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(アニメ感想)アクダマドライブ

ネタバレをがっつりは含みませんがあまり考慮せずに書きます。

以前から気になってはいたのですがようやく見るタイミングがあり、一気に全話視聴しました。
全体的な感想はすごく尖っていてやりたいことを詰め込んだ感じがしていてとても良かった。

ストーリー原案やキャラクター原案が「ダンガンロンパ」シリーズの面々ということもあり、キャラの立ち方や話のメリハリなどにダンガンロンパっぽさを大いに感じたのですが、私自身はダンガンロンパの知識はアニメで若干かじった程度+αくらいしかないのでヘヴィユーザーがどこまでそれっぽさを感じているかは定かではないです。
個人的な近いイメージはダンガンロンパ+PSYCHO-PASSでしょうか。

PVで見て分かる通り、作品全体を通して固有名詞というのが恐らくほぼ存在せず、俗称や役職、肩書で話が進められます。(ボスとか師匠とか兄とか)
その名称もかけ離れたものではなく、見た目の印象や言動とほぼほぼ一致するようなものなので結構な人数が入り乱れるのですが混乱せず見ることができて、突飛ながらもかなり絶妙なさじ加減で作られていると感じます。

※このOPは1話時点のものだが6話だったか7話でバージョンアップが行なわれる。

世界観もかなり尖っていて大きくは「カントウ」と「カンサイ」を舞台に描かれるのですが、これも日本をオマージュした舞台設定なので直感的にどういうものか視聴者が分かる範囲の知識に作品のエッセンスをねじ込んでいる感じ。
「バンパクパーク」とかもそうですが、「シンカンセン」が一番裏を掻かれたものかも知れません。(PV見て普通に新幹線の襲撃だと思ってたし…)

こういった視聴者が知っているワードに世界観を詰め込むことでまず最初に用語を覚えるというステップをかなり簡略化しているのではと感じます。
なので、全体的にかなりテンポが早く、情報もかなり詰め込み気味なのですがキャパオーバーしない範囲で気持ち良く見れた気がします。
シーン転換をブックが組み上がるような手法にしているのも面白いですし、そのお陰で前後のシーンの繋がりが多少大きく飛んでも違和感なく見ることができた気がしました。
全12話なものの視聴感としては15,16話分くらいの情報で殴られたような感覚で、すごく緻密に構成された作品だと思います。

敵味方問わず個々のキャラクターが立っていて脇役が限りなく少ないのも良かった。
一応一般人は主人公格の存在として描かれますが、それぞれのキャラクターも悪玉・悪人であるものの社会を滅ぼしたがっている純粋悪かというと(一部例外がいるものの)そういうわけでもなく、何かしらの信念をもって行動を起こしているのだというのが見て取れました。
強いて言えば悪玉となるまでのバックグラウンドのようなものをもっと深く見たかったと思うところはありますが、1話ごとにそういったメインとなるキャラクターを区切りだすと全体の流れが形式的で単調になると思うので難しくも感じる。

アクダマドライブのかなり惜しい点は知名度じゃないかと思う。
かなり良いメンツでそのメンツが作る期待通りのものができているのではと思うのですが、FOD独占配信というのがかなり足枷になって視聴者数の制限に拍車をかけていたのではと感じる。
自分も当時興味はあったがFOD独占に契約するほどのメリットを感じられずスルーしたまま現在に至っている。(最終的にFODの無料契約期間の間に視聴した)

○○独占系では昨今Netflix独占モデルはよく見かけるがコンテンツの幅広さや単純に「独占」と銘打ったタイトル数の多さで大きく軍配が上がるし、国内に限らずワールドワイドなコンテンツを見ることができるのもやはり格差を感じざるを得ない。
今現在でいうと「けいおん!」や「聲の形」、「リズと青い鳥」など京都アニメーションの作品の監督で知られる山田尚子監督が(恐らく)サイエンスSARUに移籍して制作した「平家物語」も絶賛独占配信中ではあるが、バリューに対してあまりにも反応が薄いので、FOD独占は視聴者を絞るばかりであまり良い印象を感じていない。


あとは適当に好きなエピソードを。

全話通して好きなのは喧嘩屋とチンピラの関係性で見ていて微笑ましかったし、だからこそ喧嘩屋とチンピラの死に非常にカタルシスを感じた。
喧嘩屋はシンカンセン脱出後にぽろっと言った「いじめはダメだぞ」というセリフにまさに兄貴という感じの人間性が見えてすごく良かった。
暴力やいじめではなくあくまで喧嘩というスタンスが一言に表わされているし、だからこその師匠とのタイマンも序盤の盛り上がりポイントになっていたと思う。

妹も一般人と一緒に過ごすことで徐々に感情豊かになり姉妹のような立ち居振る舞いになるのはとても可愛かった。クソの人って呼んでるのも好き。
市ノ瀬加那さん良いよね。

殺人鬼回の9話のタイトルが「THE SHINING」なのは完全にシャイニングのオマージュで笑ってしまった。

最終話で詐欺師のカットインとともにカンサイ全域を騙したのと、最終話だけクレジットが一般人ではなく詐欺師になっているのはさすがに激アツでテンション上がりました。
運び屋より先に死んだのは完全に想定外だったので、こういった面でも良い意味で作品の定石をちょっと外してくる裏切りが面白かった。

アクダマドライブのコンセプトの部分は昨今のSNSとかで繰り広げられる相手に少しでも非があれば徹底的に叩き潰してもいいのかみたいな、何が悪なのかどちらが正義なのかという部分だと思う。
正論で何事もぶん殴らずによく考えて行動しようね!

願わくばこの作品がもうちょっと間口の広い配信サイトとかでも観れるようになると良いですね。

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