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ゼノブレイド3 物語への感想〜気になっちゃった所〜

 どうもニッシーです。ゼノブレイド3の感想を投げたのですが良かったところだけ書いても感想とは違うよなという事でストーリー関連に絞って気になったところをつらつら書いていきます。本当なら前回記事に纏めたかったのですが分量が多くなりすぎるので分割しました。
 そして今回も分量が多くなったので気になる項目だけ齧ってください。

◯敵キャラとの因縁が薄い


 これみんな思ったんじゃないでしょうか。この作品、敵キャラとの因縁が薄いか、濃いと逆に敵感が消失するなどして敵への感情移入がしづらいです。

 まず因縁の敵ですがメビウスディー、エックス、ワイなどがそれでしょうか。
 例えばディーが誰でも良いですがメインストーリーに絡むキャラクターを操ったり、その思いを歪んだ形で遂げさせたり、命を奪ったり。(ニアに関しては未遂な上にニアに出会うまでのニアに対する印象はメビウス打倒に必要な情報をくれる人物というだけなので、仲間を殺されたと捉えられないです。)
 そう言う分かりやすい因縁が今のユーニ達に対して薄かったので、ウロボロスについて説明してくれた殺人狂のおじさんでしか無いんですよね。
 ディーは確かにユーニのトラウマ的存在ではありますがユーニがアナイアレイター破壊時に乗り越えちゃったので(乗り越えたユーニはかっこよかった)もうあとはヨランの引き立て役以上でもそれ以下でも無かったですね。
 エックス、ワイもユーニとミオのサイドストーリーに登場しますがうーんと言ったところ。
 例えば最初のコロニー4による襲撃やエセルとカムナビをけしかけたのがエックスとワイだったなら、サイドストーリーでの話と合わせて命を自分の都合で弄ぶメビウスの負の側面を強調でき、キャラ個人に対してプレイヤーが倒す敵としての印象を強められたのでは無いでしょうか。

 ここで過去作の話をするとゼノブレイドのムムカは本編以前よりダンバンに嫉妬しそれをエギルに利用されて本編では主人公の前に立ちはだかります。全てはダンバンへの劣等感からくる行動です。
 ダンバンが戦友として背中を預けていた友は敵側に寝返りあまつさえフィオルンを死にかけにさせ何度も敵として立ちはだかります。
 行動原理もダンバンに勝てなかった劣等感からダンバンに対しての仕返しのため、今まで持った事のない強い力を振るう事を楽しむためというダンバンへの因果とディーと同じような戦闘狂的な性質を持っています。ダンバンやシュルクからもプレイヤーからも因縁を感じる敵がゼノブレイドには居ました。

 そんな敵が本作にはいません。ムムカのようなキャラクターとしての性質しか持っておらず主人公達に対する因縁は薄いです。まぁ断絶した永遠の10年間をひたすらループする主人公達に因縁を持たせるとなると中々難しいし、メビウスは基本的に黄金ランクのコロニーの前にしか姿を見せませんから設定からして因縁が作りづらいのはあったでしょうね。

◯逆に敵キャラの因縁が濃いと敵感が無くなる

 じゃあ逆に因縁が濃いとどうなるのか、今作だとなんかこう倒すべき、立ち向かうべき敵感が無くなります。該当キャラはヨランとエヌ。
 主人公達はひたすら元のヨランにそのままのヨランで居てほしいと呼びかけ、ヨランの心の中にあった弱い自分への否定で凍りついた心を溶かします。それが決め手になり幼い頃と同じ様にディーもろともインタリンクの消滅現象で消し飛びます。
 これが初代や2ならヨランと戦って悲しい別れや悲しいすれちがいで戦わないといけないなどの展開があり得たのかもしれません。しかしそもそもヨランと戦う選択肢を主人公達は積極的には持ちたがりません。
 結果としてヨランとの決着は戦いによるものではなく最終的には対話により決着がつきました。すみません,ちょっと上手く理解しきれていないせいで歯切れが悪いのですがヨランを因縁のある敵とするには余りにも主人公達に近すぎ、また敵としてのヘイトを買わなかったキャラだと思えるのです。

