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興味の赴くままに生きたら物事を見極める観点を養えた話

こんにちは。root 代表の西村です。
この記事はroot Advent Calendar 2022の24日目の記事です。
2022年もまもなく終わりますが、今年は僕にとって1つの大きな節目となる1年でした。rootを創業してから10年、デザイナーとして独立し経営者として事業を作ってきたこれまでを改めて振り返ると当時の自分は今こんな状態になっていることは1ミリも想像していなかったなと思います。
今日は会社としてではなく、個人のキャリアや人生経験を振り返る中で得られた20代で抑えておくべき興味と観点のお話をします。

まずはじめにrootや僕のことをご存じない方も多いと思うので簡単に自己紹介です。今はデザイン会社の代表を務めており主に経営者をしていますが、元々はデザイナーとしてのバックグラウンドを持っています。

西村和則 / root Inc. 代表取締役
1985年生まれ。高知県出身。デジタルハリウッド卒業後、Webデザイナーとしてキャリアを歩む。 独立後、サービス開発に特化したデザインコンサルティングファームとして root を創業。 これまで数多くのスタートアップ立ち上げ、新規事業の成長支援をデザイナーとして支援。創業期を支援したスタートアップとしてD2CブランドのFABRIC TOKYO 、動画クラウドソーシングのCrevoなど実績を持つ。現在、Design Doing for Moreをビジョンに掲げ、組織におけるデザイン活動を個人から組織・事業へ広げ組織の企業価値やユーザー体験価値を高めるためのデザイン実践・組織支援に携わる。

過去の経験とそこから得たもの

まずは僕の社会人人生における前半戦20代での経験を元にデザイナーとしてのキャリア、そして経営者になる過程について紐解いていきます。

1. 社会を知る意味での社会人経験の幅の広さ

僕のファーストキャリアは、今からはまったく想像できない畑違い領域でイタリアンコックの見習いからはじまっています。当時、貧しかった家庭環境から大学への進学はできず、限られた職業選択肢の中からサッカーが好きでイタリアへ行きたいという安易な志しからこの職を選び修行をしていました。しかし現実は厳しく2年間の修行期間を経てイタリアへ行く夢を諦め上京。その後、しばらくは明確な目標を持てず興味の赴くまま流れに身を任せて生きる暗黒の2年間がありました。
俗に言うフリーターというやつですが、この頃は目標とかやりたいことを考えるのを半ばあきらめており、ただ生きるためにお金を稼ぐ生活をしていました。経験した仕事には深夜のコンビニバイト、空港の機内食弁当詰め、ビラ配り、清掃員、居酒屋のホールスタッフ、グルメメディアの取材スタッフなど何がしたいのかもわからないまま様々な仕事を経験しました。
その当時は、自分の人生についてあまり深く意味を考えずとにかく生きるために仕事をするというシンプルな原則に従って生活をしていました。その頃はこの経験が将来何かの役に立つかなど一切考えていなかったのですが、今振り返るとこの職場での人との出会いが自分自身の価値観や社会を捉える土台となる物の見方を培ってくれたと感じます。

2. 世の中を見る観点を養う

この一見繋がりのないように見える職業経験。当時は成り行きで生活をしていたのもあり、このままではダメだと考え前々から興味のあったECサイトの構築を学ぶことをきっかけにデザイナーを志していくことになります。デザイン初学者の頃は目の前の仕事に追われ作ることに没頭する日々でしたが、経験を積み次第にコンセプトやユーザーという自分の外側にあるものに目を向ける機会が増えはじめた頃から、これまで経験してきた職業経験が活きる機会が増えはじめました。

それは、様々な業種のクライアントとお仕事をする立場だから通じたものもありますが、それまで経験してきた職種の業務を理解できリアルな解像度でそのサービスを踏まえデザインできたという点。それだけでなくそれぞれの環境で働く人と直接触れられた経験が、ユーザーという視点に立った時リアリティのある生の声を解像度高く捉えることにも繋がりアウトプットの質にも大きく影響を与えたと感じます。
これは持論ですが、人は自分が属する環境に依存して生きる生き物です。つまりデザイナーというキャリアを選択した人はデザイン業の環境に依存してそのキャリアを歩むということ。僕はあえてこの垣根を崩しデザインの外側へ触れることで、様々な環境にいる人の特性や考え、思考、生活様式や習慣を持っているのかを捉え咀嚼ことができました。この働く人を通して得られた社会との接点、そしてリアルな解像度で得られた人を見る観点を手に入れられたことは今に至るまでの人生で非常に大きな力となっています。

