな発展性は見えにくい。社員からみれば、温情ある社長と言ったところ、2期4年ないし3期6年程度で交代し、単にその時期に社長だった人とのイメージだ。
 
 いっぽう、一代で起こした新進気鋭企業の社長は、総じて個性が強く、かつ冷酷な一面を持っている人が多いのではなかろうか。上手く回転している会社は、社内全体がピリッとして社長の意向が素早く徹底される。
 
 しかしながら独裁政権は不安定で企業の浮き沈みが激しい。ここで具体的な例を挙げるわけにはいかないが、過去の成功体験から抜け切れずに失敗する経営者も多い。はなはだしきは、失敗を社員のせいにして、特定の社員を冷遇して彼らの恨みを買っている・・・・のではないか。
 
 私は会社にとって、能力、性格等でその立場に相応しくないと思った人は全て退場してもらった。勿論、いろいろ気を使い、少なくとも経済的には極力配慮した。更に職務を整理して人を減らし、最終的には事務系社員を半減した。社長はにこっと笑って人を切ると言われた・・・・らしい。冷酷と思われたであろうし、恨みを持った人もいたかもしれない。

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