 次にエヌです。エヌは登場当初とエムがおくられる場面まではゼノブレイド2のシンやメツなどと同じく相容れず戦わねばならない敵として登場するのかと思いましたが、ゼットから絶望aとbを突きつけられてその片方を選んでしまった悲しい人、主人公達やプレイヤーからも憐れみをかけられるキャラだと思ってます。
 同情の余地がありすぎる...が、やっている事が主人公の希望をへし折る事だけでエヌ自身の行動の果てにエヌの何かが救われる事がないんですよね。 
 メビウスというあり方が現状維持という設定に沿ったキャラクターではあるのですが、エヌの目的はエムが隣にいる事で達成されてしまっていて、逆にエヌがノアを倒したところでエヌの何かが晴れる事はなく絶望に絶望を上塗りするだけなんですよね。
 どうしても越えなければならない敵とするにはあまりにも可哀想というか。ただただ切ない。
 言い方が悪いのは承知ですが、部屋の隅で悲しみに暮れている様な人間を倒して想いと想いがぶつかる様なドラマが生まれると思いますか?

◯ゼットという倒そうとする意思が湧きづらいラスボス

 この項目は少し暴論気味かもしれません。
 ゼットとは
 ・存在することだけが目的。
 ・メビウスの源は全人類にある。
 ・概念である為人間味がなくそれ故に意思が感じられない。
 この辺の設定がゼットが魅力的なラスボスになるのを妨げている気がします。

 メビウスというのは消滅する直前に人が抱いた生きている今を永遠に止めてほしいという願いから生まれた概念が形となったもの。ゼットが産まれた後も今を永遠に続けてほしいという意思がゼットを生かします。
 ゼットは基本的に何も目的がありません,ただ存在するだけです。殺し合うしかない兵士達の感情の爆発を餌にただ存在するだけです。存在するだけなら石ころにだってできます。

 ガンダムUCにフロンタルというラスボスが登場します。彼は人の総意を受け止める器として自分を定義し人が望むからシャアという人物の再現を行い、シャアという人間の想いを果たそうとします。ゼットと同じ総意からシャアという存在を自分という器に流し込み、そこにはシャアという一人の人間の意思の残滓のようなものが存在しています。

 しかしゼットは「人が望んだから」アイオニオンを運営しているだけで「人の総意を受けてゼットがそう決断したから」というわけではありません。
 ザンザは世界を自分の都合の良い様に運営したい、メツは悲しみに溢れた世界を滅ぼしたい。とそれぞれ意思がありました。ゼットは彼らと同じ様に全てを思い通りにできる様な力を持ちながらも自分からは何もしません。
 人の命を弄ぶ事を愉快だからの一言で片付ける邪悪さはあるものの結局ゼットの目的はただ存在し続ける事なのです。存在する事を目的と言えるでしょうか、繰り返しますが存在するだけなら石ころにだってできるのです。ゼットの意思がそこに存在しない以上魅力的なラスボスとは言えないと思ってしまいます。
 というか本当に最後の最後までゼットと主人公が直接出会わないですからね。メツは言うに及ばずザンザですら巨人の中にいた時やシュルクから抜け出る時にメイナスを倒しシュルクに対して抜け殻など色々ふっかけてます。ゼットが1.2度で良いから主人公達と直接会話するシーンでもあればまた違ったでしょうが。
 せめて人の命を弄ぶ事,永遠を続ける事がゼットの意思で為された事であればゼットによるはた迷惑な優しさvs本来の命の使い方をできる世界を望むノア達という構図になったかもしれません。

