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【表現評論】メモリーズオフ#5 とぎれたフィルム コアレビューその5 あすかルート2【全作再プレイシリーズ】

●メモオフシリーズ、その他作品、様々なネタバレが含まれます。

⚫︎前回の記事

⚫︎格ゲーオタク

あすかちゃんの特技。春人は毎回ボコられてます。お? やんのか? 俺とブレイブルーで勝負しろ。俺はカルル使うからお前テイガーな。

⚫︎子役時代のあすか

雄介からもらったイルカのペンダントを絶対つけて出演してたとか。なんか意味あるんだっけ。これ。タイトル画面でもこのペンダント翳してるけど。マジでストーリーを覚えてない。もしかしたら#5一番覚えてないんじゃないか。子役時代の映像は絶対見たがらないあすか。

⚫︎あすかが風邪引いて看病

した後のセリフ。

「あすかはハル先輩にすっごく感謝してるの」
「急に押しかけてきたわたしを、迷惑がらずにこうして止めてくれて」
「その上、徹夜で看病までしてくれて」

「幸せすぎてね? 何度も泣いちゃいそうになったよ」

「あすかは……ハル先輩が大好き……」

メモリーズオフ とぎれたフィルム

いいシーンなんだけどさ〜。風邪の看病よりも、雄介が死んだ直後に率先して君の世話をしていた修司君の方が偉いんだよね。修司にもちょっとは言ったれよ。オズ先輩とか言ってる場合じゃないんだよ。あまりにも可哀想になってきた。やっぱり誠実な男は報われないんですわ。春人君くらい適当に扱わないと。女は適当に扱った方がモテますよという作品からのメッセージなのかもしれない。尾津先輩には可哀想な男No. 1の称号を与えよう。

⚫︎修司と修羅場

主人公は部室で修司に対して、1週間前、あすかに告白されたけど断ったよ。お前が遠慮する必要ないぞ、などと言い出します。流石に? 修司の方も同情するんじゃねえよとブチ切れます。お前俺をいつも馬鹿にしてるだろと。何いつも憐れむような目で見てんだよコラと。上から目線が気に食わねえんだよと。

「なにをやっても、ハルには勝てなかった」
「映画作りだって、僕にはハルや香月ちゃんみたいな才能はないし」
「ユウだって、ハルのことは信頼してた。でも僕は、ユウからなにか相談されたことなんて、結局一回もなかったよ」

メモリーズオフ とぎれたフィルム

悲しすぎない。このセリフ。雄介君よ〜。気遣いが足りてないんちゃうの。完璧超人と見せかけて、配慮が足りない場面が来たな。まあ実際、春人君は修司を雄介や香月と同格には見てないですよね。あすかに対する対応は尊敬してるとは言ってるけど、口だけならなんとでも言えますわ。人間行動に全てが現れる。雄介に対してこんなに上から目線で話さないでしょ。

⚫︎修司、告白したってよ

私、オズ先輩に告白されましたってよ。それ、わざわざ春人君に報告するぅ? 見事なまでの当て馬じゃないですか。おい、あいつに告白されたぞ。お前はどうなんだよ、って話ですよね。かわいそうすぎないか。この兄妹、修司君をなんだと思っとるんや。あまりにも悲惨。主人公はこれをうけて、あすかを無理やり家に返しました。そもそも母親と喧嘩したというのも嘘で、ただ一緒にいたかっただけだったらしい。主人公は修司に対してフェアじゃないから返すと言っておりますが、実際フェアとかどうでもいいんだよね。こんだけ一緒にいても、あすかは修司に全く気がないんだから。

⚫︎麻尋再登場

すっかり忘れた頃にやってくる女。なぜアパートの場所を知ってるのか。信君が教えたんですかね。映画作りどうなっとるんじゃと問い詰めてきます。あすかのことを考えると、一緒に映画を撮ることは無理だと告げますが、いやいや、こっちも約束あんのよ、と対抗してきます。あーだこーだで揉めていると、いきなりあすかがやってきて修羅場。アパートから追い出したのはそういうことだったんですか、と言って逃亡していきます。すーぐ誤解するなこの人たち。なぜ人の話を聞かないのか。

麻尋はファム・ファタルのビデオテープを出せと言ってきます。なぜここにあることを知ってるのかと言えば、信経由だよね。見てたし。結局、私はこのビデオテープを壊しにきた、河合君はまんまと騙された、ということにしておいてくれ、という話になります。あすかのために、全ての関係を断ち切って、みんなの前から消えるということです。やはり聖人。映画はちゃんと撮ってくれよと言い残して、別れを告げました。両立しない関係。

