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デザイン会社のCEOが組織の変化を楽しむために行った3つの挑戦

この記事はroot Design Advent Calendar 2023 の25日目の記事になります。 こんにちは、root CEOの西村です。
2023年も終わりに近づいていますが、みなさんはどんな1年を過ごされましたか?

rootの1年を振り返ってみると、過去に経験のないくらい変化の多い1年だったと思います。
rootのバリューには「変化を楽しむ」という言葉があるくらい変化に向き合う姿勢を大切にしている会社ですが、今日は「組織の変化」についてこの1年向き合ってきた中での苦悩と変化を楽しむためのきっかけについて書いていきます。


ビジョンを推進していく中で生まれる課題

rootがフィロソフィー(Vision , Mission , Value)を刷新してから3年近くが経過しようとしています。この期間で組織の規模はパートナーさんも含め30名を超える体制になり、デザインプログラムマネジメント(以下DPM)を推進する体制の構築、メンバーの拡大と入れ替わり、コロナが明け外部環境が変わりオフライン機会の増加など様々な変化がありました。
僕はというと、経営者になってこれまで体系的に組織づくりやカルチャー推進とは何かを学ぶ機会はあれど、実際に当事者として変化の渦に向き合うのは初めての挑戦であり、組織の変化に合わせ、自分自身がどう変化するかを問われる場面が幾度もあり、身をもって組織の成長を実感してきました。
そんな中で組織の変化に向き合うために、自分自身がどんな変化を起こしたのかを記しておこうと思います。

1. マネジメント方針の転換、ビジョン推進しそれを実現したい人が活躍する組織

今年1年はrootの歴史上、最も人の入れ替わりが多かった1年でした。
創業から12年目経過していますが、会社として組織を本格的に拡大しはじめたのはフィロソフィーを定義した3年前からになります。それ以前は小規模なデザイン会社として自分の目の届く範囲で仲間を増やし、小さくやってきたのがこれまで。
フィロソフィーを定義することで、会社が進む方向が定まると同時に経営者としてはマネジメント方針を大きく転換することを覚悟する必要がありました。それまでのrootの組織運営は、僕自身が実現したいこと、メンバーそれぞれが実現したいことを個々の考えに基づいて自主性に委ねながら組織運営をしていました。

これは小規模であれば可能なものですが、組織が拡大していく中で1つの集合体として進んでいくためにビジョンが定義され、会社としてありたい状態に向けメンバー個々の視点を1つにまとめる必要性が出てきました。
昔からいるメンバーほど、rootの組織の変化を実感しますし、VMVという概念が現れ会社が明日からビジョンの実現をするためにここへ向かうよと言われても、すぐに理解・解釈は進まないのが実態です。日々メンバーとVMVを咀嚼し対話や仕事を通じて解像度をあげていく取り組みが、様々な場面で生まれました。

ここでは当然、全員が同じ方向を向いて同じ解像度で対話できるものではないため、個々の視点や考えを丁寧に吸い上げながらビジョンとの重なりを具体化したり、実感してもらう機会づくりを思考錯誤しながら行っていました。中には自分自身の実現したいことが、明確になったことで次の環境への挑戦を決め進んでいく仲間もいますが、これはポジティブなことだと捉えています。
そういった変化を具体化しつつ、この1年はビジョンとの重なりを特に意識し大事にしてきた1年だったと思います。

2.仲間が増える中で揺らぐ組織としての価値基準

もう一つ組織の拡大と共に、徐々にバラけてきたのが物事を行う際にどんな価値観、判断基準を持って取り組んでいくのかでした。こちらもVMVを定義したことで構造的には抑えられているものですが、それを日々具体の現場での活動やメンバー間での日々の接点に接続しながら解像度をあげてもらう必要があります。バリューは抽象度高めの価値観として言語化されているため、行動一つ一つに正解があるわけではない。だからこそ、バリューを浸透させるという初めての取り組みの中でバリュー1つ1つを咀嚼する具体的なケースやフィードバックのタイミングを丁寧に捉えながら、アクションを取っていくことの難しさに苦戦していました。
ここではPXチーム(HRとデザイナーの混合チーム)が力を発揮してくれた結果、昨年の今ごろとは大きく組織内での解像度も変化しており、咀嚼の進んだメンバーが自らの判断で物事を動かしたり、リードする場面が増えてきたことはバリュー浸透を根気強く続けてきてよかったと感じるものがありました。

3. 現場と経営の行き来、当事者と俯瞰的立場を切り替える難しさ

最後は経営者としての課題意識ですが、組織の人数規模が増えていく中でマネジメントをどのような体制で行っていくかというのも僕自身の悩みでもありました。デザイナーからマネージャーになる壁はもう3周くらい壁にぶつかったので突破できつつあるのですが、経営と現場という視点の行き来はより大きく抽象度の高いレイヤーから現場視点を得つつ物事を意思決定する役割を求められます。この1年の中では、階層化されていく組織の中で現場感が見えない感覚に襲われる出来事がいくつかあり、その度に判断に迷いこれでよいのかと立ち止まることがありました。
直接プロジェクトに入らないケースも増えてきている中で、そのプロジェクトの中で発生する課題やメンバー個々の成長をどう把握しフィードバックしていくのかなど、間接的なマネジメントの精度を高めていくことに注力したのがこの1年でもあります。