◯やっぱり今作のテーマって描きづらいよね

 先に断っておくと僕自身は今作のテーマと作風は全然好きな部類です。ですがやはり中には求めていたものとのギャップがあったと思います。
 今作ってゼノブレイドやゼノブレイド2に感じた熱さや勢いと言うものは少ないと思います。それは今作の作風や主人公達の行動がそうだったからと言うだけであって特段脚本や演出で手を抜いていたと言うことではないと思っています。描きたいものの方向性が厚さや勢いに振られなかったというだけの話。
 ですが「命とは」「命(人生)を使って本当に成し遂げたい事」などテーマが抽象的ではありました。しかも命を直接蔑ろに扱ったのはなんの因縁もないピーとオー。エヌはどちらかと言えばノア自身の決着で余りこのテーマとは繋がらないと思っていますし、ゼットは上記で書いたように単なるラスボス枠という印象が強いです。

 シュルクが「運命は自分たちの手で掴む」レックスが「どうにもならないけどこの世界で生き抜くしかない」という風にゼット戦でノア達が冒険で感じて出した答えをぶつけるという展開ではなくエヌとエムに希望を託されて結末を迎えていますから。
 想いを託すというテーマはエヌとエムがノアとミオに託したように一貫して描けていますが、シュルクやレックスのようにゼットに対して自分の意思をぶつけるという下りがなかったのは結構惜しいところだと思います。

 後はクリスやヨラン,ミヤビにシャナイアなどのシーンの台詞が最後の最後まで抽象的なものが多かった事もあり、僕のようなファンとして肯定的に捉えやすい人以外では感情移入しづらかったのかもしれません。

◯主人公達のサイドストーリーを本筋に組み込めなかったの?

 特にミオ、ユーニ、セナですね。ミオはミヤビを通じてワイとの因縁を、ユーニはエックスとの因縁を、セナは本編で確執のあったたシャナイアとの話を。 
 それぞれの話がしっかりしていてかつ本編にがっつり登場するキャラだっただけにこれをやらないでもクリアできちゃうってのはとても勿体無いですね。せめてメインキャラの覚醒はノアのようにストーリーを進めれば必ず出来る様に組んで欲しかったです。

◯結局ラッキーセブンやリクってなんだったの 伏線の未回収

 これ色んなとこで言われてるのでここで書く必要もないんですが僕がパッと思いつくだけでも
・ラッキーセブンを作った師匠って誰?
・ノアのブレイドが左腕を覆う籠手に変化するのはなぜ?
・メリアが解放された後リクに眴してたけどあれはなに?
・ラストシーンでおくりの旋律が聴こえたけどあれ流して終わりなの?

 とかとか 他にも消滅現象の原理とか黒い霧の伐採原因とか設定だけでも色々あるらしいですが。余りにも何も描かれませんでしたね。しかもエンディング後の追加ストーリーは遅くとも来年の冬だそうです。1年半待たせて酷い出来だったら流石にボロクソに文句言いそうで嫌ですね。

それとこれ追記になるのですが、ケヴェスとアグヌスの兵士たちは男女混浴を気にしないのにシティーの人の服に着替えるシーンがあるなどウロボロスになる前と直後で急に性に対する意識を表すシーンがあります。ウロボロスとなりシティーの人々と出会った後でもできるシドウのクエストや温泉のシーンなどのようにプレイヤーにより進行が異なる部分での矛盾はある程度飲み込めますがメインストーリーでなぜこんな齟齬が起きたのかよくわかりません。

◯最後に

 全て読んでくれた方、所々を読んでくれた方長々とありがとうございました。今回は前回で書けなかったネガティヴな感想を纏めました。
 僕はこの作品が好きです。ですが感想ですので全部を全肯定できたわけではありません。自分でも進めていて「おや?」と感じる場面は当然あったわけです。なのでこの記事はゼノブレイド3を貶めたいとかそういうわけでは一切ありません。
 良い部分の感想はこの記事と分割しなければいけないくらいたくさん書きましたから。
 ではまた何か記事を書いた際に読んでいただけたら幸いです。

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