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日記 2024.5.9(木) 草花に目線を合わせる。

実家に帰ってきた。思った以上に寒い。半袖短パンなんてまだ全然違うという雰囲気。帰ってきてすぐにトレーナーを着て、長ズボンに履き替えた。夜はストーブを付けてちょうど良いくらいだった。トランクの中には着られそうな服が、ほとんどないけどどうする。

今朝はお母さんが一泊旅行に出かけるのでわたしも一緒に4時起きして準備を促す。出発予定時間を5分過ぎて送り出した。5分遅れで済んだのだからよしとしよう。台所でバタバタしているとお父さんも起きて電気をつけ始めた。

4時から起き上がって動き回ると午前中がやたらと長い。まだ5時半か、まだ8時なの?といった感じで時計を見るたびに驚く。あまりの寒さに外に出て日に当たる。太陽のエネルギーを浴びるとすごく気持ちがいいのだけれど、家の中に入ると途端に冷える。掃除をしたいけれど動く気になれない。日向ぼっこを何度も挟みながら、玄関周りや洗濯物を干したり、台所の片付けをしたり少しずつやっていく。

10時ごろ眠気がおそってきてストーブの前で横になり休憩。わたしが家の中で静かにしていると庭で鳥が自由に飛び回る。ひと気のない庭は鳥たちの天下だ。気配を消して庭に目をやると面白い。

お昼ごはんはわたしだけしかいないので朝の残りのポタージュを食べながら夕飯をどうするか考えていく。ご飯は炊かなくてもいいから、お味噌汁を準備して、キャベツとサバの水煮缶をニンニクと唐辛子とで炒めて簡単なおかずにすることにした。トマトとわかめのサラダはもう和えて作っておこう。よし、決まった。夕飯の段取りがついていると安心して午後から掃除に没頭できる。

実家に帰って一番にしたい掃除は水回りの掃除だ。トイレ、洗面台、お風呂を掃除していく。 水回りをきれいにすると一気にテンションが上がってくる。水回りさえきれいであれば他が少々乱れていてもまあいいかと思うことができる。完璧主義気味のわたしはこうやってちょっとずつ納得しながら進めていく。一軒丸ごと全部をひとりで一日で掃除することはできないのだ。楽しいところから、テンションが上がる順番に自分を盛り上げながら掃除していく。

ものが溢れる洗面台を整えてお風呂掃除にとりかかる。今日はここまでにしようと決めて進める。このお風呂はわたしが高校生の時にリフォームしてから使っているからもう20年以上になるのか。それにしてはなかなかきれいに保っていると思う。お風呂掃除はずっとわたしの担当だから掃除の手順も体が覚えきっている。考えずともできる。音楽を聴きながら楽しく隅々まで掃除してすっきりとした。

夕方家のまわりを散策する。雑草の様子を確認していくと、ドクダミはまだ見当たらない。カラスノエンドウやクローバーがどっさり生えて、ミツバチが蜜を集めに来ていた。それをしゃがんでしばらく眺める。草の高さに目線を合わせるとまったく別の世界が現れる。花びらを器用に広げて中に顔をつっこむミツバチの動きがかわいい。健気にすべての花から蜜を集めようとする姿をいつまでも目で追ってしまった。
家のまわりを歩いていると、じいちゃんが植えた木をたくさん確認することができる。桜の木、梅、栗の木、サルスベリ、イチョウ、なんでもある。何十年と時間をかけて大きくなった木々。じいちゃんとばあちゃんがどうやってこの場所に安心を作っていこうとしたのかが少し見えてくる。見る視点を変えると実家はいつも面白くいつでも発見がある。何十年と時を経て、私たちに何かを伝えてくれているのだと感じる。 

18時、まだ明るいうちに掃除したばかりのお風呂に入る。窓のあるお風呂はやっぱりいいな。少し寒いけれど窓を開けて露天風呂気分を味わう。お父さんが帰ってきたので夕飯にする。ノンアルビールで乾杯。お母さんも今ごろ楽しんでいるかな。

明日からは畑仕事を本格的にスタートさせる。じいちゃんとばあちゃん、もっともっと前の先祖からの流れを意識しながらやってみたい。わたしはどうも草花や野菜に親しみを感じすぎるところがある。小さなころ、よもぎを石ですりつぶして薬草ごっこをしたり、土と草花でケーキを作ったり、おもちゃで遊ぶよりも草花で遊ぶことが何よりも楽しかった。わたしの遺伝子の中にある遠い記憶を辿るカギはきっと、畑にもある気がするのだ。 

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