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『惑い星』

「自分で光っている星を恒星、
 自ら光らない星を惑星というんだよ」

と聞いたのは、中学校の理科の授業だったろうか。

惑星は、恒星の光を反射する存在。
ぼくらの住む地球もそのひとつ。

惑う星、という漢字の印象もあいまって、このことは頭の隅にずっと残っていた。いつしか「惑星」は、好きな言葉のひとつになっていた。

はやし はこさんの『あなたのうた』をつくっているとき、この歌の名前を『惑い星』にしようと思った。

はこさんが聞かせてくれた15分の話からはじまった歌は、彼女のご家族やお知り合いの範囲をこえて、ぼくの家族や、普段かかわっているデイサービスに通う子どもたち、その親御さんまでもが「あなた」や「二人」に入り込む、不思議な歌になった。

惹かれ合うのに触れあえず、惑う二人。
そんな関係が世の中にはざらにあって、時には、引力に逆らって、運命の半分を裁ち切らなければならないようなこともある。
そんな現実を知ったのも最近のことだ。

そんなとき、ぼくたちにできることは限りなく少ない。
自ら光を放つ恒星みたいな人に近づいてみても、本や動画の中にそれを探しても、じぶんが光ったりはしない。大抵はただ惑うだけの人たちが、手持ちの頼りない頭と体を使ってなんとかするしかない。

それでも、たとえ、わたしに恒星みたいな確固たる光がなくても、惑う人たちが光を反射し、照らし合うことで生きのびることはできるのではないか。できてほしい。

苦しい状況にある人を、見守るしかない立場にいたときに感じた、たくさんの気持ちもこの曲のなかには入り込んでしまったように思います。
拙い演奏ですが、聴いてもらえたらうれしいです。

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