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「ノースライト」を読んだ

「ノースライト」 横山秀夫 新潮社 を読んだ。

一級建築士の青瀬は、信濃追分に向かっていた。たっての希望で設計した新築の家。しかし、越してきたはずの家族の姿はなく、ただ一脚の古い椅子だけが浅間山を望むように残されていた。一家はどこへ消えたのか? 伝説の建築家タウトと椅子の関係は? 事務所の命運を懸けたコンペの成り行きは? 待望の新作長編ミステリー。

新潮社

感無量。
読了後の心の中が、自分ではよくつかめない。
これはミステリーなのか?

確かに出だしは無茶苦茶謎めいている。
『平成すまい二〇〇選』に載るほど、個性的で魅力的Y邸。
〈あなた自身が住みたい家を建てて下さい〉
その言葉に主人公青瀬は、失っていた熱情を呼び戻され、素晴らしい家を建てる。
しかし、無事クライアントの吉野に引き渡した後も、その家には人が住んだ形跡がない。
引っ越してきた気配すらない。
運び込まれていたのは「タウトの椅子」のみ。
これは、どういうことだ?

ミステリーだ。
確かに消えた吉野を探すお話。

でも、同時に読者はタウトを辿ることになる。
一方で、本業の建築士としての仕事として、フランスで絶賛された画家『藤宮春子メモワール』のコンペの話も併走する。
こちらでは、キナ臭い話も、吉野探しも吹っ飛ぶような出来事も起きる。

結果としてね、私の心に残ったのは、"つくること"のうつくしさ、かな。
ぶっちゃけ、最初の謎なんて、どうでもよくなる。
いや、これは大事な起承転結の起なんだけども。

「ノースライト」という題名がすごく良いなと、思う読後でした。




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