組織の変化に向き合い取り組んできた3つの挑戦

これまで取り上げた、組織や経営としての課題はスタートアップの成長過程でよくある出来事ですが、いざ自分自身が当事者として壁にぶつかっていく中では、わかっていても回避できないものや実際にその状況になってはじめて見えるものもたくさんあるのが現実でした。
そんな中でも、この取り組みを根気強く続けてきてよかったと実感を持って思えたのは下記の3つになります。

1.個人のビジョンの言語化と1on1を通じた対話で会社との重なりを相互理解する

1年前は1on1をどのように行うのかもわかっていない状況でしたが、ビジョンを軸にした組織の推進を行うにあたって、個人と会社のビジョンの重なりをしっかりと具体化していくことが、個人と組織相互が変化を楽しむために必要なことであると実感できるようになりました。 型となるMVVやVMVといったフレームを落とすだけでは前に進まない中、当事者としてVMVにこの1年向き合い推進してきたのは事業や組織の解像度を上げる1つ大きなきっかけとなっています。

2. 組織の中で扱われる概念や判断基準を体系化していくことで、個々が裁量を持ちながら推進できる幅を広げる

この1年で体系化してきたものの中で社内で大きく影響を与えたのは、rootが掲げるビジョンから紐解いた実践と投資という2つのデザインに対する考え方を形に落とし認識を揃えた点、これにより、自分たちのどの活動が投資的な活動になるのか?またクライアントの支援を通じてデザイン投資をどのように促していくかという解釈が揃ったことで前に進むものがありました。 またVMVに加え、具体的な行動規範をポリシーとしてリリースしたことで、あらゆるステークホルダーに対してどのようにメンバー個々が向き合い行動をしていくのか、その判断基準が揃いはじめたことも会社のサービス品質や組織への向き合い方のスタンスを揃える大きな変化となっており、着実に変化を実感できるものでした。

3. OKRの導入を行い、裁量を渡し挑戦してもらったことで見えてきた変化

これまで目標は個々メンバーと設定したものを運用する方式を取っていたところから、全体像を把握できるOKRへ移行させました。まだまだ立ち上がり段階にある組織において、何もないところから物事を裁量持って動かしてもらうには、全体像を示しその中で何に寄与してもらうのか個々がありたい状態を考え実践してもらうことで当事者意識を持って推進するメンバーが増えつつあります。 バリューの浸透と合わせOKRの運用を始めたことは、今はないものをどうやって自分たちで作っていくかを考え挑戦してくれるメンバーにとって一つの羅針盤のような位置づけになり、rootの組織成長にとって大きな一歩だったと感じています。

変化を恐れず挑戦することが楽しさに変わっていく。デザインの可能性を広げ伝えていくには

このような形で、1年を通じて自社の組織の変化を身をもって実感したわけですが、個人の変化や成長とは異なり組織の大きな変化の流れを掴み、置かれている状況を把握することは容易なことではありません。こういった不確実な状況や予測できない状況下は、不安にさせることも多々ありますが、体系的なアプローチと、着実に一人一人と向き合い組織の成長に必要な行動を実践していくことが、変化の渦をポジティブなものに変え、確かな成長の実感を掴めるようになるのだと思います。

今できることではなく、できないことに価値を見出そう。
自ら変化を起こし続けることが成長であり、新たな価値を生み出す。
変化を恐れるのではなく、変化を楽しもう。

root Valueの1つ

バリューにもそう書いているんですが、それを身を持って実感するというのはまた一つ言葉の重みが変わった1年でもあります 笑
そして、この変化と成長を日々のデザイン支援を通じて体現していくことが、デザインの可能性と楽しさを多くの人へ広げ伝えていくことに繋がります。 より多くの事業・組織と共に成長を共に実現しながら広げていきたいですね。

最後に

こういったビジョン推進の取り組みや個々メンバーが当事者意識をもって活動してくれた結果 rootを知ってくださる方がとても多くなりました。まだまだrootがどんな支援をしている会社なのか、どんなビジョンを掲げているのかなど、伝わりきらないものもたくさんありますが、着実に組織として1歩づつ前に進んでいる実感を持てる1年であったことはありがたいことです。
そして、rootの組織としての成長もまだ始まったばかりであり、これからやるべきことが盛りだくさんの状況でもあります。

来年は、rootが掲げるデザインプログラムマネジメントに加え、新たな試みもはじまっていきます。事業領域を徐々に拡張しつつ、しっかりと深さも抑えたデザイン会社として着実に事業と組織の成長を共に実現するパートナーになっていきたいと思います。

さて、root Design Advent Calendar 2023 も今日が最終日です。

まだまだ発展途上のrootですが、多様な仲間がそれぞれのデザイン活動の中での変化と成長を記事にまとめてくれています。ぜひ年末年始にひとつでもご覧いただけたら嬉しいです。

読んでいただいた方一人ひとりが、デザインの可能性を信じる仲間として来年も、よりよい変化と成長の1年になることを願っております。

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