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ヒュギーヌス『天文学について』(第2巻)翻訳㊴祭壇(さいだん座)

祭壇

 この祭壇は、ティーターンに戦いを仕掛けようとしたとき、神々が最初に犠牲を捧げ誓いを行ったものとされる。この祭壇を作ったのはキュクロープスたちであったという。神々は祭壇に犠牲を捧げることを習慣としたので、人間たちも自分たちの習慣として始めるようになったと言われている。それで人間たちは何かを為そうと思ったとき、行動を始める前にまず犠牲を捧げるようになったのである。

・ティーターンに戦いを…:ここでいう神々とはゼウスらのことであると思われます。ゼウスらは親世代の神々であるティーターンたちと戦い覇権を奪いました。キュクロープスは『オデュッセイア』では野蛮な人食い一つ目巨人とされていますが、ゼウスらの協力者であったキュクロープスは鍛冶の神で、ここで言われている祭壇だけではなく、ゼウスの雷、ハーイデースの兜(「ペルセウス」の回参照)、ポセイドーンの三叉の槍なども彼らの作品とされます。


 『カタステリズモイ』では神々が誓いを行った祭壇というだけでしたが、ここでは犠牲を捧げてもいます。ところで、ここで疑問が生じます。あれ?犠牲って誰か神様のために捧げるものじゃないの…?と。神様自身が犠牲を捧げる先って誰!?神様のさらに上位のスーパー神様みたいなのがいるの!?
 
 もしかして、捧げる対象がいなくとも、犠牲を捧げるという行為そのものが何らかのパワーを生み出すということなんでしょうか?でも、「矢」の回のプロメーテウスの話とかを見るに、やっぱり犠牲を捧げる対象というのは存在するとは思うんですけどねえ…?

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