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突然の来訪者


いきなりだが、めちゃくちゃ眠い。

ただ今絶賛バイト中なのだが、超絶眠い。

この前観た昔のアクション映画でシュワちゃんが飛行機の中で敵に睡眠薬を盛られフラフラしていたが、今の僕はまさにあの状態である。

ちなみにシュワちゃんはその後割とすぐ目覚め、生身で飛行機から飛び降り脱出していた。

どうなってんねん。

何故僕が今こんなに眠いのか。

それは昨日の夜、突然僕の家に友達がやって来たからである。

その友達とは先週このnoteに書いた、ラグビー部時代からの友達でめちゃくちゃ変な人、変人である。

変人が仕事の関係で土曜日だけ東京に来る事になり、色々あってホテルが見つからず、僕の家に泊まりに来る事になったのである。

幸い僕の家には2年前変人自身が買った、変人専用布団がある。

泊まる環境としては常に仕上がっている状態なのだ。

僕としても普段なら変人が泊まりに来るのは歓迎なのだが、いかんせんここ数日はスケジュールがスーパーハードになってしまっていた。

まあスケジュールと言っても全てバイトなのだが

金曜23時までバイト→土曜6時起きで朝から晩までバイト→日曜7時起きでバイト

とシュワちゃんもブチギレてガトリングガン乱射しそうなスケジュールである。

ここにさらに変人がブチ込まれるのだ。

正直かなり厳しい気がしたが、何やかんやでとりあえず来てもらう事にした。

というのもこの土曜日の朝から晩までバイト、前からよくやっているのだが、何というか凄い病むのである。

仕事内容はそんなにしんどくないというかむしろ楽なのだが、1人での仕事なので人と喋らな過ぎて、仕事が終わる頃には精神的にちょっとやられているのだ。

しかも今週は木曜も金曜も1人でバイト。

あまりにも1人の時間が長過ぎるのだ。

なので土曜の夜に変人が来るのは、ちょうどいいっちゃあちょうどいいのだ。


というわけで、昨日の夜、僕の家に変人がやって来た。

バイト終わりなので駅で合流した時には時間はすでに22時。

次の日は7時起き。

とにかく大急ぎでピザを買いに行く。

僕と変人が家で集まる時はどんな状況であれ、ピザが必要不可欠なのだ。

ピザ2枚とポテトとナゲットを買い、酒もたんまり買って2人で家に向かう。

どんだけ買うねん。

家に着き、テーブルにピザを広げ、酒をグビグビ飲みながら2人で一心不乱に食う。

食いながら変人が「しあわせ〜!!!」と叫ぶ。

一応書いておくが、2人とも今年の夏で40歳になる。

いよいよ浮世離れしてきた感が否めない。


猛スピードでピザを食べ終わり、お酒も一通り飲んだ僕達は1時頃には眠りについた。

翌朝7時起きな事を考えても6時間は寝れる。

なかなかいい感じのタイムスケジュールである。

寝る時のBGMはもちろん稲川淳二の怪談。

変人にあらかじめ自宅から稲川淳二のライブDVDを持ってきてもらっていたのだ。

変人は過去10数年間の稲川淳二のライブDVDを全て買い集めているのである。

稲川怪談は怖さはもちろん、睡眠導入剤としても優れた効果を発揮するのだ。

こうして僕達は稲川怪談を聴きながらすぐに眠りについた。

40歳になろうとしているおじさん2人が六畳一間のアパートで稲川怪談を流しながら眠っている。

繰り返すが、いよいよ浮世離れしてきた感は否めない。

こんな40歳、他におるんかな。。。


何はともあれ僕はいい感じに眠りにつき、後は7時に目を覚ますだけ。

そう思われた早朝5時半。

「んんんんううううんんんん!!!」


突然の爆音で僕は目を覚ました。

変人の咆哮である。

変人は寝てる時、寝言にもいびきにも分類出来ないハイブリッドな何かをぶちかます事がたまにあるのだ。

特に今回の咆哮の威力は絶大で、熟睡していたはずの僕は1発で起こされてしまった。

