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【表現評論】メモリーズオフ#5 とぎれたフィルム コアレビューその6 あすかルート3(終)【全作再プレイシリーズ】

●メモオフシリーズ、その他作品、様々なネタバレが含まれます。

⚫︎前回の記事

⚫︎約束もないのに会いに来るのが恋人

というのがあすかの認識のようです。だから部室だろうが部屋だろうが、来るときは絶対に一声かけてから来てたんですね。春人君はそれを見逃すから余計な修羅場が起こっていたわけですが。ということは、あすかが誰かとバッティングする時は主人公が悪かったのか。反省しろ。

でも言うほど恋人って約束せずに会いに来ますかね。普通約束して来るでしょ。部屋にいなかったらどうすんのよ。こういう合理的な発想がダメなんだな。世界考察みたいな他の記事では、普段からコスパ(笑)タイパ(笑)合理主義(笑)みたいなことを言ってるんですが、まだコスパタイパ思考から脱却できていません。あすかは約束せずに会いに行って、不在であっても、それだけで楽しいんだよ。待ってるだけで幸せなんだよ。

⚫︎くっついてからシナリオが続く

りかりんと同じタイプ。ということは持ち上げて持ち上げて高い高いしてからのハシゴ外しが待ってるな。くっつかないタイプでもハシゴ外しは同じか。修司とまだ何も話してないけどいいんか。別に話すほどのこともないんだけど。可哀想だけど修司君が割って入る余地もないし。あすかは全然眼中にないし。春人君もあすかが好きみたいだし。修司君は学問に精進してもらうということでお願いしたい。あすかはかわいいだけの女だし、春人は自分勝手な奴だし、こんな奴らは置いていこう。

⚫︎ミサンガとかいう古代のアイテム

MDだのミサンガだの、古代の遺跡から発見されそうなアイテムが並ぶゲームです。こういうのが出てくると途端に古く感じますね。それからは全然出てこなかったからな。携帯が古いのはもうしょうがない。想君はインターネット掲示板荒らしとか個人HPなんかで、凄く古めかしさを感じました。#5もMDとかミサンガとか格ゲーの画面に古めかしいものを感じます。あんまり時事ネタとかガジェットは全面に押し出さない方が、後々のプレイフィールは良くなりますね。後々のプレイフィールをよくすることにどれだけの意味があるか分かりませんが。その時その時代で楽しけりゃいいんですよ。当たり前の話。

⚫︎イチャついているところに修司君

が突然やってきます。もはやすべてを諦めたのか、あすかちゃんを頼んだよ、と言い残して消えていきました。そう。お前に恋愛は合わないんだよ。もはや数学しかない。数学をやれ数学を。女を取り合って死ぬような数学者にはなるな。

⚫︎映画撮影

ようやく映画撮影のシーンに。このゲーム映画を撮る物語だよね。いつまでかかってんねん。と言いたいのは置いておくとして、いざ撮ろうとするとあすかが倒れます。カメラ恐怖症がここでようやく発覚。病院へ担ぎ込まれます。ここで母親が現れますが、メモリーズオフでは珍しい、母親がクズパターンです。いつものことでしょ、心配しなくていいわよ、的な。手塩にかけて育てたのに、ほんまに使えんわ、的な。12歳の頃からカメラ恐怖症が出ていたらしいので、雄介の死とは無縁の症状です。

しかし、父親が終わってるパターンは伝統だけど、母親が終わってるパターンは初めてじゃないか。むしろあすか以外あるんでしょうか。いのりの母親もちょっと怪しいけど、子どもを心配する親としては通常のレベルだし。

小さい頃から仕事漬けで、学校行っても友達もいなくて、家にもろくにいないから、家族も他人みたいで、という状況を経て仕事嫌いに。女子高生と話が合わないとか、世論に疎いとか、友達が少ないとか、色々と伏線はあった。そして過剰なプレッシャーで撮影中倒れてから、完全にカメラ恐怖症に。芸能界という居場所も無くなって、兄が死んで家に居場所も無くなって、という果てに辿り着いたのがハル先輩だったと。なぜオズ先輩じゃなかったのか。納得のいく説明をしてくれ、といいたいけど、理由なんてないんだよね。世の中本当は大抵のことに理由なんてないんだよ。無理やり理由を見つけてるだけ。因果関係があるという常識を疑え。

