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200cmの中学生選手をガード起用して勝てなかったら、その指導者って「最低」なの?

心からリスペクトしている指導者の方がこんな話をしていた。
めちゃくちゃ考えさせられたので、ぜひ①②は見てほしい。

すべてのスポーツや勉強に「基礎」「基本」がある。

2つは同じような言葉だが、使い分けて考える。

たとえば、
“基本動作“とはいうが、“基礎動作“とは言わない。
“基礎体力“とはいうが、“基本体力“とは言わない。

この2つについて理解する必要がある。

①基本とは”支柱”である。

支柱を軸に伸びていくアサガオ

「基本」とは、いわば“支柱“のこと。

アサガオは真っ直ぐの支柱があれば、ツルを巻きつけながら確実に上に向かって伸びていく。
もし支柱が斜めに傾いていれば、ツルはその方向に伸びていく。
支柱が途中で折れていれば、ツルは伸びる方向を失ってしまう。

バスケットボールでいう「基本」とは主に1対0でのドリブル、パス、シュート、ピボット動作にあると思う。

ピボットやパスなどの基本が充実していない、いわば支柱が斜めに向いていたり、支柱が折れている状態では、必ず成長が頭打ちになる。ミニバスで身体能力だけを頼りに活躍していた選手が中学・高校で伸び悩むのは、この“支柱“部分の充実が無いからである。

これらの"基本"は「もうできるからやらなくてもいい」というものでもなく、毎日基本を行いながら確認することで、支柱をまっすぐ伸ばし続け、可能性を引き上げることにつながる。

NBAプレイヤーがマイカンドリル、ピボット、1対0のドリブルドリルをこなすのにも納得がいく。

②基礎とは”節”である

線上にボコってなってるのが”節”

「基礎」は“竹“で考える。竹にはがある。この節こそが「基礎」である。

節が無ければ、成長しても高く伸びる事はできない。

全国優勝レベル、全国レベル、県大会レベル、地区大会レベル、それぞれに“節“がある。

「基礎体力」で考えてみよう。

全国優勝レベルと地区大会レベルでは求められる「基礎体力」のレベルが違う。節の位置が高いのが全国レベル、低いのが地区大会レベルと考えることができる。初速の速さ、ジャンプ力、持久力。など

福岡第一のバスケを観ていて「なんであんなに高強度なダッシュやディフェンスを続けられるのだろう?」と思ったことはないだろうか。地区大会レベルであの強度を保ち続けれるチームはいない。そもそもの基礎体力に違いがある。土俵にすら立てない。

竹は節ごとに伸びていくものである。
節がなければそこから先は成長しない。

つまり、現状地区大会レベルのチームが、「全国優勝レベルになりたい」と思ったとき、“基礎“の向上がなければいけないのだ。どんなに技術や巧み戦術な戦術があっても、ジャンプ力や持久力がまずは全国優勝レベルに到達していないのであれば、それは不可能なのである。

引用元 https://walkrun-project.info/golf

基礎体力の違いは、そのままパフォーマンスの違いに直結する。

逆に、現状の技術に満足しているが、もう少しレベルを引き上げていきたいという選手がいるならば、まずは次のレベルに値する“基礎“の獲得に動くべきである。高強度のトレーニングによる持久力アップや、柔軟性の向上などである。

③“良い指導者“の練習を見ていて

さて、ここからは私の話である。

“良い指導者“の基準は「自分の信念を結果に出している人」だと思っている。

たとえば、「勝つこと」を最優先にしている指導者がいるとするならば、ちゃんと結果を出していること。「育成」を最優先にしている指導者がいるとするならば、カテゴリーが上がったときにちゃんと選手が活躍していること。

“良い指導者“=優勝した指導者
とされがちだが、そうは思わない。

200cmの中学生がチームにいたとしよう。

正直、「勝つ」という目的のためだけなのであれば、この子をポストアップし続けて、ディフェンスは4−1ゾーンとかしておけばいいのである。

しかし、「育成」を目的とし、将来の日本代表を目指させるのであれば、ガードをやってもらったり、アウトサイドのプレーも積極的に行わせる必要がある。もちろん、最初はなかなかうまくいかない。ターンオーバーもしまくる。「逃げてる」と評価されるかもしれない。

指導者は試合に勝つ方法を分かっているが、育成のために苦手なことをやらせている姿を見て、「あの指導者はダメだ」と批評されることもあるだろう。でも果たして、「選手のことを真剣に考えている」という側面で考えたとき、200cmの子にガードをやらせる指導者は悪なのだろうか。

たしかに、勝てるゲームを落とすこともあるだろう。チームメイトから「あいつをセンター起用してたらもっと勝てるし、小さい俺だってもっと出れるじゃん」って不満の声が漏れるのも十分想像できる。

けど、短期的なものの見方だけをしてると、1つの”才能”を潰す可能性だってあるわけだ。勝ちだけに拘ると、”将来”を捨てる可能性もあるわけだ。

そういう意味でも、指導者の良し悪しというのは1試合だけじゃ測れないものなのである。1年ないし、10年スパンで見ないと良し悪しはつけられない。ましてや「あの試合に勝った」「あの試合に負けた」というもので全否定できるものではないと思う。

その前提を持って、
「自分の信念を結果に出している人」が“良い指導者“だと私は考えている。200cmの選手をガード起用することだって、ちゃんと指導者の狙いがあって、それをみんなが納得できる形にできればなんら問題ないのだ。

で、私が尊敬しているミニバスの指導者はとことん「基本」「基礎」にこだわる。正直、つまらない。最近の"インスタ映え“するような練習とは違う。ひたすらピボットしてる。ひたすらディフェンスフットワークしてる。

いわば、あさがおの"支柱"を作り、竹の"節"をどんどん作って成長の可能性を伸ばしていっている。地味で、評価のされない作業である。

その人の口癖は「今勝てなくてもいい。高校・大学で開花してほしい。」である。事実、そのミニバス出身の選手は、上のカテゴリーでもちゃんと活躍する。バスケを武器に進学する選手だっている。ちゃんと信念を結果に表している。カッコいい。

指導に良し悪しなんてつけれるもんじゃない。「時短練習が良い」と豪語する人もいれば、「長時間練習の方が身につく」と豪語する人もいるもんで。
どちらもメリット・デメリットがあるのだから、「絶対〇〇じゃないとだめだ!!」なんて結論には至らないのである。戦っているカテゴリーによるが、指導者の狙いが”結果”に表れるかどうかでしか評価はできない。

でも1つ言える。

短期的な利益だけを求めるんじゃなくて、ちゃんと「選手を思って考えている」あの指導者は、めちゃくちゃカッコいい。


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