後半の「んんんん!!!」は何故か半音上がっており、非常に伸びのある透き通った咆哮で、もはや透明感すら感じさせた。

僕はそんな爽やかな咆哮に清々しさを感じながらも「いや、勘弁してくれ、、、」と嘆いた。

何せ5時半である。

あと1時間半は寝れたのだ。

この咆哮さえなければストレートに7時まで寝れたのだ。

もちろんもう1回寝ようとはしてみるがタイムロスは否めない、そんな事を考えていると

横で変人がクスクスと笑っている。

そう。

変人も自分の咆哮で目を覚ましていたのだ。

あまりにも自らの咆哮がデカ過ぎて、自分自身起きてしまったのである。

格闘技でパンチが強い選手があまりにもパンチが強すぎて自分の拳を痛める、そんな状態である。

そしてそんな咆哮を出した自分に対し、クスクスと笑っているのだ。

この世にも奇妙な空間に僕は目眩を覚えながら、とにかく一刻も早くもう一度寝る事に努めた。

しかし寝れない。

僕は一度起きてしまうとなかなか寝れないタイプなのだ。

となると、あれしかない。

再び稲川怪談である。

睡眠導入剤としての稲川怪談をもう一度自分の体に入れるのだ。

僕は2錠目の稲川を摂取するため、リモコンを取り、DVDに向けるため体の体制を変えた。

すると体の向きが変人側になり、変人の全身が目に入ってきた。

変人は上半身裸の状態で布団を被っている。

前からよくこの状態で寝るのだ。

僕は「おいおい勘弁してくれ、、、」と思った。

何が嬉しくて上裸のおっさんの横で寝んといかんのだ。

しかも吠えよるし。

そんな事を思いながら再度DVDを起動させた、その瞬間

変人の布団がピラッとめくれ、お尻がプリンっと現れた。


!?!?!?


へ、変人さん、、、


あ、あんた、、、


あんた、、、


全裸なんだね!!!


変人はまさかの全裸で寝ていたのである。

10年ほど前から変人は寝ている時、無意識に服を全部脱いでしまうという困った癖を持っているのだ。

僕は「おい!!!何で全裸やねん!!!」と叫んだ。

しかし変人は再び眠りにつこうとしている。

全く聞く耳を持とうとしない。

まさか横に寝ていたおっさんが全裸だったとは。

あまりの事態に僕は再び目眩を感じた。

しかし、何せよとりあえず寝たかったため、稲川怪談を流して僕も再び眠りについた。

朝の5時半に40歳になろうとしているおじさん2人が六畳一間のアパートで1人全裸の状態で時折吠えながら稲川怪談を流して眠っている。

こうして僕達は完全に浮世から離れた。


7時。

僕は起床した。

最近、コンビニの早朝といい早起きが多いからか、眠いながらも割とすんなり起きる事が出来る。

そしてシャワーを浴び、バイトに行くための準備をする。

僕はこの一連の準備が我ながら中々早いので、大体10分ぐらいで完了する。

まだ時間にも余裕があり、後は家を出てバイトに行くだけ。

そんな完璧な状態なのだが、問題が1つ。

横で全裸のおっさんが寝ているのだ。

この全裸のおっさん、全く起きる気配が無いのである。

昨日寝る前、僕は全裸のおっさんとこんなやり取りをした。


に「明日俺7時起きやけど、どうする?」

全「俺も一緒に起きるわ!」

に「いやいや、そんなん言うてすぐ起きれるか?俺一瞬で用意して出るで」

全「大丈夫!俺も一瞬でいけるから!」


と、こんなやりとりをしてて、結果はこのあり様である。

僕は全裸のおっさんを見下ろしながら憤りを感じざるを得なかった。

結局、合鍵を預けて僕だけが家を出て、全裸のおっさんはそのまま継続して寝る事になった。

というわけで。

これを書いている今も。

僕の家には全裸のおっさんが1人で寝ている。


正直気が気じゃない。

自分の家に全裸のおっさんが1人でいる事ほど落ち着かないものはない。

何もない事。

僕は今、それだけをひたすら願っている。



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