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接客業の最高峰

わたしはいま
複数の仕事をさせてもらっている。
そのうちのひとつが夜のお仕事である。

最近一緒に働く女の子たちはとても若く
昨日もひとまわりほど年下の女の子を家まで送った。

彼女はまだ入ったばかりで
だんだん慣れてきたなあ、と感じる
とてもかわいらしい。

昨夜、ふたりの帰り道
お店はどう?慣れてきた?
と声をかけると

はい!お給料も良いし、ちゃんとバックもつくし
前にはじめて勤めたお店は…

ということ言っていた。

どうやら、以前のお店は
給料は安く、お酒を飲んでもおろしても
お客さんを呼んでも、バックはつかなかったらしい。

彼女はもしかすると
メンタルに支障があるかもしれない

という話を聞いたことがあったんだけど
本当に素直で、わたしには好ましく見える。

よかったね。
良いお店に出会えるのもご縁とタイミングだし
ここもいつも募集しているわけではないしね。
それに、条件は良くなかったと思うけど
前のお店でまず勤めてみたこともいいと思うよ。
はじめからいいお店に出会っても
比較対象がないから大事にできずに
ないがしろにしたり
胡坐をかいてしまうことだってあるしね。

そういうと、
それ、すごく素敵な考え方です。
もっと頑張りたいです!

と、褒めてもらった。
単純に喜ぶわたし(笑

いまは頑張ったらちゃんと評価されるし
結果が出るからもっと頑張ろうって思えるね。

彼女はとても素直で優しい。
だけどまっすぐで信用に値する。
そう思っているから、
彼女にとっての新しい捉え方を
提示できたことがとても嬉しい。

若いときには、経験が乏しくて
辛い経験や搾取されたことが
愚痴にしかならないことが多い。

彼女の経験をわたしのフィルターにかけ
それが、彼女のやる気になったのが嬉しかった。

いまはお姉さん的な立場で
教えてあげてね、と
頼まれるわたしにも
若いとき、新人のときはあったのだ。

そのとき、優しく教えてくれた
きれいな先輩たちのことは
いまでも大切な思い出。
わたしもそんな先輩で在りたい。

夜の仕事は差別的な目で見られることも多い。
若さや美しさの搾取だと言われることもある。
男に媚びて金を儲ける汚い仕事だと
言われたこともある。

だけどわたしはそうは思わない。
お喋りしながら酒を注ぐというだけで
決して安くはないお代をいただくのだ。

どれだけの人間性、接客技術が必要か…
わかってない人間からしか
そんな発言は出ないはずだ。

バカ騒ぎをして忘れたいことだってあるだろう。
ときには真剣な話をしたい人もいる。
悩みの相談や、こちらの話を聞きたい人もいる。

そのすべての期待に応える、
それが夜のお仕事なのだと思っている。

バカにすんなよ。バカじゃできねーぞって。

仕事の接待で使い、いい結果を残すために
利用するお店なんて特に、
下手なチョイスはできない。
すごく責任を感じるけれど
気持ちよく帰っていかれるお客様たちを見ると
ほっと胸をなでおろすと共に
とてもやりがいを感じる。

今日あった悲しい出来事を話しながら
泣いてしまうお客様もいた。
どこにもだれにも見せられない涙を
ここでひっそり流すのだ。
人間辛いときは誰にでもある。
ひとりじゃないって、きっと心強い。
ありがとう、助かったよ
そういってすっきりした背中を見送り
なんていい仕事だろうと感じたこともある。

誰かの背負いすぎた心の荷物を、
少し受け取り軽くする。

人と話すということには
そんな作用があると感じる。

同じ時間を共有する。
誰かの価値観に触れる。
心のカタチは柔らかく
誰かと接するということは
少なからず人生に影響を与える。

こんなに素敵な仕事があるだろうかと
わたしはいつも思っている。

そして、わたしはいつもそこで育まれてきた。
様々な人生、価値観、生き方、捉え方を、
たくさんのお客様に見せてもらってきた。
良い教えも、よからぬ教えも
たくさんの学びと経験をもらってきた。

本当に、いまのわたしがあるのは
この仕事のおかげで
これからも可能な限り
たくさんの人の心に
触れさせてもらいたいと願う。

お客様も一緒に働く子たちも
たくさん詰め合わせたその場所も
すべてが尊く、
そこに居られることが誇らしい。

今日も、自分が自分で在れて
よかったと感じる瞬間だった。

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