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舶来品のスペイシー感覚 [アステロイド]

 『アステロイド(Asteroids)』

 ゲームスタート時には真ん中に配置される三角形の自機を操作して、敵UFOの攻撃をかわしながら周囲を浮遊する隕石を破壊するゲームです。

 ベクタースキャン方式(※1)の素晴らしきグラフィック。
 飴を両端から引っぱったような細いラインが味わい深いです。

 自機の操作方法はレバーで船首を左右に動かし、二つのボタンのひとつAボタンで噴射し前進します。
 自機には慣性があり、減速にするには360度機首を回頭し、噴射。文章にするとややこしいですが、すぐに感覚で操作できるようになります。

 『ポン(PONG)』の時にはあまりの情報量の少なさに戸惑いましたが、幼児だった私の脳もいろいろ経験して、都合の良いように補完できるようになっていました。
 真っ暗な画面も細い線で構成された隕石と宇宙船も、頭の中では宇宙空間に浮かぶ写実的な隕石や宇宙船になっています(たぶん)。

ASTEROIDS (ATARI)

 独特の慣性ある操作も「宇宙を進む宇宙船なんだから、そりゃあ慣性あるよね! リアル!」と無邪気にも感じたわけです。

 「画面端まで自機が進んだら、逆方向から中心に向かって戻ってくる」というのはどこがリアルなんだ? と思いますが、そこはゲームですし……と妙に割り切って不満を感じないのですから便利な脳です。

 「隕石に囲まれた!」等どうにもならない状況になったらBボタン。
 これは画面のどこかにランダムでワープするボタンで、運が良ければ助かります。たいていはワープした直後に別の隕石に衝突してしまうのですが。
 
自機は敵UFOの攻撃もしくは隕石に当たると木っ端微塵になるのですが(※2)、この四散っぷりは諸行無常感があっていいですね。


 時間がたって周囲のゲームが新作に入れ替わっても、なぜかこのゲームだけは1プレイ10円のままずっと残っていて、かなり長いあいだ楽しむことができました。


※1 一般的なゲームのディスプレイはラスタースキャン方式。
※2 ベクタースキャンの細い線で、壊れたガラス細工のようにパーツ群が細かく散って美しいんですよ。

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