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日産R&D部門エンジニアのキャリアパス

NAKAME BLOGをご覧いただいている皆様こんにちは。
日産自動車(株)の森下です。

以前、 バックエンド&Webチームの利用技術のご紹介 という記事を書かせていただきましたが、今回は話題を変えて、日産自動車のR&D部門でエンジニアがどのようなキャリアパスで活躍できるかについてご紹介したいと思います。

※本記事の内容は、2023年8月執筆時点の情報となります。

R&D部門について

まず最初に、日産自動車のR&Dという部門について軽くご紹介します。このR&D(Research & Development)という部門は自動車の研究開発を行う組織で、エンジン、トランスミッション、車体、ボディ、電子電装品、自動運転技術といった幅広い技術を取り扱っています。自分が所属する部門もこのR&Dに属しています。

近年までは、自動車の車体に搭載されるものが対象でしたが、昨今の自動車はインターネットに接続されることで便利な機能が使えるようになっており(以降、この機能を「Connected Car & Services」と表記)、我々の部門のようにモバイルアプリケーションやクラウドで稼働するサーバーサイドシステムを扱うところもあったり、ビッグデータの活用を目指して色々と取り組んでいるような部門もあります。また自動車という工業製品だけでなく、Connected Car & Servicesの仕組みを基盤としたサービスの創出にも取り組み始めています。

エンジニアのキャリアパスについて

このように、専門性をコアバリューとするエンジニアが多数所属する組織であるため、キャリアパスについても相応の考慮がされており、R&Dにおいては以下の2つのキャリアパスが用意されています。

  • マネジメントに進むキャリアパス

  • Expert Path

前者は予想がつくと思いますが、マネジメントロールとしてチームや部門をリードして、組織で成果を出していくことで活躍していくものです。

後者は高い専門性を軸として製品開発や組織全体の技術レベルアップ等に貢献していくものになります。

この記事を書いている自分も後者のExpert Pathに進んでいます。

専門性を軸とするExpert Pathというキャリアパス

この記事を読まれている方は、技術力で長く勝負していきたいと考える方も多いと思いますので、後者のExpert Pathについてもう少し掘り下げてみます。

Expert Pathというキャリアパスでは、職位等級としてはマネジメントロールと同等としつつ、専門性を高め続けながら部門の技術力強化や問題解決などにより注力して成果をだしていく事を求められます。

自分は日産自動車に転職する以前はWebサービス企業でマネジメントロールを経験しているため実感がありますが、やはりエンジニア個人として働く場合と比べてマネジメントロールというのは仕事内容がかなり異なっていて、エンジニアのバックグラウンドを活かせるとはいえジョブチェンジに近いレベルで取り組むべきことは変わってきます。

R&Dにおいてはマネジメントロールになったメンバーもまたエンジニアと考えていて、組織で技術的な成果を出すことを目指すのでより大きな成果を出しやすく、より大きな達成感とやりがいがありますが、Expert Pathはエンジニアとしての技量を直接発揮するような場面がより多く存在することから、エンジニアのキャリアの幅を広げて選択肢を増やしてくれています。

また、一度マネジメントロールやExpert Pathに進んだからと言ってそれで固定されるわけではなく、将来のキャリアチェンジも可能な制度となっています。

なお、本人がなりたいと言っただけでなれるものでは当然なく、上長からの推薦やValidationを通過した上での任命となります。

Expert Pathのエンジニアに期待されること

Expert Pathでは、マネジメントロールと同様に職位等級が複数段階あり、入口となる等級では自部門が担当する領域の技術力強化、具体的な製品開発における問題解決能力といったことが期待されます。

等級が上がるにつれて更に求められる事としては、社内外における専門領域ネットワークの構築、専門領域におけるエンジニア育成を通じた全体の技術力の底上げ、論文投稿や登壇によるVisibility向上、技術の標準化といったものがあります。

R&Dには様々な分野のエンジニアが在籍していますので、当然Expert Pathでも数多くの分野の専門家がいます。それぞれの分野の日産自動車におけるエンジニアの顔となることを期待されています。

実際に取り組んでいること

自分は現在Expert Pathの入り口の等級である「Specialist」となっています。(等級が上がるとまた別の名前になります。)

この等級では基本的には難しめな問題解決への貢献がメインとなりますが、自分は次のステップも視野に入れつつ先行でサーバーサイドエンジニアの育成のための取り組みも始めています。今後のConnected Car & Servicesの進化と安定稼働には、当該技術領域のエンジニアが社内で育っていくことが欠かせないと考えているためです。

現在、採用という形と社内での公募という両面で応募者を募っており、特に社内公募では実務経験が無い場合がほとんどであるため、そういった方にも熱意とやる気があればサーバーサイドエンジニアとして立ち上がることができるように技術トレーニングメニューを開発中です。教材となるコンテンツやハンズオンを作成しつつ、実際に社内公募から自部門にjoinされたメンバーへのトライアルレクチャーを並行して行っていて、アジャイル開発の精神でフィードバックもらいつつ教材をアップデートしながら作成しています。

また、複数部門のメンバーと一緒にSRE的な取り組みも進めており、ユーザー目線からみたサービスの品質や稼働状況の可視化の実現に向けて色々と準備をしています。運営側の目線ではなく、ユーザーにどう見えているかを可視化してそれだけを全員が見て動けるようにすることで、今何が起こっていて本当に取り組むべきことは何かを判断できる土壌を作っていこうとしています。

おわりに

今回は日産自動車のR&Dにおけるキャリアパスのご紹介をさせていただきましたが、いかがでしたでしょうか?こういったスペシャリスト方向を目指すキャリアパスはIT系企業においては最近はめずらしくはないかもしれませんが、日産自動車という長く続いている製造業の企業においてもこういったキャリアパスがあるというのは意外だったのではないでしょうか?

もし、自分のIT系技術を他の産業でも活かしたいがキャリアパスの面で不安がある、という方は今回の記事をぜひ参考にしていただき、日産自動車も転職先の候補として考えていただければと思います。カジュアル面談なども行っていますので、気軽にお声がけください