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半年展 -2022 Spring- 4日目

ここ数日は意識が飛んだかのように、気付いたら寝てしまっている。昨晩も、お風呂に入ってボンヤリ暖かい気持ちになっていたら、気付けば布団で寝てしまっていた。ああ、まだもう少しやりたい仕事があったのに…そんな事を思いながらも時間は取り戻せないので、ムクムクと起きる。
いつもより早めの時間に寝ているせいか、気だるさもなく、朝からシャキシャキ動ける。朝ご飯を食べて、展示のオープン準備をしていると母から電話が掛かってきた。時刻は10時前、母は普段働いている為、こんな時間に電話が掛かってくることは滅多にない。何かあったのだろうか?と思い、電話に出ると「お誕生日おめでとう」と言われた。そうだった、今日は誕生日だったと思い出し、母の電話に嬉しく思う。

いつものように庭でお茶を飲むためにレジャーシートを敷いて準備する。しかし、今日はいつも以上に肌寒い。本当はお客さんを呼ぶためにも外にいたいのだが、寒さを我慢して体調を崩すのは良くないので、大人しく中でお客さんを待つことにした。古民家という特性上、中にいても寒い。いつもの薄めのウィンドブレーカーから裏起毛の冬用のパーカーに着替える。

そんなこんなで午前中は過ぎ、食堂にご飯を食べにくるお客さんがやってくるお昼時になった。その人達は基本的に食事がメインの目的なので、興味を示す人と示さない人でキッパリ分かれる。1組目の女性は物珍しそうに作品を眺めていた為、展示のDMを渡し「またお食事後にでもゆっくり見に来てください」と声を掛ける。二組目は完全にスルー。うむ、中々面白い。
最初に声を掛けたお客さんが食事後にやって来た。展示の中に入ってすぐに「これはどういう作品ですか?」と聞かれる。先日、展示の説明について自らがヤキモキしたこともあり、説明用のキャプションを会場内に張っていた。おお、来たなぁこの質問と思い、そのキャプションを読み上げるように説明する。その女性はそれに対して「なるほどぉ」と納得したのか、してないのか分からない反応をした。その後、「このピンクのテープはどういう意味なんですか?」と聞かれた。私はまた「ピンクのテープは空を表現しています」と用意したキャプション通りの事を言う。女性は、またさっきの同じような反応をする。そんなこんなで女性が会場から出た時、「本当にこれで良いのか?」とまたも自分の中でヤキモキする。

この会期中は、お昼ご飯を取るタイミングが大変難しい。私の知り合いが来る以外に、お昼時にはお食事のお客さんもやって来るため、うかうかと昼のピークタイムにご飯を食べていられないのだ。お昼のピークが過ぎて、皆帰ったら、ご飯を食べようと思っていると、近所にアトリエを持つ仏師さんがご飯を食べにやって来た。仏師さんは、私を見て「どうですか?調子は?」と聞いてきた。私は「まずまずですね。本当は外にいたいのですが、今日はあまりにも寒くて、中に入ってしまいました」と返す。「確かに、今日は本当に冷えますよ」と仏師さんは言い、食事の席に向かう。
私はその間、展示スペースの中でPC作業をしていた。すると、セルフサービスの暖かいお茶を入れに来た仏師さんが、私の方を見て「お茶、飲みますよね?」と言って、私の分を入れてくれた。私はそれにビックリしてまともな返事を出来なかったように思うのだが、そういう気遣いが出来る仏師さんは改めて尊敬した。私も来たお客さんにお紅茶を出す立場だったのだが、まさか逆にお茶を頂くことになるとは思ってもいなかった。しかし、寒さの中もあってか、頂いたお茶は妙に染みた。

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