少子化問題の解決は…

これは無理だろうなあ。

おそらく若い人は知らないだろうが、昭和の時代にはまさに非婚は悪であった。25歳で結婚していない女性は「いき遅れ」とか「おばあさん」と言われていたわけである。もう少し前、昭和といってもその半ば以前は石女は三行半で離縁という時代もあったわけである。

その代わり、無事に出産して跡継ぎを産み育てた女性はその先代の姑を介護して無事極楽に送り込んでしまえば、次に新しい姑になって権勢を振るえるというシステムであった。当時の未婚率は5%ほどに過ぎない。つまり、95%の人が男女を問わず結婚していたことになる。(現状の未婚率は男で25%程度である)

このシステムが壊れたのは1つには相続制度である。日本の相続制度は伝統的に長男相続であった。二男、三男にはほとんど財産の相続はなく、女子にはもう雀の涙程しか相続されなかったのである。つまり、女性は高収入、高学歴、高身長の三高男をG見つけて、玉の輿を目指せということであった。もちろん、夫の実家の財産が多い、いわゆる太い家で出産育児、義父母の介護を行い次代の姑になるというサイクルでは、なくなってしまったということである。

つまり日本の敗戦後、新しい憲法とともに改正された民法では、兄弟に平等に遺産を相続させるようにと書いてあったわけである。

敗戦後に日本に進駐したGHQは、靖国神社をドッグランにしてやろうぜと考えていたくらいであり、そもそも日本の工業技術などすべて破壊してもう二度と発展できないような農業国、世界の四等国にしてやろうと考えていたという話がある。結局は東京裁判ではA級戦犯は死刑になったが、天皇の戦争責任は問われることもなく訴追されることもなかった。つまり、国体は護持されたわけである。

米国は日米安保で軍隊のない日本を守る義務を背負い、一方では在日米軍基地を作って「世界の警察」をやることになった。その米軍基地が活躍したのは朝鮮戦争である。38度線で南北に分断されていた朝鮮半島において、突然北朝鮮が南に攻め込んだのである。不意を突かれた韓国は北朝鮮軍と中共からの義勇軍という人海戦術による攻勢を支えることができず、もう一時期は南端の釜山に追い詰められて危急存亡に追い詰められた訳である。日本にいたマッカーサーの指揮する米軍によって何とか北朝鮮軍を元の38度線まで押し返すことができたわけである。

米軍はその過程で日本に不足する弾薬などを生産するように命じたわけである。このことがきっかけでー反米サヨク達はもう日本は平和主義国家として米軍のために弾薬を生産せずに韓国が滅びれば偉大なる北朝鮮の栄光が見られたのにと言うかもしれないがー日本の工業は息を吹き返し、その後に続く高度成長時代を迎えるわけである。農村で厄介者であった次男三男たちは「金の卵」として続々と東京などの大都市に送り込まれた訳である。そこであるいは工員として働き、もしくは商店の従業員として働くことで、「都市の空気は自由にする」の言葉通り自由を満喫したのである。

日本では1964年にオリンピックが開かれ、1970年には大阪で万国博覧会が開かれたし、交通では夢の超特急、新幹線が営業運転を始めたのである。日本の高度成長は1973年のオイルショックでいったん中断されたけれど、その後1980年代にはさらに発展して「Japan as No.1」という書物が出版されたりしたのである。

このころ、女性の総合職採用というものが導入されていった。つまり、女性はそれまで一般職という採用が多く、いわゆる「職場の花」として業務に直接関わるというよりも、お茶汲みで上司やお客さんにお茶を出したりして、職場を和ませたりしていたわけである。彼女たちは給料も高くなく、昇進もないので例えば職場結婚などで寿退職が望まれていたわけである。それが総合職、つまり、男と同じ条件できちんとラインとして業務をこなし、昇進もあるという業態へ門戸が開かれつつあった訳である。そこで女性たちは結婚だけが人生じゃない、男など踏みつけて優秀な女性が天下を取ろうという野望に燃えることになったわけである。

昭和末期から平成にかけて、戦前・戦中世代が亡くなると、相続争いも頻発するようになった。つまり、長男が財産相続しようとすると、次男、三男が遺産を要求するようになった。都市の空気が自由にしたため、金の卵として都会にいった連中は田舎者と違って遺産は均等分割されることを知っていたのである。泡を食って裁判所に相談しても、法律は遺産は兄弟姉妹で均等に分割しなさいと書いてあることを多くの人が知っただけである。かくして長男の価値は地に落ちたわけである。長男の嫁として舅姑によく仕え、跡継ぎを産み育て、介護をしても、義両親の死んだ後の財産は何もせずふらふらと遊んでいた(ようにしかみえない)次男坊、三男坊に掠め取られていったわけである。苦労して親の介護をしてきた私の立場は何なの?ということになった訳である。

こういう事例が積み重なると、長男の嫁は敬遠されるのは当然である。かといって、次男坊、三男坊の嫁が長男の嫁に代わって介護をしてくれるわけではない。ということで、多くの人は自分で老人ホームに入るか、むしろ娘を頼るようになってきたということであろう。他人の長男の嫁には(もう財産を渡せないので)頼れなくなったが、娘は血を分けた子供である。少々の金でいろいろやってくれるのである。もう夫婦別姓万歳、ウチの子として頼りになるのは娘であるということになるだろう。孫ができたらもう娘を婿から取り返して自分たちの身の回りの世話は娘にしてもらって、孫と一緒に暮らせたら幸せではないか。もう長男には嫁が来ないのである。独身の長男など頼りにならないのである。夫婦別姓にしておけば娘の方も実家の自分たちとの絆を強く持つだろうから、邪魔な婿は蹴飛ばして放り出してしまえば喜んで娘も孫と一緒に自分たちの家族に復帰してくれるというのが実際にあるわけである。

上記の事件ももう大変やなあとしかいえない訳である。

未婚率についても、もう政府も手の打ちようがないということかもしれない。

一応、女性の未婚率の方が男性の未婚率より低いのである。

https://www.stat.go.jp/data/kokusei/2020/kekka/pdf/outline_01.pdf

非婚、子なしの女性を非難したところで、同境遇の非モテ男達が同じ言葉で逆襲を食らうのは残念ながら目に見えているのである。男は種馬としての価値しかなくなってきているので、女性の機嫌を損ねたら子連れで実家に帰ればもう実家の両親も未来の介護担当者が帰ってきたと歓迎することであろうことは間違いない。

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