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エイトコンサルティング様のロゴを作りました。

「デザイナー」って言葉だけでは何をしている人かわからないくらいに、デザインには色々な専門分野があります。
私自身は大学のデザイン学科でビジュアルデザインを学んだのですが、これは主に平面ベースの視覚的なデザインになります。仕事のジャンルで言えば、グラフィックデザイン、エディトリアルデザイン、パッケージデザインを主に学びました。私の仕事での専門分野はwebデザインなのですが、当時は大学でwebの専攻がまだないくらいの時代です。
ロゴデザインは1回生の時のタイポグラフィ周りの授業と、4回生の時の卒業制作にまつわる授業で主に学びました。ただ、3回生くらいからは授業の内容が主に商品企画になるため、商品ごとのロゴなどは毎回作っていました。

独立1回目

会社員で経験を積んだ後独立し、デザイン会社をはじめて20年超ですが、依頼者にとってはデザインの専門分野ってよくわからないものです。パソコンでできそうなことはなんでも依頼されます。
そのため、webが専門といっても、ついでにロゴ作って、ついでにイラスト描いて、などが発生し、ロゴを作ることも多々あります。
とはいえ、「ロゴお願い」→「(ラフの後3案くらい作り込んで)これかこれかこれでどうですか?」→「これがいいかな、色は緑で」のように、デザイナーが提案するものをクライアントさんが選ぶだけということが多く、そこに違和感がありました。
本当にこれがベストだったのかな?もっと良いものができたんじゃないかな?

独立2回目

廃業したわけではないのですが、2023年2月10日に会社とは別に個人事業でnito経営デザインを立ち上げ、中小企業診断士として活動するための入り口を作りました。
そして、エイトコンサルティングの加藤様よりロゴを作りたいというご依頼がありました。
前に書いたようなロゴの制作手法ではなく、クライアントさんと一緒に作ってみてはどうかな、と思い、せっかくなので新しい作り方にチャレンジさせてもらいました。

1.手描きラフ

まずは手描きでラフを描き倒します。
仕事ではずっとスケッチブックだったのですが、GoodnoteにApplePencilです。

手描きラフ

2.デジタルラフ

その後、Illustratorで、ちょっと作り込んでいきます。
作ってるうちにまた思いついてしまい、アレンジが増えて行ったりも……。
会社での案件で、クライアントさんに見せるときほどは作り込みません。

デジタルラフ

3.Zoomでオンライン作成

ここが一番のチャレンジです。
Zoomでクライアントの加藤様とIllustratorの画面を共有しながら、オンラインで作り上げていきます。上記のデジタルラフで右ページにあるものはオンラインで色々試行錯誤した跡です。
簡単な説明をしつつ見てもらいながら、気になったものをピックアップ、加藤様が、「◯色にしたらどうなります?」「太くしたらどうなります?」などとおっしゃるのをその場で反映させて一緒に試行錯誤します。加藤様の頭の中にあるものを、わたしが加藤様の手となって、形にするところだけ手伝う感じです。正直、この過程がすっごく緊張します。速度とスキルを見られてしまう。。
手伝いながらまたアイデアが出てきたら、その場で作って見てもらいます。

4.ブラッシュアップ、仕様書作成

細かい部分の補正など行なって、ロゴの利用マニュアル(簡易なものですが)などとデータを合わせて作成します。

会社の方でも少しずつ試しています。

会社の方でも、昨年からwebデザインをFigma上でクライアント様と見ながらリアルタイムでブラッシュアップしていく、といった手法を取り入れています。
そうすると、その場で伝わるし、クライアント様も自分ごととしてデザインを見ることができて、とても愛着を持っていただけます。
コロナ禍でリモートでの打ち合わせが増えたことの一番大きな革新的なことかなと思っています。対面打ち合わせだと紙に印刷して持っていくんですよね。
また、リモートでの打ち合わせにクライアントさんたちが慣れた、ということもあります。

スタンダードな方法の一つとなってほしい

デザインの依頼→制作という、双方向にボールが行ったり来たりするやり方ではなく、一緒に同じ方向を向いてボールを投げるような、一緒に作り上げていく、過程も楽しんで参加してもらえるような作り方ができたらなぁと思っています。
そして、世の中でもそういったやり方が広まったら、ブラックボックスのようなデザイン過程の見える化になるのかな、と思ったりもしています。
デザイナーとしては、本当にリアルタイムで過程を見られるのは恥ずかしくって緊張するのですが、でもどういったことをしているのかを理解してもらいやすいですし、なにより、クライアントさんに「自分で作った」と思ってもらえるのが一番の成果だと思っています。

「クライアントさんと同じ方向を見る」

アーティストインレジデンスを学んだ時に、何か完成した作品が作り上がるだけではなく、その過程こそがアートと聞いたことがあります。
同じく、ロゴマークといった完成形を納品するのではなく、作り上げていく過程も含めてデザインしていくことも一つの形かなと思います。
そして、起業の際に私が一番大事だと思うのが「事業が自分ごとであること」
VI(ビジュアルアイデンティティ)を作るときは自分ごとであってほしい、と思っています。
こういった手法がもっと増えるとデザインの捉えられ方が変わってくる気がします。


エイトコンサルティングの加藤様より、ご感想をいただきました。
ありがとうございます!

今回、屋号を変更するタイミングで、ロゴの制作をお願いしました。 エイトコンサルティングという名前の由来「8」をモチーフに、たくさんの案を出してもらいました。 リアルタイムで自分の意見を反映してもらい、一緒に作り上げていく過程では、まるで自分がロゴを作っているかのような感覚になりました。 通常、会社のビジョンがあり、ロゴはそれを表現するものかと思います。私の場合は、ビジョンは固まっていませんでしたが、ロゴ制作を通じて、自分の気持ちにも気づくことができ、達成したいビジョンも描くことができました。 (うさこさん)の問いかけだったからこそ気づけたものだったのかと思います。 思いを形にしてくださって大変感謝しております。

エイトコンサルティング 加藤ひろみ様

エイトコンサルティング様のwebサイト


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