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理想の柄のカーテンが市販で見つからなかったので自分で絵をつけた話

暦の上では、もう春。まだ浅いとはいえ、木の芽時、緑萌える季節へと着実に向かっているのだ。そのせいか、ただいまの私は、部屋の模様替え欲がむくむくと芽を出している。その一端は、下記記事を参照されたし。

さよなら、ラグマット
https://note.com/nishikannnnnnna/n/n8533227723a9

とりあえずこの春を楽しく迎えるのに、今、何をしたいか。その答えがカーテンの買い替えだった。
先述の記事内でも触れたが、今まで使っていたカーテンは選び抜いて買ったものではない。
入居当時、準備期間をあまり設けていなかったので、カーテンは同居人と最寄りのニトリに行って「遮光、大事じゃない?」とその場で選んで買って帰ったものだった。
そのときはカーテンのサイズに気を配らず、とりあえず在庫の中から合いそうなものをチョイスした。でなければ、常に頭がお花畑の私が青い無地のカーテンなんてクールの極みっぽいものを掛けるわけがない。
ベランダと出窓で揃えようとすると、本当にこれしかなかったのだ。
案の定寸法は微妙で、出窓の方は丈が余ってしまったわけだが、通販のラグマットとは違い、このカーテンを私はそこそこ気に入っていた。
それまで気にしたことはなかったが、在宅ワークの自由業でたまに休憩で横になったりすると、遮光1級の素晴らしさがよくわかった。
私はそんなに光に強くなく、時に舞台鑑賞などで具合が悪くなったりする。そんな私にとって、遮光1級で閉じられた空間はすごく落ち着いたのだ。

とはいえ、お部屋改造計画に乗り出した私は、これを機にカーテンを替えたかった。青の無地は空間になじみやすいけど、やっぱりお花が好きだから。
ところが、遮光1級カーテンで探してみると、意外と気に入る花柄がない。「今度はあたたかみのあるオレンジのお花がいいな~」とか言ってると、もっと数が減った。ていうか、全然ない。「ついでに花粉対策もできるカーテンがいいな~」なんて贅沢なこと、もはや言えないレベル。
しかし、私は一度飛び出すと、足を止めることが難しい生き物なのだ。理性よりも衝動。
とりあえずカーテンを替えたいという気持ちをどうにかするために、白いカーテンに自分で絵を描いてみることにした。
座右の銘は「ないのなら 作ってみせよう ホトトギス」。
昨年コロナ禍で楽しみにしていた美術展がことごとく延期や中止になってしまった自分の心を慰めるべく、自分で推しを真似して下手な絵を描いたあげくにそれをメディアに記事として掲載してもらった私に怖いものはない!

【参考】酒井抱一『十二ヶ月花鳥図』に憧れて!美術好きな私が「私淑」してみた記録
https://intojapanwaraku.com/art/108766/

今度は寸法を多少気にしつつ、同じくニトリの遮光1級カーテンにした。花粉キャッチとかはレースカーテンに任せることにする。ハウスダストよりは耐性あったみたいだから。
使った画材は、生地にそのまま描ける「布えのぐ」(ターナー色彩株式会社)。

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ひとつひとつ絵を描くのも面倒そうだったので、ステンシルやハンコを使おうと考えたが、紙を切り抜いたり木や消しゴムを彫ったりするほうがよほど面倒だと気づき、結局手描きにした。
設計図はない。下書きもない。そんな計画性があったら、そもそも自分でカーテンの柄を手書きするなんて暴挙はおかさないのだ。

まずは葉っぱを入れてみる。

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この後に花を入れるという手順をひとまず忘れることにして、気の向くままに描く。

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真ん中の長めの葉っぱのバランスが悪いような……。とりあえず、ちょうどオレンジのラナンキュラスを部屋に飾っていたので、それっぽい花とかを描いてみる。

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……。
構われたがりの私は、描いている途中、友人知人に「見て見て~」と画像を送りつけたりしたのだが、「わあ、バラですね!」とコメントをもらった。
ラナンキュラスなのだと、いまだに言えていない。
うん、まあ画力の限界があるわけで仕方ない。

とか書いていると、ローテンションで制作しているように見えるかもしれないが、実際は逆だ。
なにせ、オレンジとグリーンという組み合わせは最強にかわいい。銀河を揺るがすレベルでかわいい。こんな私の画力のなさを凌駕するほどかわいい。それくらい、私はこの配色を気に入っていた。
だって、オレンジとグリーンですから。

「かわいい~この色最高~神様ありがとう~」とかだらしなく笑いながら私は筆を動かし、謎の花を4~5種類ほど量産した。
そして完成したのがこのカーテンだ。

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旧カーテンと比較すると、その印象の違いがわかるだろうか。

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部屋が一気に明るい雰囲気になった。青は好きだが、私にはこのほうがしっくりくる。
こんなに浮かれた色なのに、昼間にカーテンを閉めて消灯すると、めっちゃ暗い。
理想というと少し違うが(自分の絵よりも綺麗なお花がいい)、自分の求めていたものにだいぶ近いものが出来上がった。
完成後に一度カーテンを洗濯機に入れて回してから掛けてみたが、剥落や色移りはなかった。強い。

リザルト
・カーテンの仕様
  ポリエステル100% 100cm×100cm 2枚
・製作日数
  約4日
・布えのぐの消費量(すべて20ml)
  リーフグリーン 0.9本
  グリーン 0.8本
  オレンジ 1.0本
  イエロー 1.0本
  ホワイト 0.5本
  布用メディウム(補助剤) 2.0本

こまごまメモ
・布えのぐは乾くのが早く、描いているうちからパレットの上で固くなっていく。私は使い捨てパレットを使用。筆も使い捨てるつもりのを用意。
・絵によるが、メディウムは便利なのでちょっと多めに用意しておくといい。今回、水はそんなに使っていない。
・床についたら困る場合は、ちゃんとシートか何かを敷くとよい。絵の具が乾いたらぽろっと取れるような材質とは限らない。
・洗濯機につっこんでも絵に劣化はなかった。その分、作業中に着用した服に付いたら落とすのが大変。最悪捨ててもいい服で描くべし。
・カーテンなので、裏移りや布が動いたりすることがなかったので、紙やすりは敷かなくてもよかった。薄い布のときは敷こう。
・まあ、設計図というか、簡単なラフはあってもいいかもしれない。

本当につい数か月前まで、カーテンに自分で柄をつけるなんて発想はなかった。けれど、やってみるとすごく楽しく、既製品で欲しくもない色柄のカーテンを買うよりもずっと満足度が高かった。私に画力はないが、自分で描いたものならなんとなく愛着がわくものだ。
予算を気にしなかったら、プロのイラストレーターさんにオーダーで頼むのもアリかもしれない。布えのぐはちょっと書き心地が独特かもしれないけれども。
というわけで、非常に気分がよくなったのだが、私の部屋にはもう1か所窓がある。しかも、こっちは1.5倍くらい布地が必要だ。
制作中、部屋の床は多少占拠されるし、絵を描きなれていないと疲れるのも事実。
もうひとつのカーテンはこれからゆっくり準備していこうと思う。桜が咲くころに完成したら嬉しい、くらいの気分で。

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