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【表現評論】メモリーズオフ#5 とぎれたフィルム コアレビューその3 共通ルート3【全作再プレイシリーズ】

●メモオフシリーズ、その他作品、様々なネタバレが含まれます。

⚫︎前回の記事

⚫︎あすかがかわいい

かわいい。こんなにかわいいと思ったキャラ初めて。これが恋か。これだけギャルゲーをやっておきながら、今更沸いてくる感情。なぜこんなにもかわいいのか。まず顔がかわいい。立ち絵がかわいい。声もかわいい。自分がかわいいと思ってるムーヴもかわいい。わがままなのもかわいい。後輩仕草もかわいい。浮き沈みが激しいのもかわいい。BGMもかわいい。親友の妹というポジションもかわいい。ぼっちなのもかわいい。方向音痴なのもかわいい。機械音痴なのもかわいい。全部かわいいやん。こういうのでいいんだよ。恋は直球勝負でいいんだよ。勇気凛々、直球勝負なんだよ。どいつもこいつも変化球ばっかり投げやがって。女なら拳一つで勝負せんかい。

ということで、間違いなく最かわヒロインです。ファイナルアンサー。いのり? あれは究極のヒロインだから。まあでもね、変化球ばっかりだから直球が活きるんだよね。みんながいてメモリーズオフなんだよ。無理やり良い方向にまとめていく。

⚫︎信がファム・ファタルを見るシーン

信は麻尋のことを知ってます。ルサックでバイトしてるし。今回は裏で色々と動く人。でも、やっぱりこのゲーム、思ったより覚えてないですね。本当の大筋だけは覚えてるけど、細かいところはほぼほぼ覚えてないかも。

⚫︎香月の気遣い

仙堂さんと映画のことは別に考えてもいいんじゃないかと助言してくる香月。仙堂さんにしろ、木瀬さんにしろ、何かしら前に進むきっかけになってほしいと。正論パンチを放ってきますね。聖人というか、冷めてるというか。最近はこういう人物より、春人君の方が好感持てます。愛が深いから憎しみも深いんだよ。雄介が大切だから麻尋は憎いんだよ。絶許なんだよ。映画と麻尋は切っても切り離せないじゃんねえ。雄介の脚本持ってんだし。香月さん、友達思いだけど、ちょっと冷静すぎませんか。もうちょっと怒ってもいい。香月は麻尋と雄介の死は無関係だと理解しているので、見解も違うんでしょうけど、春人君はそこまで冷静ではない。でも冷静でいられないのは愛ゆえなんだよね。愛ゆえに人は苦しまねばならぬ。

⚫︎勉強を教えに来ているのに勉強を教えない男

毎回勉強教えて〜と頼まれながら、勉強を教えられない男。なぜみんな春人に頼むのか。修司に頼めよ修司に。理学部だから数学は教えられるだろ。なんて理不尽。でもこれ、初代からの伝統だよね。数学が苦手な智也に数学を聞くかおるとか。信の方が数学できるのにあえて智也に聞く人。伝統というほど他にいないか。勉強教えてというのは都合のいい口実です。あすかは相当おバカらしい。かわいい。よくできた兄からかわいいだけの妹。自慢の兄だったに違いない。雄介は友達がいない妹をいつも心配していたようです。

⚫︎聖女

麻尋と再度遭遇。お前は本当に雄介君が殺されたと思ってるのかと。雄介君はそんなに恨まれる人物だったんかと。人を殺すには相当なエネルギーが必要なんだと。私がお父さんもろとも雄介君を殺したと言えば満足なのかと。雄介君は恩人なのに殺せるわけないと。泣きながら主張しています。

春人は父親も一緒に死んだことを記憶から消しとばしていたようで、曖昧な記憶で麻尋を犯人に仕立て上げていたようです。父親まで一緒にやっちゃうとかありえないだろうと思い直します。まあ普通に考えたらそうだよね。

ただ、背景的には麻尋は父親をとてつもなく憎んでいました。詳細が曖昧ですが、確か虐待を受けていたと記憶しています。ファム・ファタルの中の殺すというセリフは、雄介に言ったようにミスリードされてるけど、父親へのセリフだったはず。違ったっけ。なんで、そういう背景があると、父親をやっちまってもおかしくはないわけですが、ここの冒頭で、人を殺すには相当なエネルギーが必要だと言っているので、そんな父親ですら殺すまでには至らなかったと結論づけております。お、重い。あまりにも重い。

「あいつは、最高の親友で、最高のライバルだったんだ。あいつが死んでから、本当に、なにもかもが虚しくなって……」
「映画を作って夢も、色褪せて。一歩も前に進めなくなって……」

「ホントに、どうしたらいいのか分からなくて……!」
「そんな自分にイライラして、それであんたに八つ当たりしてた……」

メモリーズオフ#5 とぎれたフィルム

小さい頃からずっと一緒だったわけですからね。それも大学1年まで。歴でいえば、智也唯笑にとっての彩花よりも全然長い。何をするにもずっと一緒で、映画という共通の夢を追い続けていたわけです。そんな奴が、脚本も書き上がってさあこれから、って時に亡くなったら、誰でもそうなりますよ。どうやって気力を保てばいいのか。

散々罵った女に慰められる男の図

「……あなたも、苦しんでたんだね」

「人はね、まっすぐ歩けない生き物なんだよ」
「不器用だから、たくさん遠回りして、たくさんつまづいて、そのたびに傷付けて、傷付けられて、心がどんどんボロボロになっていく」
「でも、遠回りすることはきっと、大事なことなんだよ」

「河合くんの苦しみも、優しさも、ちゃんと伝わったよ」
「でももう、自分を追い詰めないで」

メモリーズオフ#5 とぎれたフィルム

麻尋の背景を考えると、相手の痛みを理解して、こういう行動ができるのは奇跡みたいなものです。全世界に憎悪を撒き散らしてもおかしくないレベルの過去の持ち主だし。全てを消して、私も消えようって感じでもおかしくない。これも全て雄介の人徳の成せる業か。麻尋って主人公視点だと不自然な行動多いけど、リバースカットで見ると納得いくようにできてるんですよね。いろんな批判がある作品ですが、その点だけとっても神作品だと言わざるをえない。

ということで一旦和解して、映画を作ろうという方向になりました。夢って素敵やん。

次回に続きます。


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