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雨水。博多、大宰府の旅。

冬の寒さは、私の身体にかなり堪えたのか、年明け以降本調子ではない日々が続いた。毎日一定の調子で毎日一定以上のレベルの結果を出し続けることが要求されるような世の中において、もどかしい気持ちにもなる。しかし、私達も生き物であることを考えれば、冬場は一番動きが少なくなる時期なのだから、気持ちが落ち込んで何もしたくなくなる事は当然なのかもしれない、としばし自分に言い聞かせ、自らの機嫌を取る。
2月に入り、立春を過ぎると、暖かくなる日が続いた。気温とは、こんなにも自らの身体に影響するのか、と言わんばかりに活動的になった。あれしよう、これしよう、と次々にやりたい事が浮かぶ。今回の博多行きも同様で、直前になるにつれて、どんどんやる気になっていた。

夜行バスに乗り込み、博多に向かう。夜行バスのお供に持ってきた『贈与としての美術』は、何故だがすべての文字が崩壊して見えてしまい、面白く感じつつも再読が必要だと感じる。

その日の福岡は、雨だった。なんとも雨水らしい天気である。
せっかく博多に来たのだから、福岡らしいご飯を食べたい気持ちに駆られる。これがつい前日までお腹を壊していた人の言うことなのだろうか?と内心自問しつつも、細心の注意を払ってお店を選ぶ。

うどん。

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親子丼。

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ラーメンだどん。

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博多に行く事に備えて、なるべくお腹に負担をかけないよう、消化の良いものを1日1食食べるだけで済ましていた。だからこそ、旅先でいきなり美味しいものを食べれるのか、心配であった。しかし、夜にラーメンを食べ終えた後に、久しぶりに1日3食食べたことにホッとした。何故なら、食べない選択肢を選ぶことは、私にとって簡単であるが、確実に免疫力が落ちてしまうからだ。

翌日、今回のメインイベントである大宰府に行く。
前の日の晩は、夜行バスの疲れと歩き回った疲れでしっかり爆睡した。しかし、行きの電車の中でもしっかり寝てしまい、気付けば大宰府の駅に着いていた。

初めて訪れた太宰府天満宮はとても立派で、梅が咲き始めているせいか人も多く感じる。神社へと続く人の並びを横目に、大宰府アートプロジェクトで制作された作品を見て回る。

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写真で見ると、大したことないように見えるかもしれない。しかし、実際に実物をみると、神社と言う磁場の影響もあってか、どれもかなり異質で求心力があって、それぞれに宇宙が存在するような作品だった。「宇宙ってそんな大げさな(笑)」といつもなら思ってしまうが、今回ばかりは宇宙があった!と言いたいばかりのものだった。宇宙!!!

その後、近くの九州国立博物館へ向かう。恐らく京都へも巡回すると思うのだが、せっかくの機会なので「最澄と天台宗のすべて」と常設展を鑑賞する。

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企画展の感想はさておき、常設展の内容が面白かった。縄文~弥生時代の土器のラインナップが素晴らしく、東日本と西日本の土器の違いについて比較展示がされていることには驚いた。今まで、こんなにも大量の土器を鑑賞する機会はなかっただけに、これだけでも感動ものだった。さらに、九州と言う立地の影響からか、外国からやって来た文化や品物、遺跡が展示されていた。これは東京や京都の国立博物館にはないものだ、と感じ、改めて九州の文化の多彩さに気付かされた。
常設展での土器の感動っぷりは凄まじく、私はかなりホコホコした状態で、帰りの夜行バスに乗った。途中で私の前に座った女性は、恐らく付き合っているであろう男性と乗ってきた。2人でバスの座席の機能を1つづつ確認する姿は微笑ましく、見ているこちら側もニコニコしてしまった。

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