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鮒鮓

僕は奈良から滋賀に入っていた。

 初日に発酵食のスペシャリストである『ハッピー太郎醸造所』の幸太郎さんを訪ねて、滋賀の発酵事情を実食で学ばせて頂いた。



 さらには訪れるべき発酵スポットまでご教示して頂き俄然!鮒鮓への興味が盛り上がったというわけだった。

 そして今、僕の頭の中で突発的な鮒鮓ブームが巻き起こっている。

 『鮒鮓(ふなずし)は、とてつもない歴史をもった『熟鮓(なれずし)』の一つである。

 独特の発酵臭ゆえの趣向賛否の激しさも絶対的なカリスマの条件なのだ。
 
 美魔女なのか、はたまた琵琶湖の乙姫なのか、いずれにしても妖艶を伴う、二ゴロ鮒の熟(なれ)の果てに翻弄されてしまうのである。

 そして毎日の様に鮒鮓の雄と雌、氷魚の佃煮、赤こんにゃく、えび豆などお店のお勧めを買って帰った。

 宿に戻ってから全国の『熟鮓』と『鮒鮓』の仕込み方法と発酵時期の違いと、食べ方について徹底的に検証するのが楽しいのだ。



 毎晩、鮒鮓だけで、アパホテル1泊分に匹敵するお値段だった。

 鮒鮓が高いのかアパホテルが安いのか、それはそれで、また別の検証が必要なのであった。

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