しかしこの日名家の精神的虐待は結構きついよ。直接暴力を振るうタイプではなさそうだけど、キッズにひたすら仕事させるとか、飯与えないとか、ほとんど家にいないとか、よくグレませんねってレベルの行い。あすかは兄さんが死んで変わったんですと言ってるが、生きてる時からだいぶおかしいぞ。道を外れずに済んだのは、オズ先輩のおかげじゃないですかね。というか父親はどこ行ったんだ。母親に愛想尽かしたのか。あすかはいつもコンビニ弁当食ってるらしい。可哀想すぎないか。昨今ではコンビニ弁当すら贅沢品になった感はあるが、この当時ですからねね。

麻尋も相当悲しき過去の持ち主だけど、あすかも割と劣らないレベルで悲しき過去をもってますね。しかもあすかは過去じゃなくて現在進行形だから、さらに悲壮感がある。雄介が麻尋に執着してたのは、妹の状況と被って見えたからなのかもしれない。

⚫︎あすかに隠して映画撮影

映画撮影は夏休みまでズレるかもしれん、などとわけのわからん言い訳をして、あすかを主役から下ろし、映画撮影は続行することになりました。アホなん。そんなもん夏になったら絶対バレるじゃないですか。あすかのためとは言うものの、自分のための嘘なんだよね。あすかが倒れた時、恐ろしくなったとか言ってるし。嘘にもつき方というものがある。一蹴君が板挟みになった時の嘘は、自己保身を感じないので、不快感もありませんでしたが、春人君はちょっと印象悪いですぜ。しかもバレること確定してる嘘だし。

⚫︎出たよ

「……ハル先輩は、あすかとそのお友達と、どっちが大切なの?」

メモリーズオフ#5 とぎれたフィルム

女が口にするセリフ第一位のやつ。⚫︎⚫︎と私どっちが大事なの問題。演技とか言ってるけど、本当ですか。明日会えますか? 無理? じゃあ明後日会えますか? 無理? じゃあじゃあ。束縛系女子だったらしい。意外でもなんでもないけど。

⚫︎当然バレる嘘

嘘がバレてあすかが行方不明にあります。流石にこの展開は予想通りすぎる。もうちょっと捻りはなかったんか。捻る時間もなかったのか

そして久しぶりにでてくる雄介君。

「どうやらオレは、妹に嫌われているらしい」
「でも、あいつの気持ちも分かるんだ」
「まあ、たったひとりの妹だし、オレにできる範囲で、見守っていこうと思ってる」
「春人、お前も何かあったら、妹の力になってやってくれ」
「頼むよ」

メモリーズオフ とぎれたフィルム

なんで嫌われてたんでしょうね。長男は自由にやってんのに、自分だけ子役をやらされて自由がなかったから、ということでしょうか。あいつの気持ちもわかると言ってるので、この予測は正しいんじゃないでしょうか。息子には甘いけど娘には厳しい母親って、結構あるあるですね。

⚫︎え? これで終わり?

雄介の一周忌に、行方不明になってたあすかを雄介の墓の前で発見します。居場所なんていくらでもあるんだ。雄介も見守ってる。美海という友達もいる。CUM研のメンバーもいる。オレだっている。お前の居場所はあるんだ! で終わりました。そっから映画撮影終了までジャンプし(なぜカメラ恐怖症を克服できたのかは不明)、コンクールに落選して、修司と和解して麻尋からの感謝の言葉が来て、完全終了です。え? 急速終了すぎない。まだあと2記事くらい書くつもりだったんだけど。

⚫︎あすかルートまとめ

うーん。このルートは微妙ですね。申し訳ない。素材は最高なのに、どういうわけか調理を完全にミスった感がある。なぜオズ先輩ではなくハル先輩の方を好きのなったのか、全く理由がわかりませんでしたし、その修司とのバトルもあっさりだし、雄介とあすかの関係性もよくわからなかったし、母親との関係も何も解決してないし、最後の喧嘩の原因は主人公のしょうもない嘘だし、仲直りもあっさりだし、鷹乃ルートみたいにエンディングジャンプして、映画撮影の様子は全カットだし、かなり欠点の多いルートでした。あすかはさいかわなんだけど、シナリオ評価はかなり下の方です。もっと言えば、このゲームはCGのクオリティも安定してない気がする。君、なんか顔違わない? ってケースがちょくちょくと。サムネイルのCGだけ異常に力が入ってるよ。

あすかルートの最大の問題点は、問題点が何も解決してないところですね。メモリーズオフってヒロインの問題点を解決してあげて結ばれるというのが基本的な物語の筋じゃないですか。あすかの問題点は何か解決したのかい、と問いたい。カメラ恐怖症は治ったっぽいけど、その過程は全カットだし。母親との関係は終わり続けてるだろうし。いや〜、これはちょっと物足りないな。全てを終えてから、最後のまとめで再考したいと思います。

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