30代になりよりデザイナーから経営者になる中で視野が広がりより大きな視点で社会や人を捉えられるようになるとそれまで経験してきた点と点が線として繋がりあの頃のあの経験が今の仕事に活かせると思えることが増えていきました。このアナロジーが発揮される機会が増えたことで一見関係ないと思える出来事にも共通項を見出し物事の仕組みを置き換え応用しながらデザインをする機会が増えたように思います。

デザインする力は社会や人をどう捉えるているかの観点で決まる

これまでの経験を振り返るとデザイナーとして20代のうちに積むべき経験を考えると、デザイン実務の経験量も大切ですがそれよりも一見無駄に思え遠回りな経験が今になって活きていることがとても多いのが事実です。

これはデザイナーとして社会や人をどう捉えているかという観点を養うには、デザイン実務だけをこなしているだけでは得られない世界がそこにあるからではないかと思います。
よく育成するデザイナーに物事を観察する時の観点を養う話をするのですが、デザインギャラリーを毎日見ていてもその中に何を見るかの観点がなければ力は養われない。だからこそ、観点は思考の過程を人と交えることが大切であり、それはデザイン実務の外側に行くほど増えるのです。僕は20代前半で経験した一見して遠回りな職業経験からその観点を得たのだと今になって思います。

10年続ける中で見えるキャリアの道筋

これまでの話からキャリアを考える上で大切だと思うポイントは、若い頃は興味の赴くままに行動する方がよいということ。
将来の目標や個人としてのビジョンという話はよく聞きますが、現時点でそれが見えていないのは当たり前のことだと思います。それを言語化するほどの経験を得られていない状態で決めた目標はいずれ変わることになります。

重要なのは目的や目標を意識することも大切ですが、それに強く縛られ自分自身の心の中にある興味に目を向けず求められることに応えるだけのキャリアを歩みすぎていないかという点です。特にデザイナーとしてのキャリアは自分の興味の赴くままに作品を作り表現する経験をしてきたかがとても重要です。そういった経験のないままに仕事として求められる要求に応えるだけのデザイナーになっていないでしょうか? そうだと思う方はぜひ自分の心の中にある興味の種を拾って少しでもいいので表現をすることに時間を使ってみてください。

観点を養うために大事にしている考え

ここまでの話で触れた興味を大切にする考えの参考として僕が教訓にしている教えがあります。
それは、ライフネット生命の創業者である 出口 治明 さんの言葉にある

人・本・旅

という考え方です。

  • 人に会うことで文化や思考の型を得る

  • 本を読むことで自分にはない知識や思考を広げる

  • 旅を通じて現場でそれを体験し自分の糧とする

まさしくこれが社会や人を捉える観点を養うための3つの行動原則であると言えます。デザイナーとして観点を養うというのはまさにこういった経験から培われるものだと思います。

最後に

その時は無駄に思えることもその先の将来で活きることが多々あります。
変化の激しい現代において先回りし考えすぎる生き方よりも、その瞬間瞬間の興味の赴くままに行動しその興味を深めておくことがその人にしかない特性や考えを見出す糧になるのではないでしょうか。
人は興味によって形成される生き物。興味のないことは持続しないのが常です。そう捉えると未来行き着く先は興味の積み重なりで形成されており興味に従い行動することが最も自身が後悔せずキャリアを歩める1つの方法とも言えるのではないでしょうか。

自分の頭の中で体操をしていてもキャリアは開けない。
さぁ外へ出て観点を養うことからはじめてみませんか。


ご覧いただきありがとうございました。明日はこれまでのキャリアの後半戦である30代、経営とデザインを軸に記事をリリース予定です。お楽しみに!

今年はrootのブランドムービーも作成してみたのでご興味ある方はぜひご覧ください。メリークリスマス!


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