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熱意を、もっと。「圏外編集者」

こんにちは。
最近は出版業界関係の本をよく読んでいるのですが、
その中ですごく面白い本に出会いました!

それは、「圏外編集者」(都築響一)。

著者は、この道40年以上の筋金入りの編集者の方です。
雑誌「POPEYE」の黎明期から、編集者として縦横無尽に活躍されています。
今のようにネットがなかった時代、いかに自分の感覚で足を使って取材するか、
詳細なエピソードと共に熱く語られています。

中でも目を引いた見出しが、「指があれば本はできる」。
すごくインパクトのある言葉ですが、続く文章を読んですごく納得しました。
著者は、技術うんぬんの前に、心の底から本が作りたいという熱意があるかどうかが大事だと説いています。
ある外国のブックフェアで出会った、手作りの本を売っていたロシア人の姿を見て著者はそう悟ったそうです。ソビエト解体直後で、自由な出版物を世に出すことが難しかった時代に、必死になって自費出版に挑む若者を見て、著者は本作りは熱意が全てだと直感したのでしょう。

著者は数多くのユニークな本を自ら手がけていますが、ある時から自分で写真も撮るようになったそうです。その理由は、自分1人で自分が本当に納得できる面白い本を作りたかったから。格好いいと思いました。
そうして「TOKYO STYLE」という本が生まれます。
タイトル通り、東京のスタイリッシュな生活が垣間見える本かと思えばそうではなく、東京に住む等身大の若者のリアルな生活の息遣いが聞こえてくるような写真集です。いわゆるトレンディドラマに出てくるようなおしゃれな部屋ではなく、ワンルームの狭い部屋で、でもどこかそこの住人にしか出せないような個性が滲み出ているような部屋の写真。畳の上にやたらにバカでかいスピーカーが置いてあったりして。これがすごく趣があって素晴らしいんです!

そして、ネット時代の編集者、クリエイターの在り方についても筆者は言及しています。今はデジタルの進化によって、プロアマ問わずモノ作りのスタートラインはかなりレベルが高くなっています。デジカメは誰がとっても綺麗に写りますし、デザインソフトもかなり安価になっています。

じゃあ、これからの時代にクリエイターに求められるものは何か。
一言で言ってしまえば、それはセンスと行動力です。
技術が進化した分、それを使いこなせるセンスがこれからは問われます。
AIを使いこなせるか使いこなせないか、それは使う人の審美眼にかかっています。
また、ライターの仕事でもそうですが、結局は現場で生の情報を取ってこれるかどうかが一番大事です。そういう意味でも結局は動ける人、行動力のある人が強い。

私自身に当てはめて考えてみると、センスは一旦置いておくとして、行動力はまだまだだなと思います。
少しでもいいので、小さな成功体験をちょっとずつ積み重ねていって、まずは自分に自信を持てるようになりたいです。

著者は、60歳を迎えた今が一番、編集者として膨大な量の原稿を書いているそうです。やっぱり何よりも熱意がないと出来ない事ですし、また心底やりたい仕事をやられているんだろうなと羨ましくもあります。

私も、これからどんどん場数を踏んでいって行動力を磨き、もっと刺激的でもっともっと面白い生き方にチャレンジしていきたいです!!



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