⚫︎結構心を抉ってくる

いなくなったあすかを探していると、修司と抱き合ってるシーンを目撃します。いや、確かに修司君かわいそうだけどさ。そこまでやられるとこっちも心を抉られますよ。メモリーズオフやってて、一番ダメージ受けたかもしれない。ひぃいいい! 他の男に取られたくないぃいい! って言ってた(言ってない)一蹴君の気分が少しわかったかもしれません。そもそも修司も素直に応援できるような人格ではないんだよな。元々女優としてのファンっていう、ミーハー下心丸出し野郎だし。今度は修司の文句が出てきたぞ。めちゃくちゃ良くできているシナリオなのかもしれない。

⚫︎河合春人という無神経男

この状況でCUM研復活! あすか主演で映画とるぞ! 全員集合しろ! などとメールを送っています。映画とればギクシャクした関係もなんとかなるやろと。春人君もなかなかの男ですね。シリーズで随一の無神経男かもしれない。イナケンとかショーゴ君とは違った方向にクセがある。人の気持ちを考えずに突っ走るあたりは映画監督向きなのかもしれないけど。あすかにカメラ向けた時の拒否反応をなんとも思わなかったのか。

部室に集まってきたのは香月と木瀬さんだけです。あすかはメールで無理ですと返事を送ってきました。なんとか電話して、麻尋のことなら誤解だぞと伝えますが、無理という返答は変わらず。今度はなにを思ったら、お前修司が好きなのかと問います。ここで電話はぶつ切り。いや〜。春人君おもろい人やね。

意気消沈していると、香月に、あすかがお前の部屋に泊まってたことはみんなにバレてたぞと教えられます。変な言い訳してたからね。今度はまた修司君は可哀想になってきた。一体どんな気分で春人と接してたのか。やっぱり修司君も聖人なのかもしれない。すまんかった。下心丸出しのミーハークソ野郎などと言って。

主人公の方はもうあすかちゃんは修司に取られちゃったんだぁああ、と謎の誤解をしてその日は終わりました。今更あすかが好きだと気づいたけど、時すでに遅しだと。こう考えると、他人って本当に自分の中に存在してるんですよね。人は他人を認識する時、脳内の他人を認識している。ありのままの他人を認識できる人が、一体どれだけいるのか。急に真面目な話になったな。ずっと真面目な話です。

⚫︎マジ泣けるんすよ

凄まじく気まずい状況から、あすかと海岸で語り合うシーンが発生します。修司と付き合ってるなどという謎の誤解が解けて和解する場面ですが、マジ泣けるんすよ。

「ああ、あすかが好きだ」
「わ、わたしっ……!」
「わたしも、大好きっ! すごく、すごーく大好き!」
「だけどっ!」

「だけど、ダメなんだ。お前を救ったのは、オレじゃない。修司なんだ」
「お前にはきっと、修司の方がふさわしいんだ……!」
「関係ないっ!」

「オズ先輩には、感謝してる。すごく感謝してます。いつも優しくしてくれた。見守ってくれた」
「でも、事実なんて関係ない! わたしにとっては、救ってくれたのはハル先輩なのっ!」
「ハル先輩が好きだったから、今のわたしがいるのっ!」

メモリーズオフ#5 とぎれたフィルム

マジ泣けるんすよ。だって自分が修司の立場だったら、この世の終わりですよ。こんなん。もうなにやっても無理ですやん。めっちゃ働いたのに、なぜか全然働いてない隣の奴が評価されていくような理不尽。泣くしかない。いつも優しくしてくれて、見守ってくれたのに、好きになるのは、救ってくれたのは、大した関与もしていなかった別のやつと。なんなんこれ。しょうもな。恋愛の理不尽が凝縮されたセリフと言っても過言ではない。感謝なんていらねえんだよ。もはや世界を滅ぼすしかない。

でも社会ってそんなもんですわ。女もそんなもんなんだよ。公平世界仮説が一番通用しないのが恋愛というフィールド。かわいそうな修司君。同情するなって言ってたから同情はしないでおこう。二人はとりあえず無事にキスしてくっつきました。はー。ほんま不条理ですわ。なぜここまで修司に感情移入してるのか。泣ける。もう数学やろうぜ数学。何学科か知らんけど、数学は裏切らないはず。物理でも化学でも生物でもいいよ。もう女はやめとこ。



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