構造的問題

こういう記事はフェミニストかぶれの人から時々出てくるが、多分真面目に議論してもどうしようもないので「そ、そうですね、女性も男性のように一生労働戦士としてお国のために尽くしましょう。」とチャウシェスクのまねをするしかないのである。

恐らく、これを見た真面目なフェミニスト達は「またネトウヨがくだらない揶揄をしている」と思うだろうけれど、こちら方面では問題が解決しないのである。

フェミニストたちは「どうせ男どもはろくに働きもせず遊んでいるだけなのだから家事育児をもっと分担しろよ、残業しながらでももう何時間かは早く帰れるでしょう。その数時間で家事育児をしたらいいのよ。」って考えているわけである。例えば毎日残業3時間しているとしても会議が終わるのを待っていたり、客先から返事が来るのを待っていたり、たばこを吸ったりコーヒーを飲む時間を節約すればもっと早く帰れるはず、とか単純に他国とのデータ比較をして「外国の男どもはもっと長時間家事育児をしているぞ、日本の男も外国並みに頑張れ」と現実を無視して単純に考えているだけのことが多いのではないか。

日本には1ヶ月のバカンスもないのである。そのかわり多くの場合、正社員の終身雇用はまだ守られているし、そうそうレイオフもないのである。けれど、女性も安心してほしい。男性の非正規社員は増えてきているし、今後は正社員並みにこき使われながら給与は時給で安く、簡単にレイオフされる男たちがもっと増えてゆくであろう。彼らは給与が安いので上方婚を原則とする女性たちからは結婚相手の対象外としてその存在を透明化されているに過ぎない。

彼女たち意識の高い女性は「一生働く」と威勢のいいことをいうので「結婚もして子育てもしたい」という女性から敬遠されているに過ぎない。税制もまだ女性がガンガン働くよりも適度にパートでお小遣い程度働くだけの方が有利な場合も多いのである。

恐らく、ノイジーなフェミニストたちの主張と労働者を安く長時間こき使いたい経営者たちの希望には一致点が多いので、今後は労働者階級の専業主婦は針のむしろに置かれるようになり、子育ても家事も放り出して安い給料で働かざるを得なくなるのではないか。ここで経営者たちとフェミニストたちは握手できるのである。

ただ、その後はちょっと違う。フェミニストたちは夫がその高給を維持したまま家事育児に励むことを望むかもしれないが、経営者たちは男どもをサボらせたくないのである。男どもにはもっと低賃金でもっと長時間労働させることが利益になる。

チャウシェスクのルーマニアでは子供たちを収容する「チャウシェスクの家」が作られた。いわゆる24時間保育所である。もちろん最初は福祉国家らしく手厚い保育がなされていたかもしれない。しかし、労働戦士となった父親と母親が父親や母親であることをやめさせられ、あるいは自発的にやめた結果、注目を失ったチャウシェスクの家は急速に忘れ去られていった。

後にチャウシェスクの独裁体制が打倒され、解放されたときに、誰もその用途を知らない掘っ立て小屋を探索すると幼稚園生のような体格の子供たちが何人も出てきたのである。年齢を聞くと12歳だというのである。劣悪な環境を生き延びてきた彼らは「愛情遮断症候群」の生きた証拠として世界中を驚かせたわけである。そういうえげつない状況はこういう独裁体制でしか生じないため、現在に至るまでそんな症例は空前絶後であったわけである。

日本で検索しても症例は数例しか存在しないため、多くの人はそんなものが本当にあるのかどうか疑っていたのである。不勉強な人たちはそんなこと起こるまいよ、と笑っているけれども、残念ながらもう彼らの主張は論拠を失ってしまったのである。

今、フェミニストたちがマルクス主義の考え方を元に小チャウシェスクになろうとしているわけである。ああいう極端な状況が起こることは希なので、多分大丈夫じゃないかと高をくくっていてもよいのだが、万が一、専制的なルーマニアと同じ状況が発生すれば被害を受けるのは労働戦士ではなくて子供たちなのである。その状況は是非とも避けねばならない理由である。


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