【ディフェンス職人】NBA最優秀守備選手のマーカス・スマートから学ぶDFの考え方
「インラインの奪い合い」
バスケットボールの1on1において、インラインを奪うことは攻守共に重要になります。
「ドライブが上手い」選手はインラインを奪うことに秀でており、オフハンドやクロスオーバー、フィジカルコンタクト等を駆使して、ゴールまでの道を作り出します。
一方、「ディフェンスが上手い」選手もインラインを奪うことに秀でており、優れた洞察力や、俊敏なフットワークで相手のインラインをことごとく潰していきます。
ディフェンスがインラインを奪う際はほぼコンタクトが発生することになり、コンタクトが強い、かつ、コンタクトに慣れていることが必須となります。
その点を踏まえた上で、NBAのマーカス・スマートは特に優れた一流のディフェンダーです。コンタクトしてインラインを止めるだけでなく、その先の「スティール」まで一流です。相手の行き先を阻みながらもボールを奪えるディフェンダーはなかなかいません。
そんな彼は今年、NBAの最優秀守備選手賞(DPOY)に輝きました。DPOYを受賞する選手はブロックやリバウンドで大きく貢献するビッグマンが多かったのですが、今年はゲイリー・ペイトン以来のガードからの選出となりました。
この事実だけで、マーカス・スマートがどれほど偉大なディフェンダーか分かると思います。
そんな彼がディフェンスを教えてくれる超超超貴重な動画があります。こんなものが無料で良いのか、、、
なので、その動画内で出てきたポイントをいくつかまとめてみました。
↑リングです。こんな素晴らしい動画をありがとう…。
①スクリーンプレーに対してトリックを使う
NBAではたくさんのスクリーンが使用されるわけですが、ここに対して無抵抗だと簡単にギャップを作られてしまいます。そこで、マーカス・スマートは主に2つのトリックを使うのだそう。
1つ目は、もうスクリーナーがスクリーンをしたくなくなるくらいに強くヒットするということ。
お尻やその他の方法を使用して相手に強くぶつかる。そんなことされるとして、もし自分がスクリーンをセットする立場なら、できれば痛いことは避けたいし、スクリーンをしたくなくなります。
逆にそんなディフェンスを止めるために必死になると、ムービングピックでオフェンスファールになります。
1度でも強くスクリーナーにヒットすることでディフェンスが先手を取れるという1つのトリックです。
2つ目は、スクリーナーの足をつかんで引っ張り、通り道を作り出すということ。たしかに卑怯ですが、これは使えそうなトリックです。(動画16:55)
ハンドラーとスクリーナーの間に自分の腕が入ることになるので、ファイトオーバーのきっかけにもなります。
②ボールがバウンドしているときにスティールを狙う
スティールを仕掛けるタイミングについてです。
結論、相手がドリブルしていて、ボールが手から離れてバウンドする瞬間を狙え!とのこと。
ボールがハンドラーの手の中にある時にスティールを狙っても無意味だと。もし、手の中にある時に手を出したとしても、コントロール可能であるため、ポケットドリブルなどを用いれば簡単にボールキープできてしまいます。
一方でボールがバウンドしているときはどうでしょうか。ボールは手から離れているため、コントロールは不可能です。その一瞬のタイミングを見逃さず、ボールを触ることがスティールのコツだと語っています。
この情報は広く一般的であるかもしれませんが、このような基礎的な情報はNBA選手ももちろん押さえているのだと分かります。
③”アタックモード”になれ
ディフェンスは素早く動くことが求められます。
このディフェンスの重要な要素に対して、マーカス・スマートは「アタックモードになれ」「ボクサーのように構えろ」と表現しています。(動画12:15)
「いつでも素早く動くために常につま先立ちである必要がある。かかとがついたら終わりだ。素早い切り返しに対応できない」
「膝が伸びていてもいけない。膝はつま先の上で固めるんだ。ボクサーのように構えて動く準備をしておけ。臨戦態勢でいるんだ。」
と語っています。
ポイントは『ボクサーのように構える』ということで、これをスマートはアタックモードだと捉えているそうです。
かかとをつかず、つま先で。この視点は私にはありませんでした。
④地獄のゴリラ
動画5:20でスマートは1つの練習メニューを紹介しています。それは「Suiside」というメニューを「ゴリラ」でやること。
なんのことか分からない方のために説明します。
「Suiside」とはランメニューのこと。コーチ・カーターという映画の中でも出てきたメニューです。日本では"シャトルラン"と呼ぶこともあるでしょうか。エンドラインからスタートして、フリースロータッチして帰ってくる、ハーフラインをタッチして帰ってくる、反対コートのフリースローラインをタッチして帰ってくる、反対コートのエンドラインをタッチして帰ってくる、というものです。
「ゴリラ」とは、ディフェンスのメニューのこと。チームによっては"モンキー"と呼んだりもするやつです。フロアに手をついた状態でスライドステップするもの。足腰きっついです。
オフェンスのレベルが上がるほど、ディフェンスはタフな切り返しや反応が必要になります。そのためには良いお尻の力と、良いフットワークを身に付けねばなりません。
そのために、これらの「Suiside」と「ゴリラ」を組み合わせたメニューをするんだと。
実際に私もこのメニューをやってみましたが、破壊力が半端ないです。1セットやっただけですが、下半身の筋肉が千切れそうになりました、、、
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最優秀守備選手賞に輝いたマーカス・スマートのディフェンスの考え方はやはり素晴らしいものでした。途中動画内でも言っていますが、彼は武道家のブルース・リーからも学ぶそうです。
バスケットボール外からも学ぼうとする姿勢が彼をベストディフェンダーにさせている1つの所以なのかもしれません。
ぜひこのことをプレイヤーとしての自分にも、コーチとして受講生にも還元していけたらと思います。
駆け引きの中で意図的にダーティーなことしてんだね。勝ちに貪欲、カッコいい。
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